【公演情報】新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』(2017/2018シーズン)

新国立劇場バレエ団は、2018年6月9日(土)から『眠れる森の美女』を上演し、2017/2018シーズンを締めくくります。

公演を目前に控え、鑑賞に向けて予習をしてみたいと思います。

新国立劇場バレエ団における『眠れる森の美女』

新国立劇場は1997年に開場しました。

記念すべきバレエの開幕公演はコンスタンチン・セルゲーエフ版『眠れる森の美女』でした。

ところで、今シーズンは、新国立劇場の開場20周年の特別なシーズンです。

特別なシーズンを彩るラインアップには、チャイコフスキー3大バレエである『白鳥の湖』、『眠れる森の美女』、『くるみ割り人形』の全てが含まれている、とても豪華な構成です。

チャイコフスキー3大バレエが全て入っているとあれば体力的にも厳しく、また、『くるみ割り人形』は新制作ということもあり、ダンサーにとってはとても大変なシーズンであったことでしょう。

冒頭にも触れましたが、開場時の『眠り』はセルゲーエフ版でしたが、今シーズンの『眠り』はウエイン・イーグリング版です。

新国における『眠れる森の美女』は、開場してから2006/2007シーズンまではセルゲーエフ版をレパートリーとしていましたが、2014/2015シーズンからはイーグリング版の上演になっています。

ここで気になるのは、セルゲーエフ版を2007年2月に上演してからイーグリング版を新制作する2014年11月まで、新国では『眠り』を上演していないことです。

クラシックバレエの最高傑作の一つであり、日本でも人気の高い演目である『眠り』をじつに7年半もの期間上演していなかったのは意外な気がします。

イーグリング版は、2014年に初演され、2017年5月に再演に続き、2018年6月には2年続けての上演となり、7年半もの空白を埋めるかのような勢いです。(笑)

(左から2007年、2014年、2017年のプログラム・リーフレット)

ウエイン・イーグリング版『眠れる森の美女』の特徴

ウエイン・イーグリング版『眠れる森の美女』は現芸術監督である大原永子氏が監督に就任した2014/2015シーズンの開幕公演として新制作されたもので、2016/2017シーズンの上演に続き、今シーズンが二度目の再演です。

初演時のプログラム(*)によると、新制作に対する大原氏からウェイン・イーグリング氏への要望は「プティパの元々の振付はできるだけ生かしたい」ということだったそうです。

このような制作意図があったことから、イーグリング版はオリジナルを尊重した内容になっているものと思われます。

特徴を少しみていきたいと思います。

(*)初演時のプログラム:現在、新国立劇場のバレエ公演では、無料の「公演リーフレット」が配布されますが、初演時には有料のプログラムが販売されていました。
有料ということもあり、内容も無料のリーフレットに比べて充実しています。
5月の『白鳥の湖』の公演時には過去のプログラムの販売も行われていましたので、今回の『眠り』でも過去の公演プログラムが販売されるかもしれませんね。(在庫があれば!?)

カラボスの設定

イーグリング版の最大の特徴は、カラボスの設定でしょうか。

初演時のプログラムには「カラボスをリラの精と同等のパワーを感じる役柄にしたかったがために、トウシューズで踊るという表現を選びました」というイーグリング氏の言葉があります。

確かにセルゲーエフ版のカラボス役は男性で、ずっと腰をかがめた老女の魔法使いのような格好で演技をしていて、トウシューズで踊ることはありません。(笑)

思い返すと、イーグリング版で大きなクモの乗り物に乗って登場するカラボスを見慣れると、セルゲーエフ版の工事現場で使われていそうな手押し車(?)のような貧相な乗り物で登場するカラボスにはパワー不足を感じてしまいます。(笑)

今シーズンのカラボスには、初演時から引き続いて本島美和さんが出演されることに加え、新たに渡辺与布さんが配役されました。

今シーズンから入団されたばかりの渡辺さんですが、カラボスといった一癖も二癖もあり演技力が求められる役をどのように演じるのか、注目しましょう!

前回の上演時には米沢唯さんの好演も評判でしたが、今回はカラボスの配役はありません。

これは少し残念な気がします。

オーロラ姫の目覚めのパ・ド・ドゥ

プティパのオリジナルを尊重しながらも、当然、イーグリング氏の特色もあります。

前回公演時の「公演リーフレット」の「みどころ」には、「目覚めのシーンではヴァイオリン・ソロによる非常に静かで落ち着いた情緒的な音楽が使用される。イーグリングの振付ではデジレ王子とオーロラ姫の恋愛感情に踏み込んだ演出でパ・ド・ドゥが挿入されている」と紹介されています。

このようにプティパのオリジナル版にはない踊りも追加されているようです。

わざわざ新たに追加したということは、イーグリング版を特徴づける演出として、作品を理解する上では重要なシーンであると思います。

「ヴァイオリンの情緒的なソロ」ということで、胸がキュンキュンしてきそうですね。

5人の精?6人の精?

