2017年7月1日(土)に新国立劇場バレエ団『ジゼル』を鑑賞しました。
この公演は、『ジゼル』の千秋楽公演であると同時に2016/2017シーズンの最終公演でもあります。
10月に『ロメオとジュリエット』で開幕した今シーズンも終わってしまうとは、時の流れの速さを感じます。
さて、本日の主役は、米沢唯さんと井澤俊さんです。
このペアの『ジゼル』を観るのは6月24日(土)以来、2回目です。(*^^)v
第1幕がはじまると、颯爽と凛々しい格好の男性が走って登場します。すると客席からパラパラと遠慮がちな拍手が起こりました。何か違和感があったのでしょう。拍手は遠慮がちで、後に続く拍手は少なく、すぎに消え去りました。
そうです。やってしまったのです。
最初に出てきたダンサーを主役であるアルベルトと間違えてしまったのです。
6月24日の公演の感想にも書いたとおり、同じ過ちが発生してしまったのです。
(そのときの投稿はこちら)
復習します。最初に出てくるのはアルベルトの従者ウィルフリードで、2番目に登場するのが主役であるアルベルトです!
今回の公演では、4公演を拝見しましたが、何故か、米沢・井澤ペアの日はこのミスが起きていました。
他の2公演ではありませんでした。
観ていない2公演(6/24ソワレ、6/26)での状況が非常に気になります。
あらためて『ジゼル』を観て思うのが、ジゼル役は非常に技術力と体力が必要で、さらに演技力も求められる、ということです。
さらに付け加えると役の解釈も非常に重要で、解釈により踊りと演技も変わってくる、ということです。
米沢さんのジゼルは確かな技術という基礎のうえに、さらに磨かれた演技力が加わり、とても素晴らしいジゼルだったと思います。
しっかりとした技術があるので、さまざまな演技を受け入れるスペースがある、そんな余白を感じる踊りをされていたように思いました。
『ジゼル』という作品は、「愛」というテーマの解釈がとても難しく重要だと思います。
なぜ、あんなひどい目に合ったジゼルがアルベルトを助けるのか・・・
2013年公演の『ジゼル』で演じた「愛」と今回演じた「愛」にはもしかしたら違いがあったのではないか、そんな風に感じました。
前回の公演では、米沢さんにとっては初役で、パートナーである厚地康雄さんも初役でした。
前回公演での経験、その後の人生経験もあり、今回の公演があります。
そして、今回のパートナーは前回とは異なる井澤駿さんです。
米沢さんと井澤さんではキャリアの違いは明白であり、井澤さんにとっては今回が初めての『ジゼル』となれば、リハーサル期間から本番まで、米沢さんがリードする場面も多かったであろうと想像されます。
そういったことが意識しようとしまいと踊り、演技に影響を与えたのではないでしょうか。
このような流れから想像して、前回のときに比べて、男女間のいわゆる「愛」から「母性愛」さらにもっと大きな概念の「愛」に変化していたとしてもおかしくないかなと思いました。
それはとくに第2幕で演じる「愛」について言えるのではないでしょうか。
それは考え過ぎだ、と言われればその通りですが、そんな想像があっても良いのかなと、終演後、少し時間を置いて考える機会がありました。
新国での『ジゼル』再演が何年後になるのか分かりませんが、そのとき、今回踊られたダンサーたちがどのような成長を遂げ、そして、今回とどのように異なる踊り、演技を披露されるのか、そんなことがとても楽しみに感じています。
新国立劇場バレエ団の関係者の皆さま、今シーズンもとても素晴らしい公演の数々を有り難うございました。
来シーズンの開幕が待ち遠しくて待ち遠してくて、待ちきれません。(*’▽’)
また、近いうちに今シーズンの『ジゼル』を振り返る機会、また、今シーズン全体を振り返る機会を持ちたいと思います。