【鑑賞レポ】柴山紗帆&木村優里 オデット/オディール デビュー 新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』(2017/2018シーズン)

2018年のゴールデンウィーク、新国立劇場バレエ団は『白鳥の湖』を上演中です。

今シーズンの注目すべきポイントは、柴山紗帆さんと木村優里さんがオデット/オディールのデビューを果たしたことです。

今回は、二人を中心に舞台を鑑賞した感想を書きたいと思います。

新国立劇場バレエ団『白鳥の湖』(2017/2018シーズン)

新国立劇場バレエ団は、2018年4月30日(月・休)から5月6日(日)の期間、『白鳥の湖』を7回上演しています。

木村優里さんが主役であるオデット/オディールを務めたのは5月1日(火)と5月4日(金・祝)の2公演です。

柴山紗帆さんがオデット/オディールを務めたのは5月5日(土・祝)です。

木村さんのオデット/オディール デビューは、5月1日(火)ですが、この公演は貸切のため、一般の方は鑑賞できません。

涙を飲んだ木村さんのファンは数え切れなかったことでしょう。

従いまして、木村さんについては5月4日(金・祝)、柴山さんについては、5月5日(土・祝)の公演について鑑賞した感想を記します。

木村優里さん 5/4(金・祝)

上記のように、本当のオデット/オディールデビューの舞台は貸切公演のため、「一般の方にとっての」と前置きがついてしまうデビュー公演は2018年5月4日(金・祝)です。

会場には、木村さんのオデット/オディールデビューを観ようとこの日を待ち焦がれていたであろうファンの方が大勢いらっしゃったことが、会話や雰囲気から分かりました。

本当のデビューがどのような舞台だったかは知る由もありませんが、木村さんのことですから、素晴らしい舞台であったろうことは想像に難くありません。

木村さんの相手役ジークフリード王子を演じるのは渡辺峻郁さんです。

甘いマスクに端正な踊りが持ち味ですが、この日の渡邊さんの第1幕での踊りはいつにも増して滑らかな踊りが際立っていたように感じます。

意外なことに渡邊さんも全幕で『白鳥の湖』でジークフリード王子を踊るのははじめてとのことです。

2016年に「こどものためのバレエ劇場『白鳥の湖』」では今回同様、木村優里さんとペアを組んでいますが、こども向けにアレンジされた舞台のため、構成が全く異なります。

新国に移籍し、バレエ団にも慣れ、満を持してのジークフリード王子デビューです。

さて、第2幕となり、木村さんが登場すると待ってましたとばかりに会場からは拍手が沸き起こりました。

技術面でも演技面でも全く不安のない二人ですが、事前の予想通り、素晴らしい舞台でした。

踊りは素晴らしく、心理面の変化も丁寧に描くことに成功し、予想通りの素晴らしい舞台であったと感じました。

柴山紗帆さん 5/5(土・祝)

柴山さんのオデット/オディールデビューの成否を握るポイントとして、以前のブログにも書いたように「上品なお嬢さんタイプ(個人の感想です)の彼女がいかに悪女を演じ切ることができるか」について注目して鑑賞しようと思っていました。

(そのときのブログ ⇒ こちら

最初に、舞台を鑑賞した感想を端的に書きます。

引き込まれました!感動しました!!!

本当に素晴らしい舞台で気持ちがグイグイと引き込まれ、『白鳥の湖』の世界にどっぷりと入り込んで感動していました。

正直、私を含めて多くの方が、柴山さんのオデット/オディールデビューがここまで素晴らしい舞台になるとは思っていなかったのではないでしょうか。

この舞台を観ることができて本当に幸せでした!!!!!

一足早く、オデット/オディールデビューを果たした木村さんの強みの一つは舞台度胸だと思っています。

これは後天的に努力の末に手に入れたものかもしれませんが、持って生まれた素質も大きいのではないかと感じます。(個人の感想です)

柴山さんは、どちらかというと繊細な感じではないかと思っており(個人の感想です)、この日も「緊張や硬さが出ていないかな」と少し心配しながら舞台を拝見していましたが、いやいやどうして、余計な力が入っておらずとても自然体で、踊りにも抜群の安定感がありました。

もともと技術のある方だと思いますが、この日も、とくに回転系の技での軸とアプロンがとてもきれいに保たれていたように感じます。

ここまで素晴らしい踊りを披露されているので安心して舞台を堪能し、あとはオディールでの演技がどのようなものかを楽しみに待ちました。

第3幕でファンファーレが鳴り響きロートバルトとともに登場するシーンでは、そんな柴山さんの表情に注目です。( ´ ▽ ` )

「上品なお嬢様タイプ」(しつこいようですが個人の感想です)だと思っていますので、どこまで吹っ切れるかということに注目していましたが、「悪い子ちゃん」の表情が出てきており、「おっ、これはいいんじゃない!」と正直、少し安心しました。( ´ ▽ ` )

他の方のオディールに比べれば少し柔らかな印象だったように思いますが、後から考えると、相手のジークフリード王子が奥村康祐さんだったからなのではないかと感じます。

外見も人柄もとても優しい奥村さんが王子のため、そんな王子を魅了させるにはあのような柔らかさも感じられる表情になったのではないかと。

その後はグイグイと舞台に意識が引き込まれ、我を忘れて舞台に見入っていました。

大きな見せ場であるグランフェッテは本人が一番緊張するであろうに、観ているこちらの感動がこみ上げてきて、オペラグラスを持つ手が震えるほど興奮しました。

そして、最期のロートバルトに打ち勝ったときには胸の内に熱いものが込み上げてきていました。

カーテンコールでの柴山さんには自然な笑顔がこぼれていました。

踊り気った、自分の力を出し切った、そんな風に感じられました。

会場は当然のことながらとても大きな拍手と声援とが沸き起こっていました。

他のキャストでも鑑賞しましたが、今回の公演が最も会場を湧かせたのではないでしょうか!!!

今回の舞台は柴山さんにとって大きな転機となったのは間違いありません。

もともと努力家の彼女ですから、今回のオデット/オディールデビューにかける意気込みと練習量は半端なものではなかったかと思いますが、この成功体験により一回りも二回りも成長したものと思います。

私に今回の舞台の素晴らしさを表現するだけの文章力がないのが悔やまれます。

また、今回の舞台が素晴らしかったのは間違いないのですが、なぜ、これほどまでに舞台に引き込まれたのかは、正直、よく分かりません。

このような素晴らしい舞台を披露していただいた柴山紗帆さんには最大級の賛辞を贈るとともに今後のさらなるご活躍を期待せずにはいられません。

最後に

恥ずかしながら、個人のどうでもよい感想を書き連ねてしまいましたが、今回の公演を鑑賞された多くの方が同様の感想をお持ちであることを信じています。

また、『白鳥の湖』という演目は非常に見どころが豊富であり、また、多くのダンサーの素晴らしい踊りと演技がなければ成り立たせることができない難しい演目だと思います。

今シーズンの『白鳥』も、当然、多くのダンサーが素晴らしい踊りを披露されています。

今回は柴山さんと木村さんのオデット/オディールデビューに注目して感想を記しましたが、他の感想も含めた鑑賞レポートは機会をあらためたいと思います。

さて、明日、5月6日(日)は2017/2018シーズン『白鳥の湖』楽日です。

小野絢子さんと福岡雄大さんが素晴らしい踊りと演技で締めくくってくれることをお祈りして、本日のブログを終えたいと思います。

お読みいただき、有り難うございました。

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