2019年2月18日(月)【2月17日(日)深夜】午前0時00分~のNHK BS プレミアムシアターでは、英国ロイヤル・バレエ『白鳥の湖』とボリショイ・バレエ『黄金時代』(再放送)を放送します。
英国ロイヤル・バレエの『白鳥の湖』は、2018年に初演されたリアム・スカーレットによる新版の放送です。
英国ロイヤル・バレエ『白鳥の湖』とボリショイ・バレエ『黄金時代』をプレミアムシアターで視聴するにあたって参考になる情報をお届けしたいと思います。
NHK BS プレミアムシアター 放送概要
■日程:2019年2月18日(月)【2月17日(日)深夜】0:00~4:10
■チャンネル:NHK BS プレミアム
■内容:
◇本日の番組紹介(0:00:00~0:02:30)
◇英国ロイヤル・バレエ『白鳥の湖』(0:02:30~2:23:30)
◇ボリショイ・バレエ『黄金時代』【再放送】(2:24:30~4:10:00)
なお、ボリショイ・バレエ『黄金時代』は2017年02月20日(月)の再放送です。
英国ロイヤル・バレエ『白鳥の湖』(全4幕)
英国ロイヤル・バレエ『白鳥の湖』(全4幕)について
英国ロイヤル・バレエでは1987年以来、アンソニー・ダウエル版の『白鳥の湖』が上演されていましたが、2018年にはリアム・スカーレットによる新しいプロダクションが上演され、大きな話題になりました。
今回、NHK BS プレミアムシアターで放送されるのが、このリアム・スカーレット版『白鳥の湖』であり、昨年、「英国ロイヤル・オペラハウス・シネマシーズン」で上映された公演です。
英国ロイヤル・バレエの若き常任振付家リアム・スカーレット(Liam Scarlett)は今最も注目されている振付家の一人です。
最近では、ディズニ映画『くるみ割り人形と秘密の王国』でミスティ・コープランドとセルゲイ・ポルーニンが踊ったバレエシーンを振り付けて話題となっていますね!
スカーレット版『白鳥の湖』の特徴
筆者は、昨年上演された「英国ロイヤル・オペラハウス・シネマシーズン」を映画館で鑑賞しており、その感想なども踏まえて、プレミアムシアターを視聴される際に参考となるスカーレット版『白鳥の湖』の特徴などをお知らせしたいと思います。
舞台装置・衣装/チュチュの復活
ダウエル版『白鳥の湖』がヨランダ・ソナベンドの美術により魅力を増したように、スカーレット版ではジョン・マクファーレンの美術に是非注目してみてください。
新制作を打診されたスカーレットさんは、「ジョン・マクファーレン(美術・衣装)がやるなら僕はやる」と答えたほどマクファーレンさんを信頼しているようです。
これには頷ける荘厳で美しい舞台と衣装でした。
また、芸術監督のケヴィン・オヘアさんの意向もあり、白鳥たちの衣装は、ダウエル版の長いスカート(?)から「チュチュ」になっています。
振付・伝統へのリスペクトと新たな試み
振付は伝統に対してリスペクトしつつも新しい取り組みがなされ、第一幕と第三幕は大きく変更されています。
例えば、第一幕は庶民が登場しない貴族のみの設定に変えられ、第三幕で踊られる各国の踊りは改訂されつつも「ナポリの踊り」はフレデリック・アシュトンの振付が残されています。
登場人物
登場人物では、王子の友人ベンノとロットバルトの描かれ方に特徴があるように思います。
王子の友人ベンノという役柄が他の版にあるのかは分かりませんが、ベンノの存在が王子の心情を際立たせるように感じました。
ロットバルトは王妃の助言者としても登場し物語に深く自然に入り込んでいるように感じます。
放送される舞台でベネット・ガートサイドさん演じるロットバルトの存在感が物語に深い影を落とし込んでいるようでした。
一方、残念に感じたのは、道化が登場しないことです。
筆者の知っている『白鳥』では道化の超絶技巧が大きな見どころになっていますが、その道化がそもそも登場しないのは残念ですが、演出上、物語に真実味を持たせるための意図かもしれないと理解しています。
ダンサーの見どころ
主役のマリアネラ・ヌニェスさんとワディム・ムンタギロフさんは誰もが認める実力の持ち主であり、噂に違わぬ踊りと演技を披露しています。
前半の大きな見せ場の一つであるパ・ド・トロワは、王子の友人ベンノと王子の二人の妹が踊ります。
この踊りをアレクサンダー・キャンベルさん、高田 茜さん、フランチェスカ・ヘイワードさんの3人のプリンシパルが踊る贅沢すぎるキャスティングで、見応え充分です!
