【TV】パリ・オペラ座バレエ「ノートルダム・ド・パリ」/「追悼 舞踊家・牧阿佐美」として牧阿佐美バレヱ団『ライモンダ』『ドン・キホーテ』他を放送(プレミアムシアター/2021年11月21日(日)午後11時20分から放送)

2021年11月21日(日)午後11時20分(23:20)からのNHK BS プレミアムシアターでは、パリ・オペラ座バレエによるローラン・プティ振付「ノートルダム・ド・パリ」、2021年10月20日に87歳で逝去された牧阿佐美さんの追悼番組などが放送されます。

NHK BS プレミアムシアター
2021年11月21日(日)午後11時20分~午前4時08分 放送概要

◇本日の番組紹介(午後11時20分00秒~11時24分00秒)
◇パリ・オペラ座バレエ「ノートルダム・ド・パリ」(午後11時24分00秒~午前0時51分00秒)
◇ドキュメンタリー「バスチーユ建設」(午前0時51分00秒~1時43分30秒)(2021年制作 カナダ)
◇追悼 舞踊家・牧阿佐美(午前1時43分30秒~2時40分30秒)
◇シャンゼリゼ劇場公演 歌劇「オルフェオとエウリディーチェ」【再放送】(午前2時42分30秒~4時08分00秒)
■公式サイト:https://www4.nhk.or.jp/premium/

パリ・オペラ座バレエ
『ノートルダム・ド・パリ』(Notre-Dame de Paris

2021年は、20世紀を代表する振付家の一人であるローラン・プティ(1924年1月13日- 011年7月10日)没後10周年にあたります。

プティは、パリ・オペラ座バレエ学校で学び、1940から1944年まで、短期間ですがパリ・オペラ座バレエに在籍し、退団後にも振付を委嘱されるなど、パリ・オペラ座とは深い縁があります。

パリ・オペラ座バレエは、この記念すべき20/21シーズンに、ローラン・プティの功績に敬意を表し、『ノートルダム・ド・パリ』のほか、「ローラン・プティへのオマージュ」と題したトリプル・ビル公演で『ランデヴー』『若者の死』『カルメン』も上演しました。

今回放送される『ノートルダム・ド・パリ』は、プティが1965年にパリ・オペラ座バレエに振り付けた最初の作品で、ヴィクトル・ユーゴーの小説『ノートルダム・ド・パリ』を基に、プティの台本・振付、イヴ・サン=ローランの衣装で、美しいジプシーの女エスメラルダと醜い男カジモドの関係を中心に描かれた作品です。

カジモド(ステファン・ビュリョン)は、大聖堂の司教代理フロロ(マチアス・エイマン)の庇護を受けて鐘突きの仕事をしていますが、皆から醜い姿を嘲笑されています。

そんなカジモドに美しいジプシーの女エスメラルダ(アマンディーヌ・アルビッソン)は優しく接します。

エスメラルダと歩兵隊長のフェビュス(フロリアン・マニュネ)は愛し合っていますが、横恋慕しているフロロはフェビュスを殺め、エスメラルダに濡れ衣を着せようとします。

醜い男カジモドと彼にはじめて優しく接してくれたエスメラルダとの関係、司教代理でありながら女性に心奪われるフロロの苦悩など、プティは登場人物の心情を巧みに描き、それをアマンディーヌ・アルビッソンやステファン・ビュリョン、マチアス・エイマンといったパリ・オペラ座バレエを代表するエトワール達が見事に演じます。

Notre-Dame de Paris by Roland Petit – Trailer
(YouTube「Opéra national de Paris」チャンネル)

パリ・オペラ座バレエ『ノートルダム・ド・パリ』(全2幕)
■振付・演出:ローラン・プティ
■音楽:モーリス・ジャール
■原作:ヴィクトル・ユゴー
■出演
 エスメラルダ:アマンディーヌ・アルビッソン
 カジモド:ステファン・ビュリョン
 フロロ:マチアス・エイマン
 フェビュス:フロリアン・マニュネ ほか
■管弦楽:パリ・オペラ座管弦楽団
■指揮:ジャン・フランソワ・ヴェルディエ
■収録:2021年3月30日・4月1日(パリ・オペラ座バスチーユ)

ローラン・プティ について

『ノートルダム・ド・パリ』を振り付けたローラン・プティは、モーリス・ベジャールと並び20世紀を代表する振付家と称されています。

1924年にパリ郊外のヴィルモンブルで生まれ、パリ・オペラ座バレエ学校で学びます。

1940年にはパリ・オペラ座バレエに入団しますが、1944年にはパリ・オペラ座バレエを退団し、1945年にシャンゼリゼ・バレエを、1948年にパリ・バレエを設立し、作品を振り付け自ら出演しています。

1972年から1998年までの期間はマルセイユ・バレエの芸術監督として活躍しながら多くの作品を振り付けています。

『ノートルダム・ド・パリ」を含め、『若者と死』や『カルメン』『アルルの女』など、男を破滅させる魔性の女「ファムファタール」をモチーフした作品を複数残していますが、他方で、『こうもり』や『コッペリア』などエスプリの効いた楽しい作品もプティの代表作として高い評価を得ています。

日本では、牧阿佐美バレヱ団が『ノートルダム・ド・パリ』『デューク・エリントン・バレエ』『ピンク・フロイド・バレエ』を、新国立劇場バレエ団が『コッペリア』『こうもり』を、K-BALLET COMPANYが『若者と死』をレパートリーとしています。

