【TV放送】(プレミアムシアター)イングリッシュ・ナショナル・バレエ「ジゼル」、モナコ公国モンテカルロ・バレエ「ル・ソンジュ~夢~」

2018年6月18日(月)【17日(日)深夜】のNHK BS プレミアムシアターでは、以下の通り二つの公演とドキュメンタリーを放送します。

  • イングリッシュ・ナショナル・バレエ『ジゼル』
  • ドキュメンタリー『イングリッシュ・ナショナル・バレエ in パリ』
  • モナコ公国モンテカルロ・バレエ『ル・ソンジュ~夢~』(再放送)

『ジゼル』はロマンティック・バレエを代表作する人気作品であり、また『ル・ソンジュ~夢~』もシェークスピアの『真夏の夜の夢』をもとにしていると聞けば、フレデリック・アシュトンの『真夏の夜の夢』のことかと考え、なじみのある作品だと思いがちです。

しかし、今回、放送される作品は、『ジゼル』がアクラム・カーン氏、『ル・ソンジュ~夢~』がジャン・クリストフ・マイヨー氏の振付であり、従来の作品とは大分異なっているようです。

事前に少し予習をしてみたいと思います。

NHK BSプレミアムシアター放送概要

6月18日(月)【6月17日深夜(日)深夜】0:00~4:30

NHK BSプレミアム

  • 本日の番組紹介
  • イングリッシュ・ナショナル・バレエ「ジゼル」
  • ドキュメンタリー「イングリッシュ・ナショナル・バレエ in パリ」(2016年 イギリス)
  • モナコ公国モンテカルロ・バレエ「ル・ソンジュ~夢~」【再放送】

イングリッシュ・ナショナル・バレエ『ジゼル』

『AKRAM KHAN’S GISELLE』(全2幕)

振付:アクラム・カーン
音楽:アドルフ・アダン
編曲:ヴィンチェンツォ・ラマーニャ、ガヴィン・サザーランド
初演:2016年9月(マンチェスター Palace Theatre)

ジゼル:タマラ・ロホ
アルブレヒト:ジェームズ・ストリーター

収録:2017年10月25・28日(リバプール エンパイア劇場)

今回、放送される『ジゼル』は、一般的に思い起こされるプティパ版あるいはその改訂版とは全く異なる作品のようです。

プティパ版の改訂振付ではなく、カタックというインド舞踊をバックグラウンドを持つコンテンポラリー・ダンサー/振付家であるアクラム・カーン氏がイングリッシュ・ナショナル・バレエのために作品を解釈し直して創作した作品です。

イングリッシュ・ナショナル・バレエのサイトで『AKRAM KHAN’S GISELLE』と表記しているのは、従来のプティパ版とは大きく異なることを明らかにするためではないでしょうか。

『ジゼル』の初演から175年の時を経て、愛、裏切り、罪の償いの物語を現代の社会的状況のなかで解釈し直し創作した際、舞台設定は現代に置き換わっています。

例えば、村娘のジゼルは、この作品では衣料品工場で働く移民労働者として描かれます。

音楽もアドルフ・アダンのものを使用しているのは同じですが、ヴィンチェンツォ・ラマーニャとガヴィン・サザーランドが編曲しているようですので、一般的に知られている『ジゼル』の音楽とどこまで同じか分かりません。

(編曲・指揮のガヴィン・サザーランド氏〈Gavin Sutherland〉は、新国立劇場バレエ団のウエイン・イーグリング版『眠れる森の美女』の編曲者と同一人物です。新国では「ギャヴィンサザーランド」と表記し、NHKでは「ガヴィン・サザーランド」と表記しています)

イングリッシュ・ナショナル・バレエの目指す方向性について公式サイトでは「我々は大胆で野心的であり、タマラ・ロホ芸術監督の指導力のもと、クラシック・バレエの伝統を尊重しつつ、変化を受け入れ、次世代に向けて芸術様式を進化させることを目指している」と説明されています。

変化を受け入れることはとても重要だと思います。

しかし、あまりにも野心的過ぎる進化の仕方には、保守的な私の感性が悲鳴を上げるのではないかと心配になってきました。(>_<)

紹介動画でのアクラム・カーン氏の動きや振付はとても魅力的で引き寄せられますが、『ジゼル』の再解釈ではなく全くの新作にした方が良かったのではないだろうか、と考えてしまうのは私だけではないと思います。

本国イギリスでは大絶賛のうえに再演されているようですが、日本ではどのように受け止められるのか?とても興味深く感じます。

ぜひ、皆さんにもこの問題作(?)をご覧いただきたいと思います!

Akram Khan’s Giselle: In Rehearsal(YouTube English National Ballet 公式チャンネル)

【参考サイト】http://giselle.ballet.org.uk/

コンテンポラリー・ダンサー/振付家 アクラム・カーン

イングリッシュ・ナショナル・バレエ『ジゼル』の振付家アクラム・カーン氏は、1974年生まれのバングラデシュ系イギリス人です。

7才のころからインド古典舞踊のカタックを学んだバックグラウンドを持つコンテンポラリーダンサー/振付家です。

主宰する「Akram Khan Company」では芸術監督も務め、世界的に活躍しています。

アクラム・カーン氏がバックグラウンドに持つカタック(KATHAK)とはなんでしょうか?

