【鑑賞レポ】『くるみ割り人形と秘密の王国』の感想 バレエシーンの振付家も判明!

あのディズニーが『くるみ割り人形』を映画化するということでバレエファンにも話題の『くるみ割り人形と秘密の王国』が2018年11月30日に公開されました!

バレエ『くるみ割り人形』を元にしているだけでもバレエファンにとっては興味深い作品ですが、さらにミスティ・コープランドとセルゲイ・ポルーニンという二人の一流バレエダンサーが出演していることでも話題となっていました。

公開前、バレエシーンの振付家については、出演ダンサーほどには話題になりませんでしたが、その振付家が現在もっとも期待されている人の一人であることが判明しました!

今回は、ディズニー映画『くるみ割り人形と秘密の王国』の感想などについてお伝えします。

まずは手短に率直な感想を

まずは、『くるみ割り人形と秘密の王国』の感想について、ネタバレを最小限にとどめて率直な感想を紹介します。

筆者個人の感想として、手放しで楽しめたかというと微妙ですが、十分に楽しめ、高く評価したい作品だと感じました。

圧倒的な映像美、キャラクターや世界観、妄想を膨らませる余地がたっぷり…といったところが非常に評価が高いポイントです。

手放しで楽しめなかったところは、バレエファンの期待との相違、スケールが壮大過ぎて100分の映画としては消化不良となった点です。

しかし、これらの点は必ずしも否定的なことではなく、捉え方によってはポテンシャルの高さを示すものだと考えています。

出演者では、クララ役のマッケンジー・フォイとシュガー・プラム役のキーラ・ナイトレイがとくに光る演技をしていたと思います。

映画で見た動くマッケンジー・フォイは表情が生き生きとしていて、事前に見ていた写真から受ける印象よりも遥かに素晴らしい女優だと感じました!

バレエファンはどのように受け止めるか?!

ディズニー映画『くるみ割り人形と秘密の王国』は、ディズニーファンのみならずバレエファンにとっても期待作ですが、両者にとって期待することは異なっていると思います。(ディズニーファンでありバレエファンでもある方はいずれの要素も期待されるでしょうが)

多くのバレエファンにとっての期待は次のようなものではないでしょうか。

① 『くるみ割り人形』の世界を写実的な映像で楽しみたい
② ミスティ・コープランドとセルゲイ・ポルーニンのバレエシーンを楽しみたい

もちろん、他にもあろうかと思いますが、筆者の主な期待は上記の二つです。

『くるみ割り人形』の世界観

まず、①の「『くるみ割り人形』の世界」についてですが、これは別次元で楽しめました。

「別次元」というのは、バレエ『くるみ割り人形』の世界そのものを期待していると裏切られます。

これから鑑賞される方には素直に鑑賞していただきたいのでネタバレは最小限に抑えますが、舞台の設定が少し異なったり、同じ登場人物でも与えられる役割や人物像が異なったりしています。

バレエ『くるみ割り人形』の世界を現実世界にしたらどうなるのだろう?という期待もあったので、設定が異なることについては少し残念に思いました。

これが、冒頭で記した手放しで喜べない理由です。

しかし、バレエ『くるみ割り人形』そのものの映画化とは考えず、バレエ『くるみ割り人形』へのオマージュと受け止め、バレエの『くるみ割り人形』を新たに解釈し直し、創作した作品だと捉えると、とてもワクワクする世界を写実的に提示してくれたことは間違いありません。

そして、それはバレエ作品を超えた写実的な映像ならではの圧倒的な映像美でした。

ディズニーによる錚々たるメンバーで作り込まれた世界は、それを見るだけで、空想の世界へと誘ってくれます。

「ヴィクトリア朝時代の世界観」をモチーフにしたという衣装を見ただけでも気分が上がらずにはいられません。

想像力豊かな方であれば妄想が止まらなくなるでしょう!(笑)

「くるみ割り人形と秘密の王国」キャスト・スタッフが語る本作のファッション

「くるみ割り人形と秘密の王国」キャスト・スタッフが語る本作のファッション

(YouTube / ディズニー公式チャンネル)

登場する4つの王国である「花の国」「雪の国」「お菓子の国」「第4の国」はそれぞれとても魅力的な個性を持っているようであり、また、登場人物にも何やらそれぞれの事情がありそうに感じました。

そういった物語に深みを与える人物像や舞台設定をもう少し丁寧に描くには、時間が足りなさ過ぎます!

それくらい、設定は考え込んで作り上げられ、美術・衣装なども作り込まれています。

設定のディテールを簡単に紹介するだけでも関連映画をさらに2、3本くらい簡単に作れるほど壮大なスケールです。

この点が消化不良というかもったいない気がしましたが、あまりにも長い映画は集中力が持続しないと思いますので、しょうがないかとも思います。

いっそうのこと、先述のように、それらを掘り下げる派生的な関連映画をいくつか制作し、さらに壮大な世界を提示してくれることを期待したいですね!

バレエシーン

②のミスティ・コープランドとセルゲイ・ポルーニンのバレエシーンですが、これは思っていた以上の見せ場が用意されていました。

当初は、回想シーンか何かでバレエシーンをチラ見せする程度だろうと思っていたのですが、「劇中劇」ならぬ「映画中バレエの舞台」でしっかり踊っています。

このバレエの舞台は、4つの王国の成り立ちをモチーフに制作されたバレエ作品という設定で、この舞台を見ることにより4つの王国のバックグラウンドを理解することができます。

さらに、バレエシーンはエンドロールにも登場し、ここではヒップホップもあります。

「くるみ割り人形と秘密の王国」バレエでみる≪秘密の王国≫

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(YouTube / ディズニー公式チャンネル)

ディズニー映画『くるみ割り人形と秘密の王国』 バレエシーンを振り付けたのは誰?

