【鑑賞レポ】牧阿佐美バレヱ団『三銃士』光永百花さんコンスタンス役で主演デビュー!(2019年10月6日)

2019年10月5(土)・6日(日)、牧阿佐美バレヱ団は、フランスの文豪アレクサンドル・デュマ原作の小説をバレエにした『三銃士』を文京シビックホールにて上演しました。

主人公ダルタニアンをスタニスラフスキー&ネミロヴィチ=ダンチェンコ記念国立モスクワ音楽劇場バレエ シニア・プリンシパルのドミートリー・ソボレフスキーが演じ、相手役のコンスタンスにはベテランの青山季可さんが演じたほか、若手の光永百花さんが演じ主演デビューを果たしています!

また、三銃士には、ポルトスを持ち役とする清瀧千晴さんに加え、山本達史さんと水井駿介さんが初役に挑みました。

牧阿佐美バレヱ団『三銃士』

光永百花さん主演デビューと水井駿介さん初登場

ダルタニアンにはスタニスラフスキー&ネミロヴィチ=ダンチェンコ記念国立モスクワ音楽劇場バレエ シニア・プリンシパルのドミートリー・ソボレフスキーが演じ、ダルタニアンと恋仲になるコンスタンス役にはベテランの青山季可さんが演じたほか、光永百花さんが演じ主演デビューを果たしました。
バレエで女性の主役といえばお姫様が多いのですが、『三銃士』の場合、アンヌ王妃に使える侍女が主演というのが新鮮でした。
王妃のために危険を顧みずに尽くす姿が新鮮で、アンヌ王妃と侍女コンスタンスの女性同士で踊るパ・ド・ドゥもまた新鮮です。
侍女としての健気さ、ダルタニアンへの恋心が素直に表現されていました。

三銃士のリーダー・アトス役には、今年7月にポーランド国立バレエから移籍したばかりの水井駿介さんが牧阿佐美バレヱ団の公演に初登場しました。
水井さんは、8月に上演された「『NHKバレエの饗宴』特別企画 吉田都引退公演 Last Dance」に阿部裕恵と一緒に牧阿佐美バレヱ団を
代表して出演していましたが、牧阿佐美バレヱ団の公演に出演するのは今回が初めてなんですね。

ソード・ファイト・シーンでは、三銃士役の技巧派ダンサー清瀧さん、山本さん、水野さんが、ダルタニアン役のドミートリー・ソボレフスキーに負けない疾走感で見せ場を作るなど、男性ダンサーが活躍するのもこの演目の特徴です。

枢機卿リシュリューの手先として働く悪女ミレディ役には、当初は日髙有梨さんと中川 郁さんがキャスティングされていましたが、怪我のため日髙さんは降板し中川さんが両日ともにミレディを踊りました。
中川さん演じる悪女ミレディは物語のスパイス的な味付けで、切れのある動きと抜群のバランス感覚で舞台を引き締めていたように感じます。

個人的にツボにはまったのが、ルイ13世を演じた今 勇也さんです。
カツラや衣装、メイクのせいもあるかと思いますが、70~80年代のハード・ロッカーみたいな印象で、どこか両性具有的な表情を湛え、キャラが立ち、圧倒的な存在感を放っていました!

牧阿佐美バレヱ団 2019年10月公演「三銃士」公演前日ゲネプロ映像

牧阿佐美バレヱ団 2019年10月公演「三銃士」公演前日ゲネプロ映像

(YouTube / Asami Maki Ballet Tokyo 公式チャンネル)

『三銃士』の感想

バレエ『三銃士』は、フランスの文豪アレクサンドル・デュマ原作の小説をもとにアンドレ・プロコフスキーが演出・振付を行いバレエ化した作品です。
物語はスピーディーに展開し、見せ場も多い作品でしたが、登場人物の相関関係とあらすじをしっかり理解していないと何が起きているのか分からなくなり、作品を十分に楽しめない印象でした。
スピード感のある展開は現代の時間感覚に合っているものだと思いますが、3幕くらいにして、もう少していねいに話を展開して欲しかったというのが正直な印象です。
ダルタニアンと三銃士それぞれの個性を際立たせることができれば舞台に深みが出るものと思いますが、そこまでするには、時間が足りなさすぎます。
ダルタニアンとコンスタンスの冒険を乗り越えて結ばれる展開も、もう少しスリリングに描ければ、盛り上がり具合がかなり変わるのではないかと思いました。

『三銃士』は、日本では牧阿佐美バレヱ団のみが持つレパートリーです。
見どころが豊富で、個性的なキャラクターが多く登場し、エンターテイメント性の高い冒険活劇は誰もが楽しめる作品ではないでしょうか。
光永百花さんの主演デビュー、水井駿介さんのバレエ団初登場、技巧派が揃った三銃士、悪女役で存在感を示した中川さんら、牧阿佐美バレヱ団ダンサーの層の厚さを誇示した舞台といえそうです。

日髙有梨さんの怪我による降板は非常に残念でしたが、現在、一所懸命、リハビリに励み、順調に回復されているようです。
復帰の舞台が待ち遠しいですね!

牧阿佐美バレヱ団『三銃士』公演概要

公演概要

『三銃士(The Three Musketeers)』
■日程:2019年10月5日(土)15:00/6日(日)14:30
■上演時間:約1時間50分(休憩含む)
■会場:文京シビックホール 大ホール
■演出・振付:アンドレ・プロコフスキー
■原作:アレクサンドル・デュマ
■音楽:ジュゼッペ・ヴェルディ
■編曲:ガイ・ウールフェンデン
■美術・装置デザイン:アレクサンドル・ワシリエフ
■指揮:ウォルフガング・ハインツ(シュツットガルト・バレエ団指揮者)
■演奏:東京オーケストラMIRAI

キャスト

【10月5日(土)】
ダルタニヤン:ドミートリー・ソボレフスキー
コンスタンス:青山季可(あおやま・きか)
ポルトス:清瀧千晴(きよたき・ちはる)
アトス:水井駿介(みずい・しゅんすけ)
アラミス:山本達史(やまもと・さとふみ)
ミレディ:中川 郁(なかがわ・いく)
バッキンガム公爵:菊地 研(きくち・けん)
アンヌ王妃:茂田絵美子(もだ・えみこ)
ルイ13世:今 勇也(こん・ゆうや)

【10月6日(日)】
ダルタニヤン:ドミートリー・ソボレフスキー
コンスタンス:光永百花(みつなが・ももか)
ポルトス:清瀧千晴(きよたき・ちはる)
アトス:水井駿介(みずい・しゅんすけ)
アラミス:山本達史(やまもと・さとふみ)
ミレディ:中川 郁(なかがわ・いく)
(当初、ミレディ役にキャスティングされていた日髙有梨さんは怪我のため降板されました)

バッキンガム公爵:ラグワスレン・オトゴンニャム
アンヌ王妃:佐藤かんな(さとう・かんな)
ルイ13世:今 勇也(こん・ゆうや)

『三銃士』公演関連イベント

今回の『三銃士』の公演では、カーテンコールの際、スマートフォンやタブレット・パソコンでの撮影が許可されました。
海外の舞台では一般的になっているようですが、日本でも徐々に許可される公演が増えているように感じます。

牧阿佐美バレヱ団『三銃士』カーテンコール

また、終演後には主要キャストの握手会も開催されました。
こちらは、当日、会場で牧阿佐美バレヱ団グッズを購入した方を対象に整理券が配布されていました。

次回公演は、2019年12月14日(土)・15日(日)に文京シビックホールにて開催される『くるみ割り人形』です。

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