セルゲーエフ版では、「優しさの精、元気の精、鷹揚の精、呑気の精、勇気の精」5人(?)の妖精が登場しますが、イーグリング版では、「誠実の精、優美の精、寛容の精、歓びの精、勇敢の精、気品の精」とこちらでは名称も変わり6人(?)の妖精が登場します。

セルゲーエフ版での妖精はそれぞれ色が異なる衣装を着ていましたが、イーグリング版では同じような衣装のため見分けることが難しく、過去の公演時には、この点についての否定的な声が聞こえてきたことを覚えています。

衣装に関することでは、森の精の緑の衣装についても否定的な声をちらほらと聞きました。

個人的には、他の版をほとんど観ずにイーグリング版に馴染んでいることもあり、違和感を感じませんでした。

皆さんはどのように感じるでしょうか。

この点も是非、劇場でご自身の目で確かめてみていただきたいと感じております。

眠れる森の美女‐新国立劇場バレエ団3分でわかるバレエシリーズ(YouTube 新国立劇場公式チャンネル)

眠れる森の美女-新国立劇場バレエ団3分でわかるバレエシリーズ

見どころ(配役/指揮者)とお楽しみ

見どころ(配役)

オーロラ姫のキャスティングは前回同様の4名です。

すなわち、米沢唯さん、小野絢子さん、池田理沙子さん、木村優里さん(登場順)です。

対して、デジレ王子はどうでしょうか?

井澤駿さん、福岡雄大さん、奥村康祐さんの3名は昨年に引き続いてのキャスティングですが、渡邊峻郁さんは初登場です。

お相手は、『白鳥の湖』でのパートナーリングも好評だった木村優里さんです。

二人のパートナーリングがどのような進化を見せるのか、について注目です。

米沢さんのパートナーは前回のワディム・ムンタギロフさんから井澤駿さんになります。

最近、米沢さんと井澤さんが組む機会が増えてきたように思います。

過去に主役を踊ったことがあるダンサーは成長した姿を、初役のダンサーはどのように演じるのかが楽しみです。

また、パートナーが変わることにより、どのような変化が起こるのか、こちらにも注目したいと思います。

見どころ(聴きどころ?/指揮者)

見どころというのか聴きどころというのか、指揮者はなんと日本人女性の冨田実里さんです!

冨田さんは、2013年以降、新国のバレエ公演で副指揮者を務めていたそうです?!

副指揮者という存在を初めて知りました!

新国立劇場での本公演では初登場となるそうです。

イーグリング版『眠り』の編曲者であり初演時の指揮者はギャビン・サザーランド氏でした。

2017年の再演時は、新国では数々のバレエ公演でおなじみのアレクセイ・バクラン氏でした。

二人の巨匠に続いて日本人指揮者の冨田さんの指揮ぶりにも注目が集まることでしょう。

お楽しみ

DVD発売に向けた撮影

新国立劇場バレエ団オフィシャルDVD BOOKS 新シリーズ 最新バレエ名作選 『くるみ割り人形』が4月に発売されたばかりですが、新シリーズ第2弾は、『眠れる森の美女』です。

そして、その撮影が2017/2018シーズンの舞台であることが決まっています。

撮影日は決まっていませんが、あなたの観た舞台が映像化され発売されるかも知れないんですよ!!!

これはとても楽しみですね!

新国立劇場バレエ研修所第13期修了生の出演があるか?!

新国立劇場バレエ研修所の第13期修了生のうち、進路が判明していない方がいらっしゃいます。

入団オーディションはすでに終了していると思いますので、数名は新国への入団が決まっているのではないでしょうか。

その新国に入団が決まっている修了生が出演するのではないかと期待しながら初日にキャスティング表を見るのが待ち遠しい日々です。(笑)

『眠り』は出演者数も多い演目ですので、きっと登場するに違いありません?!

新国立劇場バレエ団「眠れる森の美女」リハーサル映像(YouTube 新国立劇場公式チャンネル / 2018年6月7日公開)

新国立劇場バレエ団「眠れる森の美女」リハーサル映像

新国立劇場バレエ団『眠れる森の美女』(2017/2018シーズン)の概要

眠れる森の美女
The Sleeping Beauty
全3幕プロローグ付
新国立劇場初演 2014年11月
振付 ウエイン・イーグリング(マリウス・プティパ原振付による)
会場 新国立劇場 オペラパレス
予定上演時間 約3時間15分(前回の時間配分:プロローグ35分、休憩25分、第1・2幕65分、休憩25分、第3幕45分)

6月9日(土)14:00~
オーロラ姫 米沢 唯
デジレ王子 井澤 駿
リラの精 木村優里
カラボス 本島美和

6月10日(日)14:00~
オーロラ姫 小野絢子
デジレ王子 福岡雄大
リラの精 細田千晶
カラボス 本島美和

6月16日(土)13:00~
オーロラ姫 池田理沙子
デジレ王子 奥村康祐
リラの精 寺田亜沙子
カラボス 渡辺与布

6月16日(土)18:30~
オーロラ姫 小野絢子
デジレ王子 福岡雄大
リラの精 細田千晶
カラボス 本島美和

6月17日(日)14:00~
オーロラ姫 木村優里
デジレ王子 渡邊峻郁
リラの精 寺田亜沙子
カラボス 渡辺与布

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