(プレミアムシアターのサイトでは「アレグザンダー・キャンベル」と濁って表記されています)
また、第1幕の「ワルツとポロネーズ」には金子扶生さんが出演していますので注目してください。
悲劇
バレエ『白鳥の湖』には大きく分けて、悲劇とハッピーエンドがありますが、スカーレット版では、オデットがジークフリートを救済するための自己犠牲を遂げる悲劇として描いています。
悲劇の一言では片付かない、作品の印象を大きく左右するエンディングを皆様ご自身で確認し、感動を味わってください。
演出
リアム・スカーレットさんは「おとぎ話の世界が真実味を持つように、登場人物をリアルに描くことに徹した」と語っているそうです。(引用元:「エンタメ特化型情報メディア スパイス」https://spice.eplus.jp/articles/204318)
この登場人物の描き方が、全編を通して作品の劇的な魅力を一層引き立てていることは間違いないでしょう。
リアム・スカーレットさんの手法が見事な仕事を成し遂げたのでしょう。
筆者は踊りの素晴らしさと同じくらい物語に引き込まれ、感動を味わうことができた作品でした。
Swan Lake trailer (The Royal Ballet)
(YouTube / Royal Opera House 公式チャンネル)
英国ロイヤル・バレエ『白鳥の湖』(全4幕)放送概要
■放送時間 0:02:30~2:23:30
■原振付:マリウス・プティパ、レフ・イワノフ
■追加振付:フレデリック・アシュトン
■改訂振付:リアム・スカーレット
■チャイコフスキー 作曲
■出演
オデット/オディール:マリアネラ・ヌニェス
ジークフリート王子:ワディム・ムンタギロフ
王妃:エリザベス・マクゴリアン
ロットバルト:ベネット・ガートサイド
ベンノ(王子の友人):アレグザンダー・キャンベル
王子の妹:高田 茜、フランチェスカ・ヘイワード ほか英国ロイヤル・バレエ団、英国ロイヤル・バレエ学校
■管弦楽:英国ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団
■指揮:コーエン・ケッセルス
■収録:2018年6月12日 英国ロイヤル・オペラ・ハウス(ロンドン)
【関連記事】
次の記事では、リアム・スカーレット版『白鳥の湖』の予習・復習に最適な動画をまとめて紹介しています。
次の記事は「英国ロイヤル・オペラ・ハウス・シネマシーズン」で上演されたリアム・スカーレット版『白鳥の湖』を鑑賞したときの感想です。
ボリショイ・バレエ『黄金時代』(全2幕)【再放送】
ボリショイ・バレエ『黄金時代』について
『黄金時代』はボリショイ・バレエのみが上演してる演目です。
ショスタコーヴィチが24歳のときに作曲したバレエ音楽は、最初、バレエファンの心を掴むことができなかったそうです。
1930年台にキーロフ劇場で初演された際には成功することなくレパートリーから消えてしまいました。
1982年にグリゴローヴィチの振付で上演されましたが、物語は1920年代のソ連・新経済政策(NEP/ネップ)時代の海辺のレストラン「黄金時代」を舞台とした青年団と暴力団の抗争に変わりました。
バレエ鑑賞においても、舞台の背景を理解するためには世界史の知識が必要のようですね。
(^_^;)
グリゴローヴィチ版はモスクワで約50回上演され、ドイツ、オーストリア、英国、アイルランド、フランス、オランダ、米国、ギリシャ、イタリア、オーストラリアなどでのツアーは成功したそうです。
2006年、グリゴローヴィチは新版を制作しました。
舞台は、前版と同様1920年代のソ連・新経済政策(NEP/ネップ)時代の海辺のレストラン「黄金時代」ですが、物語は若い踊り子・リタをめぐるボリスとヤーシュカの争いとなっています。
The Golden Age | Nina Kaptsova & Mikhail Lobukhin | Bolshoi Ballet 2016 (DVD & Blu-ray trailer)
(YouTube / BelAirClassiques 公式チャンネル)
ボリショイ・バレエ『黄金時代』(全2幕)【再放送】概要
■放送時間 2:24:30~4:10:00
■振付:ユーリ・グリゴローヴィチ
■音楽:ドミートリ・ショスタコーヴィチ
■出演:
リタ(若い踊り子):ニーナ・カプツォーワ
ボリス(若い漁師):ルスラン・スクヴォルツォフ
ヤーシュカ(ギャングのリーダー):ミハイル・ロブーヒン
リューシカ(ギャングの仲間):エカテリーナ・クリサノワ ほかボリショイ劇場バレエ団
■管弦楽:ボリショイ劇場管弦楽団
■指揮:パヴェル・クリニチェフ
■収録:2016年10月13・16日 ボリショイ劇場(モスクワ)
ボリショイ・バレエ『黄金時代』の放送を見られない方へ
2019年2月18日(月)放送のNHK BS プレミアムシアター ボリショイ・バレエ『黄金時代』を見られない方、見逃してしまった方に朗報があります。
2019年5月29日(水)に「ボリショイ・バレエ in シネマ Season 2018 – 2019」で『黄金時代』が上映されます。
詳細は「ボリショイ・バレエ in シネマ」公式サイトをご確認ください。
>>> ボリショイ・バレエ in シネマ