【鑑賞レポ】新国立劇場バレエ団『不思議の国のアリス』公開リハーサル(2018年9月24日)

新国立劇場バレエ団の2018/2019シーズン開幕を飾る『不思議の国のアリス』の公開リハーサルが2018年9月24日(月・振)に開催されました。

振付指導のジャクリーン・バレットさん、ジェイソン・ファウラーさんが新国立劇場バレエ団ダンサーを指導する形でリハーサル風景が公開されました。

リハーサル後の質疑応答も合わせて約1時間と限られた時間ではありましたが、作品への興味・関心が一気に高まる機会となりました!

マッド・ハッタ―をはじめ、キャストの発表を待ち焦がれている方も多い方思いますが、キャスト決定の考え方についても意見を聞くことができました。

今回は、その貴重な公開リハーサルの様子を報告したいと思います。

新国立劇場バレエ団『不思議の国のアリス』公開リハーサル レポート

公開リハーサル レポート

2018年9月24日(月・振)、プレス関係者と抽選で当選した一般人を対象とした『不思議の国のアリス』の公開リハーサルが開催されました。

冒頭、大原永子芸術監督からの挨拶があり、イモ虫役の宇賀大将さんのリハーサルから始まり、アリス、ハートのジャック、白ウサギの主要な3人(?)が絡む場面のリハーサルへと移行しました。

大原芸術監督あいさつ

冒頭に大原芸術監督からご挨拶がありました。

挨拶内容は、わざわざ連休最終日に来場したことへの感謝、9月3日からリハーサルをはじめたこと、クリストファー・ウィールドンさんは演出や踊りが非常に細かく忍耐強い二人の指導者による指導が続いていること、その忍耐強さはダンサーが諦めても諦めずにできるまで指導するほどであること、などでした。

リハーサルの状況は、現在、3週間で振りを覚えている段階だそうです。

大原芸術監督は、ご挨拶を始めた際、手に持ったマイクを無視して地声で話され、途中でその事実に気づいて(もしくは誰かに促されて)からマイクを使い始めました。

地声が大きいので普段、マイクを使うことがないのだと弁解されていましたが、大原芸術監督らしさに一気に会場の雰囲気が和みました。(´▽`)

イモ虫(宇賀)のリハーサル

最初のリハーサルは、今シーズンからファースト・アーティストに昇進した宇賀大将さん演じるイモ虫のリハーサルで、指導はジェイソン・ファウラーさんでした。

ファウラーさんの経歴を拝見すると、クリストファー・ウィールドンさんとはニューヨーク・シティ・バレエに同時期に在籍していたようです。

その時からのお付き合いなのでしょうか。

さて、イモ虫というキャラクターですが、指導中に何度も「CATERPILLAR」という言葉が聞こえてきたように、原語の役名では「RAJAH/CATERPILLAR」です。

キャタピラーというとブルドーザーなどの車輪にぐるりと回されたベルトみたいなものを想像しますが、ここでは「イモ虫」のことですね。

また、「RAJAH」という別の役名もありますが、インドの王侯などを指す言葉でしょうか。

そのためかイモ虫の衣装はインドやアラブなどを連想する衣装を着ています。(今回は、リハーサルなので衣装ではありませんでしたが)

肝心のリハーサルですが、コンテンポラリー的要素の強い踊りで、宇賀さんは少し苦戦しているようでした。

バレエ『不思議の国のアリス』を観ていない人を配慮した説明もありました。

プロローグで、アリスの母がパーティーを開き、アリスが冒険に入ったときからパーティーのゲストだった人達が不思議の国では様々なキャラクターになるとのことでした。

イモムシはキノコの上に座りパイプ(水たばこ)を吸っているキャラクターで、打楽器を上手く使い中東の雰囲気を醸し出すコンテンポラリー・ダンスだとのことです。

音楽もカウントを取るのが難しいところもあるようです。

指導者は”two-nines and six”と言っているように聞こえたのですが、8カウントの音楽が通常ですが、このシーンでは変拍子となっているという説明だったのではないかと理解しています。

