新国立劇場バレエ団は、2018年2月9日(金)から11日(日)にかけて『ホフマン物語』を上演します。
『ホフマン物語』は、2015/2016シーズンでの初演以来、2シーズンぶりの再演となります。
初演時の2015/2016シーズンは大原永子氏が芸術監督に就任した最初のシーズンであり、そのシーズン開幕を飾る演目として大原監督が選んだのが『ホフマン物語』です。
『ホフマン物語』の上演を間近に控え、舞台鑑賞に備えて予習をしたいと思います。
新国立劇場バレエ団『ホフマン物語』(2017/2018シーズン)公開リハーサル
『ホフマン物語』(2017/2018シーズン)のキャスティング
まず、初演時と今回の主要キャストについて比較してみます。
シーズン |
2015/2016シーズン (10/30-11/3) |
2017/2018シーズン (2/9-11) |
||||||
日 程 |
30日 | 31日 昼 |
31日 夜 |
1日 | 3日 | 9日 | 10日 | 11日 |
ホフマン | 福岡 | 菅野 | 福岡 | 菅野 | 井澤 | 福岡 | 菅野 | 井澤 |
オリンピア | 長田 | 奥田 | 長田 | 奥田 | 長田 | 池田 | 柴山 | 奥田 |
アントニア | 小野 | 米沢 | 小野 | 米沢 | 小野 | 小野 | 小野 | 米沢 |
ジュリエッタ | 米沢 | 本島 | 米沢 | 本島 | 米沢 | 米沢 | 本島 | 木村 |
リンドルフほか(注) | トレウバエフ | 貝川 | トレウバエフ | 貝川 | トレウバエフ | 中家 | 貝川 | 中家 |
(注)リンドルフほか:リンドルフ(プロローグ、エピローグ)、スパランザーニ(第1幕)、ドクターミラクル(第2幕)、ダーパテュート(第3幕)
基本的には初演時と同様ですが、すでに退団した長田佳世さん、登録ダンサーに移行されたマイレン・トレウバエフさんに代わり、それぞれ、池田理沙子さん、柴山紗帆さん、中家正博さんがキャスティングされています。
ジュリエッタについては、前回は本島さんと米沢さんの二人がキャスティングされていますが、今回はこの二人に加えて木村優里さんがキャスティングされています。
高級娼婦という役柄に木村さんがキャスティングされているのは少し意外な気がしますが、『白鳥の湖』でのルースカヤでは艶っぽい踊りを披露されていることを考えれば順当であり、さらに艶めかしい演技力を磨き上げる機会となりそうです。
なお、今回「リンドルフほか」にキャスティングされている中家さんは、2015/2016シーズンでは「幻影たち」と「芸人たち(パ・ド・カトル)」にキャスティングされていましたが、残念ながら怪我に伴い降板されていました。
今回は、リンドルフほかという物語の進行上、重要な役での登板です。
前回の分まで頑張っていただきたいと思います。
前回、今回、前回と今回を合わせてもオリンピア、アントニア、ジュリエッタの女性が演じる三人の主役全てに配役されている人はいません。
それだけ、この三人の性格の全く異なる役を演じ分けることは難しいのでしょう。
しかし、前回につづき唯一、米沢さんはアントニアとジュリエッタの二役にキャスティングされています。
米沢さんがオリンピアを踊らない理由は、他のダンサーも含め、バレエ団全体を考慮し、多くのダンサーに機会を用意しているのではないかと想像します。
見どころ
見どころとして最初に上げるべきなのは、主役が男性ダンサーであることではないでしょうか。
クラシック・バレエの全幕物としは女性が主役を踊り、男性はサポート役として、いかに主役の女性ダンサーを美しく見せるのかということが求められます。
しかし、『ホフマン物語』は男性が主役であり、同一人物ながら青年期から初老まで、幕ごとに異なる年代を演じ分ける必要があり、踊りの技術力に加えて高度な演技力も求められます。
男性プリンシパル三人の奮闘に期待がかかります。
次に注目すべきは、幕ごとに女性の主役ダンサーが入れ替わることです。
多くの演目は全幕を通して同じダンサーが主役を務めますが、『ホフマン物語』の場合、幕ごとに女性の主役が全く性格の異なる登場人物に入れ替わることにより、多くのダンサーに登場機会を提供します。
女性の三人の主人公を簡単に紹介すると…
オリンピアは人形ですが、魔法のメガネをかけさせられたホフマンには人間に見えてしまいます…
バレリーナを夢見るアントニアは三人の女性のなかで唯一ホフマンと両想いですが、病を患っており過度な運動は命の危機に瀕することになります…
ジュリエッタは信仰に生きるホフマンを誘惑する高級娼婦です…
観衆の立場からすれば、バラエティーに富んだ踊り、多くのダンサーの踊りを楽しむことができるといえます。
関連映像
2015/2016シーズンの『ホフマン物語』初演時に公開された映像がありますのでご紹介します。
本番鑑賞前には最適の予習になることと思います。
まず、衣装合わせと稽古風景の映像です。
退団された長田佳世さんのリハーサル風景も観ることができます。
新国立劇場バレエ団『ホフマン物語』(2015/2016シーズン)衣装合わせ&稽古風景
次に、初演時の予告映像です。
なんと、予告映像にはアダム・クーパー(マシュー・ボーン『白鳥の湖』、映画『リトルダンサー』)が『ホフマン物語』について語っています!
彼もホフマンを踊ったことがあるのですね!!
新国立劇場バレエ団『ホフマン物語』(2015/2016シーズン)予告映像
関連イベント
『ホフマン物語』舞台写真展示
チャコット渋谷本店において2015年初演時の『ホフマン物語』の舞台写真が展示行われています。
女性ダンサー5名(小野さん、本島さん、米沢さん、木村さん、柴山さん)のサイン入りトゥシューズも展示されています。
『ホフマン物語』クラスレッスン見学
10日(土)、11日(日)の2日間は、公演に先立って舞台上で行われるクラスレッスン見学会が開催されます。(事前申込制)
バレエをされている方にとってはプロダンサーのレッスンを受ける様子は非常に関心が高いと思います。
プロダンサーが受けるレッスン内容とは?
上達のヒントを見つけられるかな?
レッスンでのプロの動きはどうなの?自分の動きとどう違うんだろう?
プロはどんなレッスン・ウェアを着ているの?自分も真似してそれっぽくなりたい!
興味は尽きません!?
新国立劇場バレエ団 ダンサーの退団
仙頭由貴さんが2月11日付で新国立劇場バレエ団を退団することが発表されています。
『ホフマン物語』が新国ダンサーとしての最後の舞台となります。
仙頭さんはロシア国立ワガノワバレエアカデミーへ留学後、ウィーン国立歌劇場、K-BALLET COMPANY等を経て2015/2016シーズンから新国立劇場バレエ団に入団されましたが、新国では活躍の機会が少なかったように思います。
仙頭さんのファンの方は、何が何でも劇場に足を運びましょう!
『ホフマン物語』(2017/2018シーズン)公演概要
新国立劇場バレエ団 2017/2018シーズン
『ホフマン物語』Tales of Hoffmann
会場 新国立劇場 オペラパレス
日時:2018年2月9日(金)19:00~、10日(土)14:00~、11日(日)14:00~
主要キャストは前半の表を参照してください。