また、バレエ用品のレペット(repetto)は、ローラン・プティの助言により母ローズ・レペットが創業しました。

アマンディーヌ・アルビッソン(エトワール)
1999年にパリ・オペラ座バレエ学校に入学し、2006年にコール・ド・バレエとしてパリ・オペラ座バレエに入団。
2009年にコリフェ、2010年にスジェ、2014年にプルミエ・ダンスーズに昇格。
2014年年3月5日、ジョン・クランコ『オネーギン』のタチヤーナ役を踊りエトワールに任命される。

ステファン・ビュリョン(エトワール)
1994年にパリ・オペラ座バレエ学校に入学し、1997年に17歳でコール・ド・バレエとしてパリ・オペラ座バレエに入団。
2001年にコリフェ、2003年にスジェ、2008年にプルミエ・ダンスールに昇格。
2010年6月2日、ルドルフ・ヌレエフ『ラ・バヤデール』でエトワールに任命される。

マチアス・エイマン(エトワール)
2001年にパリ・オペラ座バレエ学校に入学し、2004年に17歳でコール・ド・バレエとしてパリ・オペラ座バレエに入団。
2006年にコリフェ、2007年にスジェ、2008年にプルミエ・ダンスールに昇格。
2009年4月16日、ジョン・クランコ『オネーギン』のレンスキー役を踊りエトワールに任命される。
2012年にブノワ賞

フロリアン・マニュネ(プルミエ・ダンスール)
1993年にパリ・オペラ座バレエ学校に入学し、1999年に18歳でコール・ド・バレエとしてパリ・オペラ座バレエに入団。
2002年にコリフェ、2004年にスジェ、2011年にプルミエ・ダンスールに昇格。

【参考】パリ・オペラ座バレエの階級
パリ・オペラ座バレエの階級は、下から、コール・ド・バレエ、コリフェ、スジェ、プルミエ・ダンスーズ(女性)/プルミエ・ダンスール(男性)、エトワールとなっています。
多くのバレエ団では最高位のダンサーをプリンシパルと呼びますが、パリ・オペラ座バレエではエトワールと呼びます。
昇格は年に1回実施される厳格な昇格試験により判定され、エトワールはバレエ芸術監督の推薦によりパリ・オペラ座総裁が任命します。

追悼 舞踊家・牧阿佐美

もう一つのバレエに関する番組プログラムでは、2021年10月20日(水)に87歳で逝去された牧阿佐美さんの追悼番組が急遽放送されることになり、足跡を辿るとともに牧阿佐美さんが主宰する牧阿佐美バレヱ団が出演した「NHK バレエの饗宴」における公演映像から『ライモンダ』第3幕から「グラン・パ・クラシック」『ドン・キホーテ』第3幕が放送されます。

『ライモンダ』に主演している伊藤友季子さんと京當侑一籠さん、『ドン・キホーテ』に主演している阿部裕恵さん、清瀧千晴さんのいずれもが、牧阿佐美さんが自ら直接指導を行いプロのバレエダンサーを育成することを目指して立ち上げたAMステューデンツの出身者です。

なお、当初予定されていたパリ・オペラ座 創立350年記念ガラ公演【再放送】の放送は取りやめになっています。

牧阿佐美バレヱ団『ライモンダ』第3幕から「グラン・パ・クラシック」
■振付:マリウス・プティパ
■改訂振付:テリー・ウエストモーランド
■音楽:アレクサンドル・グラズノフ
■出演:伊藤友季子、京當侑一籠 ほか 牧阿佐美バレヱ団
■収録:2012年3月30日 NHKホール「NHK バレエの饗宴」より

牧阿佐美バレヱ団『ドン・キホーテ』第3幕
■演出:振付 アザーリ・M・プリセツキー、ワレンティーナ・サーヴィナ(プティパ、ゴルスキー版に基づく)
■音楽:レオン・ミンクス
■出演:阿部裕恵、清瀧千晴 ほか 牧阿佐美バレヱ団
■収録:2019年4月6日 NHKホール「NHK バレエの饗宴」より

牧阿佐美さんについて

牧阿佐美さんは、1934年5月12日に日本バレエ界の草分け的存在である橘秋子さんと牧幹夫さんの長女として生まれました。

1954年には米国に一年間留学し、バレエ・リュスにも参加していたアレクサンドラ・ダニロワらに師事しています。

1956年には、母である橘秋子さんとともに自らの名前を冠した「牧阿佐美バレヱ団」を設立してダンサー、振付家、指導者として八面六臂の活躍を見せます。

1971年の橘秋子さん没後には母の遺志を継ぐためにダンサーを引退し、牧阿佐美バレヱ団主宰者としてバレエ団運営に尽力するとともに橘バレエ学校校長としても優れたダンサーを多数育て上げています。

1979年にはこれとは別に、牧阿佐美さんが自ら直接指導を行いプロのバレエダンサーを育成することを目指してAMステューデンツを立ち上げ、錚々たるダンサーを輩出しています。

主な出身者には、草刈民代さん、酒井はなさん、小嶋直也さん、久保紘一さん、上野水香さん、逸見智彦さん、金森穣さん、青山季可さん、服部有吉さん、本島美和さん、遅沢佑介さん、京當侑一籠さん、伊藤友季子さん、清瀧千晴さん、木村優里さん、阿部裕恵さんらがいます。

1999年7月には新国立劇場の舞踊部門芸術監督に就任し2010年8月に退任するまでの11年間には、バレエ団の底上げに尽力しながら、『ラ・バヤデール』(2000年)、『ライモンダ』(2004年)、『白鳥の湖』(2006年)、『椿姫』(2007年)、『くるみ割り人形』(2009年)などの振り付けも手がけてレパートリーを拡充させています。

新国立劇場・舞踊部門芸術監督在任中の2001年4月には新国立劇場バレエ研修所を開設して自ら所長に就任し、プロのバレエダンサーを育成するためのシステムを構築するとともに、2021年に亡くなるまで後進の育成に尽力しました。