つまり、通常なら「8-8-8」のことろを「9-9-6」とリズムが取りにくい音楽で難しいところということではないでしょうか。

イモ虫の場面は下の動画の「1:58」からご覧いただけます。
布を頭から被った複数の女性ダンサーがイモ虫の胴体を演じます。

不思議の国のアリス|新国立劇場バレエ団

(YouTube / 新国立劇場 New National Theatre Tokyo 公式チャンネル)

アリス(米沢)、ハートのジャック(渡邊)、白ウサギ(木下)のリハーサル

つづいて、主要な役3名(キャラクター)によるリハーサルです。

ジャックは、プロローグでアリスにバラを上げています。

アリスはいつもバラを持って冒険をしています。

このバラは愛の象徴だとのことです。

一般参加者は公開リハーサルの様子について撮影・録音が許可されていませんので、写真を載せられないのが残念ですが、新国立劇場のtwitterやFacebookでは写真が公開されています。

満面に笑みをたたえた米沢さんのお腹のあたりをジャクリーンさんが押さえてる写真は、踊っているうちにバラが隠れてしまった際の一コマです。

出演者の笑顔からいかに良好な関係でリハーサルが進んでいるかが分かります。

このリハーサルに登場する3名は、テクニシャンばかりですが、まだ完全に振りを自分のものにし切れていないようで、少し振りやタイミングを間違えたりするようなこともありました。

テクニシャンだけにそんな場面を見ることができたのも新鮮でした。

そんなご愛敬もありましたが、全体的には素晴らしい動きで、とくに渡邊さんの跳躍する際のラインの美しさといったらありません!

回転しながらジャンプをするときも安定感抜群で伸びやかな脚には惚れ惚れします。

とくに8月のダンス公演『夏ノ夜ノ夢』での米沢さんと渡邊さんは持ち味を出し切れていないないもどかしさを感じていた分、この踊りが観たかった!と一人心の中で叫んでいました!

アリスとハートのジャックのパ・ド・ドゥもかなり難度が高いように見受けられましたが、すでにかなりの完成度で滑らかに軽やかに踊られていました。流石ですね!

質問コーナー

Q. マッド・ハッタ―役の発表はいつ?何故、決定に時間がかかるのですか?

A. 10日から2週間で発表できると思う。『アリス』には大勢の出演者がいる。振付が完全に終わっている訳ではない。ダンサーにはフェアにチャンスを与えたい。また、一度に大勢のダンサーがステージ上に上がり、マルチの役もあるので役の組み合わせもある。

Q. 二人の指導者は、世界中のカンパニーで指導しているが、新国ダンサーの特徴は?

A. メインキャストはクリストファー・ウィールドンが決めたが、振付を覚えることに本当に驚いている。効率良く自分のものにしている。一日リハーサルをしたらその日のリハーサルしたことをものにし、次の日には予習までして来るので、役柄を磨き上げていくことができるダンサーだと思う。

Q. リハーサルの感想は?

A. (米沢)有意義なリハーサルが続いている。ダンサーの使命だが、どう美しく踊るかということを機にしている。
指導では、一つずつ、一人ひとり愛をこめて指導していただいていて、もっと良くなると思える指導をしてくれる。
アリスは大きな役だと感じている。ステップは多く、踊りは難しい。アリスは出ずっぱりだが、どうアリスでいられるか、ということが課題。
この役をいただきとても幸せ。

A. (渡邊)お二方とも素晴らしい指導者。ダンサーその人に合ったやり方で癖を理解した上で指導してくれる。
パ・ド・ドゥは複雑で難しい。
毎日が楽しく充実している。
二人のジョークを楽しんだり、ジャッキーはエクササイズを教えてくれたりしてリハーサルはリラックスして進んでいる。
あと4週間、素晴らし舞台をご覧いただける様に一生懸命頑張る。

Q. (ダンサーに)作品の魅力は?

A. (米沢)カンパニーの底力が試される作品。全員が全力を出さないと成り立たない。
どの役も難しいが、リハーサルでは皆、笑顔で、カンパニーの雰囲気はとても良い。
全員この作品を愛している。
個人的には「alice alone」というソロが好き。
ステップは難しいが、アリスの少女らしさ、私って誰なんだろうという誰もが持っている疑問をよく表現している。アリスの描き方が好き。