公開前にはあまり気にしていなかったのが不思議ですが、バレエシーンには当然、振付家(コリオグラファー)がいるはずです。

公式サイトのスタッフ欄にも振付家の名前が見当たりませんが、映画のプログラムに掲載されていました!

バレエシーンの振付は、なんと!英国ロイヤル・バレエの気鋭の振付家リアム・スカーレットです!!!

なぜ、プロモーションでその事実を明かさなかったのか?!

最大の謎であり、もったいないことです。

その事実を知れば、多くのバレエファンが強い関心を持つはずです!

映画のプログラムにはバレエシーン制作に関する記述もあり、リアム・スカーレットのコメントも掲載されています。

キラキラした表紙に魅力的な写真やイラストも満載です!

興味がある方は、是非、お買い求めください。

720円(税込)です。

熊川哲也さんの感想

注目のバレエシーンですが、素人の感想ではなく、プロの目にはどのように映ったのか、ということも気になりますよね。

ディズニー映画『くるみ割り人形と秘密の王国』については、K-BALLET COMPANYの熊川哲也さんも感想を述べています。

気になるバレエシーンのみならず、映画全体の評価も次のように高く評価されています。

「ダンサーのクオリティーも高く、振り付けも素晴らしい。」

「圧倒的な映像美とディズニーならではのメッセージ性に想像以上に感動し、存分に楽しみました。」

引用元 FILMAGA(いい映画と出会えるwebマガジン/フィルマガ)

>>>【熊川哲也】ディズニーが贈る実写映画版  “くるみ割り人形”の魅力を語る

映画評などを見ると、辛口の評価も見受けられますが、熊川さんの評価を拝見し、その内容には共感することが多々ありました!

ぜひ、皆さんも熊川さんのコメントを確認してみてください!

今後の展開はあるのか?なければ・・・

ディズニー映画『くるみ割り人形と秘密の王国』の主題は、「母を亡くしたクララのこころの成長物語」であるようです。

筆者にはそのように感じられました。

クララが秘密の王国の冒険から現実の世界に戻り、父親に申し出た言葉に「うるうる」した親御さんは少なくないと思います。

そのこころの成長の過程を冒険を通して描くわけですが、せっかく緻密に設定された「4つの王国」とその「統治者」を存分に生かして描写して欲しかったと思います。

例えば、「第4の国」は不気味な設定ですが、不気味さを強調するエピソードが少し乏しいのか、あまり不気味さを感じませんでした。

他の王国との対比や不気味さを感じさせるエピソードがあれば、クララの冒険もさらに迫力が増したように思います。

もちろん時間の制約があることは理解しております。

せっかく緻密に作り上げた設定を生かすためにも、関連映画を制作していただきたい、と願うのは筆者だけでしょうか。

関連映画の制作は現実には実現しそうもありませんので、この設定を生かして自分で妄想してみたいと思います!

ディズニー映画『くるみ割り人形と秘密の王国』の世界観が気に入った方は、ぜひ妄想しましょう!

「くるみ割り人形と秘密の王国」本予告編

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(YouTube / ディズニー公式チャンネル)

これから鑑賞する方へ

これから鑑賞する方へ

ディズニー映画『くるみ割り人形と秘密の王国』は、バレエの『くるみ割り人形』を観たことがなくても、また、ストーリーを知らなくても十分に楽しめる作品です。

登場人物の設定は、同じ名前でもバレエと映画では異なりますので、ポイントとなる登場人物については公式サイトで予習し、頭に入れていた方が良さそうです。

公式サイトで紹介している主要なキャラクター(クララ・シュタールバウム、シュガー・プラム、ドロッセルマイヤー、マザー・ジンジャー、キャプテン・フィリップ)以外にもクララの父親の存在を忘れてはいけません。

クララの冒険に父親は登場しませんが、映画としてはクララと父親の関係が大きな意味を持っています。

クララのお父さんがどのような人なのか、妻(クララのお母さん)の死をどのように受け止めているのか、といったことにも気を留めて鑑賞していただきたいと思います。

また、『ディズニーフォトストーリーブック くるみ割り人形と秘密の王国』が12月12日(水)に発売されます。

128ページ・フルカラー(980円+税)です。

これは、映画を鑑賞する前の予習にも、鑑賞した後の思い出にもぴったりです。

>>> 『ディズニーフォトストーリーブック くるみ割り人形と秘密の王国』

最後に

このディズニー映画『くるみ割り人形と秘密の王国』は、バレエ『くるみ割り人形』に関心がある・なしに関わらず、全ての方が楽しめる映画だと思います。

筆者もバレエファンだからこそ興味を持ったわけですが、バレエとは関係なしに楽しめた上にバレエの魅力も味わえました。

壮大なスケールの舞台設定を生かしきれていないように感じたと記しましたが、その分、いろいろな思いを受け入れる懐の深さがある作品ともいえるかもしれません。

ぜひ、皆さんもこの映画から自分ならではのメッセージを受け取っていただきたいと思います。

長文、駄文、最後までお付き合いいただき、有り難うございました。

皆様の映画鑑賞が素晴らしい体験になりますように!

ディズニー映画『くるみ割り人形と秘密の王国』の詳細は公式サイトをご確認ください。

>>> 『くるみ割り人形と秘密の王国』