タマラ・ロホ、イングリッシュ・ナショナル・バレエの芸術監督を退任しサンフランシスコ・バレエの芸術監督に就任することが決定!(2022年末)

2022年1月11日、イングリッシュ・ナショナル・バレエ(ENB)の芸術監督であるタマラ・ロホが、2022年末にENBの芸術監督を退任し、サンフランシスコ・バレエの芸術監督に就任することが発表されました。

37年間の長きにわたりサンフランシスコ・バレエの芸術監督を務めてきたヘルギ・トマソンが退任し、米国最古のバレエ団であるサンフランシスコ・バレエの89年のカンパニー史上で初となる女性芸術監督が誕生します。

ENBは後任の芸術監督の選定に着手しますが、芸術監督の引き継ぎが円滑に進められるよう、タマラ・ロホは2022年末までENBの芸術監督のポストに留まります。

1997年、タマラ・ロホは彼女のキャリア初期に、一度、ENBに入団しています。

1998年1月にはプリンシパルに昇格し様々な作品に主演していましたが、2000年7月に英国ロイヤル・バレエのプリンシパルであるダーシー・バッセルが降板したことから彼女の代役としてピーター・ライト版『ジゼル』に出演したことがきっかけで、その直後にアンソニー・ダウエルから誘われプリンシパルとして英国ロイヤル・バレエに移籍し、以後、12年間にわたり活躍しました。

2012年に芸術監督としてENBに復帰し、リード・プリンシパル・ダンサーとしても活躍しながら、強力なリーダーシップでENBを世界的なカンパニーに押し上げました。

古典作品のみならず、ピナ・バウシュなどの現代の重要な振付家による作品を積極的に取り入れ、レパートリーを拡充しました。

アクラム・カーンとのコラボレーションでは、現代の移民問題として大胆に解釈し直した『ジゼル』が大きな反響を呼び高く評価されています。

このようにタマラ・ロホはENBの芸術監督に就任以来、意欲作を続々と導入し高い評価を得てきましたが、自身が初めて振り付けた全幕バレエ『ライモンダ』が2022年1月に初演される予定です。

従来の『ライモンダ』は中世を舞台に十字軍の騎士ジャン・ド・ブリエンヌとサラセンの騎士アブデラクマンがライモンダを巡って争う物語ですが、タマラ・ロホは19世紀中期のクリミア戦争に従軍した看護師ナイチンゲールを題材として新たなバレエを創作しました。

なお、タマラ・ロホは夫であり、サンフランシスコ・バレエのプリンシパルに就任することが決まったイサック・エルナンデスとともにサンフランシスコ・バレエに移ります。

イサック・エルナンデスは、ABT II、サンフランシスコ・バレエに在籍していたこともあり、オランダ国立バレエでプリンシパルとして活躍していたときにタマラ・ロホから『白鳥の湖』で客演の誘いを受けたことがきっかけでENBにリード・プリンシパルとして移籍していました。

ENBには、高橋絵里奈さん、加瀬 栞さん、猿橋 賢さん、金原里奈さん、鈴木絵美里さん、山田ウィリアムさん、淵山隼平さん、仲秋連太郎さんら日本人ダンサーも多数在籍して、他方、サンフランシスコ・バレエには倉永美沙さん、松山のりかさん、山本帆介さんらが在籍しています。

タマラ・ロホの後任としてENBの芸術監督に就任するのは誰か、タマラ・ロホが芸術監督に就任してサンフランシスコ・バレエはどのような展開を見せるのか、バレエファンのみならず、所属ダンサーたちも期待と不安が入り混じっているのではないでしょうか。

これからの動向に注目しましょう。