Q. ウィールドンの振付の特徴は?
物語を伝える表現力に優れている。
ディテールにこれほどこだわる振付家を見たことがない。
一つたりとも落ちることなく、詳細に振り付けている。

一般参加者は録音が許可されていないため、質疑応答の内容について不明瞭な箇所は筆者が表現を変えたり、言葉を補っているところがあります。

また、記憶が不鮮明な箇所で誤解している内容がある可能性もあります。

今後、プレス関係者様が取材した内容が公開されるかと思いますので、その内容をお待ちください。

【追記:メディア掲載情報】

演劇の楽しさを提案する総合情報サイト エンタ ステージ(9/27)

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新国立劇場バレエ団が一丸となっての舞台に! 期待高まる『不思議の国のアリス』公開リハーサル

公開リハーサル出演者

【振付指導】

ジャクリーン・バレット Jacquelin BARRETT
ジェイソン・ファウラー Jason FOWLER

【芸術監督】

大原永子

【新国立劇場バレエ団ダンサー】

米沢 唯(プリンシパル/アリス役)
渡邊峻郁(ファースト・ソリスト/ハートのジャック役)
木下嘉人(ソリスト/白ウサギ役)
宇賀大将(ファースト・アーティスト/イモ虫役)

【ピアニスト】

飯野珠美

【通訳】

久野理恵子

新国立劇場バレエ団『不思議の国のアリス』公開リハーサル

公開リハーサルを鑑賞して

今回の公開リハーサルは時間も出演者もかなり限定されたものでしたが、それでも作品に対する理解、期待といったものがさらに高まる内容でした。

場面についての状況説明もあり、一度、英国ロイヤル・オペラ・ハウス シネマシーズンの上演で観ただけでは分からない設定について理解を深めることができました。

このような懇切丁寧な解説を全編通してお願いできれば良いのですが、そのような訳には生きんませんので、やはり、自分で予習する必要が大いにあると感じました。

質疑応答の際に米沢さんも渡邊さんも二人の指導者について好意的な感想を述べられていました。

また、バレエ団の雰囲気も非常に良く、新作上演に向けて順調に進んでいることが理解できました。

実際にリハーサルを拝見し、出演された、宇賀さん、米沢さん、渡邊さん、木下さんの4名のダンサーはいずれも素晴らしい表情で、終始和やかにリラックスした雰囲気の中で進められていたのが印象的です。

この時の表情から、指導者についての好意的なコメントが社交辞令ではなく、本心から出ていることが容易に想像できました。

ダンサー、スタッフの皆さまが頑張っているのと同じくらい、観客としても予習に力を入れて、万全を期して開幕の時を待ちたいと思います。(´▽`)

上演まで一月半のタイミングでも主役以外の発表がありません。

しかし、そのキャスト決定のプロセスについて考え方を聞くことができました。

あと1~2週間のうちにキャストを決定するそうですが、決定が遅い理由はダンサーにフェアにチャンスを与えたいためだとのことです。

現在は振りを覚えている段階で、ダンサーが振りを覚えた後に判断するのでしょう。

ウィールドンさんのインタビュー記事からは、恐らくその決定にもウィールドンさん自らが関与することが想定されます。

一刻も早くキャストについて教えて欲しい気持ちもありますが、今までにない起用があることが大いに期待されます。

そういったサプライズも楽しみの一つにすることを筆者としては提案したいと思います。

このブログでは引き続き、『不思議の国のアリス』を鑑賞するのに有益と思える情報は積極的に発信していきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします!

新国立劇場バレエ団『不思議の国のアリス』公演概要

【日程】 2018年11月2日(金)~11/11(日)

【会場】 新国立劇場 オペラパレス(最寄駅:初台)

【キャスト】(アリス/ハートのジャック)

11/2(金)19:00 (米沢/渡邊)
11/3(土・祝)14:00 (小野/福岡)
11/4(日)14:00 (米沢/渡邊)
11/7(水)13:00 (小野/福岡)
11/8(木)13:00 (米沢/渡邊)
11/10(土)13:00 (小野/福岡)
11/10(土)18:30 (米沢/渡邊)
11/11(日)14:00 (小野/福岡)

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