調べてみると、ヒンドゥー教寺院で踊られる、神々や叙事詩を舞踊形式にしたもので、16世紀ころに宮廷芸術に発展したようです。

また、アクラム・カーン氏は、『聖なる怪物たち』でシルヴィ・ギエムと共演し、ロンドン・オリンピック開会式では振付・演出・出演を行い、高い評価を得ています。

ちなみに奥様は日本人でインド舞踊のダンサーとのこと。

ドキュメンタリー 「イングリッシュ・ナショナル・バレエ in パリ」(2016年 イギリス)

イングリッシュ・ナショナル・バレエ「ジゼル」の他にドキュメンタリー「イングリッシュ・ナショナル・バレエ in パリ」も放送されますが、内容については不明です。

芸術監督とリード・プリンシパルを兼任するタマラ・ロホ氏とアリーナ・コジョカル氏(リード・プリンシパル)が出演する他、日本人ダンサーでは高橋絵里奈さん(リード・プリンシパル)、加瀬栞さん(プリンシパル)も出演するようです。

モナコ公国モンテカルロ・バレエ『ル・ソンジュ~夢~』

『ル・ソンジュ~夢~』(全2幕)

振付・演出:ジャン・クリストフ・マイヨー
音楽:フェリックス・メンデルスゾーン、ダニエル・テルッジ、ベルトラン・マイヨー
初演:2005年12月

妖精の女王ティターニア:ベルニス・コピエテルス
妖精の王オベロン:ジェローム・マルシャン
妖精パック:ジェローン・ヴェルブルジャン
小姓:アンハラ・バジェステロス
アマゾンの女王ヒッポリータ:サラ・ジェーン・メドレー
アテネ公爵シーシアス:ジャンス・ウェーバー
ハーミアの父イージアス:シリル・ブレアン
ヘレナ:エープリル・バール
ハーミア:ナタリー・ヌードヴィスト
ディミトリアス:アシエ・ウリアゼレカ
ライサンダー:ジュリアン・バンシオン ほか

収録:2008年12月12日(スタジオ収録)

モナコ公国モンテカルロ・バレエ『ル・ソンジュ~夢~』は、アシュトン版『真夏の夜の夢』の古典的な雰囲気とは全く趣が異なるようです。

妖精が電動立ち乗り二輪車のセグウェイに乗ったり、セリフをしゃべったりと、意表を突く演出がされているようです。

イングリッシュ・ナショナル・バレエ『AKRAM KHAN’S GISELLE』のような重苦しさではなく、お気楽に楽しむような作品かもしれませんね。

しかし、ダンサーの動きを見ると、非常に高度な能力が必要ではないかと感じます。

Le Songe – J-Ch. Maillot(YouTube Ballets de Monte-Carlo公式チャンネル)

モナコ公国モンテカルロ・バレエ

1985年、モナコ公国モンテカルロを拠点に創立された比較的、新しいカンパニーのようです。

ところが、創立の経緯をみてみると、ディアギレフのバレエ・リュスがモンテカルロに拠点を定めたことと関係が深いようです。

1911年にバレエ・リュスはモンテカルロに拠点を置き活躍しますが、1929年にディアギレフが亡くなりカンパニーは解散します。

その後、復活の機運が高まり、「バレエ・リュス・ド・モンテカルロ」が創立されるも1950年に解散してしまいます。

しばらくときは流れ、1985年、グレース王妃の娘が創立したのが、現在の「モナコ公国モンテカルロ・バレエ」です。

芸術監督/振付家 ジャン・クリストフ・マイヨー

ジャン・クリストフ・マイヨー氏は、1993年にモナコ公国モンテカルロ・バレエの芸術監督に就任します。

バレエ・リュスの遺産を継承しながらも現代作品の導入にも力を入れ、自ら古典作品を解釈し直した作品も数多く発表しているようです。

代表作は今回放送される『ル・ソンジュ』のほかに、『ロミオとジュリエット』や『シンデレラ』があります。

1960年、フランスのトゥールに生まれ1978年にジョン・ノイマイヤーのハンブルク・バレエにダンサーとして入団します。

1983年にはトゥール・バレエの振付家・ディレクターに就任し、その後、モナコ公国モンテカルロ・バレエに移ります。

独特のセンスの持ち主のようで、彼を紹介する際には、お決まりのように名前の前に「鬼才」をつけ、「鬼才マイヨー」と表現されるのが定番のようです。

新国立劇場 JAPON dance project 2018×新国立劇場バレエ団『Summer / Night / Dream』

話はガラッと変わりますが、新国立劇場では日本人アーティストが中心となって構成・振付を行う「JAPON dance project」というダンス企画を実施しています。

3回目となる今年(2018年)の公演では、遠藤康行さん、小池ミモザさん、柳本雅寛さんの3名が中心となって、シェイクスピアの『真夏の夜の夢』をテーマにしたダンス作品を発表します。

ここで注目すべきは、モナコ公国モンテカルロ・バレエに所属し『ル・ソンジュ』にも出演した経験を持つ小池ミモザさんが参加することです!

同じシェイクスピアの『真夏の夜の夢』を取り上げながら、マイヨー作品を熟知する小池さんがどのような作品に仕上げるのか?(もちろん彼女だけの作品ではありませんが)

モナコ公国モンテカルロ・バレエ『ル・ソンジュ~夢~』の放送と併せて JAPON dance project『Summer / Night / Dream』も鑑賞し、その違いを感じるのも楽しいかもしれませんね。

なお、新国立劇場バレエ団からは、米沢唯さん、渡邊峻郁さん、池田理沙子さん、奥田花純さん、柴山紗帆さん、渡辺与布さん、飯野萌子さん、川口藍さん、 益田裕子さん、原田舞子さんが出演します。

【公演情報】

新国立劇場 JAPON dance project 2018×新国立劇場バレエ団『Summer / Night / Dream』
2018年8月25日(土)14:00
2018年8月26日(日)14:00
新国立劇場 中劇場
S席:6,480円、A席:4,320円
2018年7月1日(日)前売り開始

【公式サイト】JAPON dance project 2018 × 新国立劇場バレエ団「Summer/Night/Dream」