2019年3月16日(土)、17日(日)の二日間、新国立劇場・中劇場にて新国立劇場バレエ研修所の公演『エトワールへの道程2019 新国立劇場バレエ研修所の成果』が開催されます。
この公演は、新国立劇場バレエ研修所の研修生・予科生が研修の成果を披露する場であり、第14期生にとっては研修生生活最後の舞台となる修了公演です。
この機会を見逃す訳にはいきません!
【2月22日追記】
2月20日に発表された上演演目を追記しました。
『エトワールへの道程2019 新国立劇場バレエ研修所の成果』 公演概要
公演のポイント
2018年12月20日に公演情報が公式サイト上で公開され、概要が明らかになりました。
まだ未定の部分もありますが、公開された情報をもとに公演のポイントを見ていきたいと思います。
まずは、ダニロワ振付『コッペリア』ですが、皆さんはアレクサンドラ・ダニロワさんをご存知でしょうか?
マリインスキー劇場付属バレエ学校で学び、マリインスキー劇場、バレエ・リュス、バレエ・リュス・ド・モンテカルロなどで活躍した伝説のダンサーです。
牧 阿佐美さんは、米国へ留学していますが、当時アメリカに帰化していたダニロワさんに師事しています。
つまり、ダニロワさんの愛弟子直伝のダニロワ振付『コッペリア』を新国の研修生は踊ることになるのです。
研修生の皆さんにはこの歴史の重みを感じてリハーサルに励んでいただきたいと思いますし、観客としても歴史に思いを馳せながら鑑賞したいと思います。
次に注目したいのは、牧 阿佐美さんがショパンの音楽に振り付ける新作クラシカル・バレエです。
筆者は、何も分からずバレエ鑑賞を始めてから10年以上が過ぎましたが、最近、牧 阿佐美さんのコレオグラファーとしての才能をあらためて感じています。
個人的には新国立劇場バレエ団の舞台を鑑賞する機会が多いため、必然的に牧先生の作品を観る機会が多かった訳ですが、何も考えずに素直に受け入れていました。
その後、他の振付家による同じ演目を観る機会も増えてきて思うようになったことが、牧先生の振付の才能の素晴らしさです。
最近も、ご自身の名前が冠された牧阿佐美バレヱ団で全幕バレエ『飛鳥』を振り付けるなど、創作意欲は旺盛なようです。
奇をてらうことなく美しいラインにより優雅でエレガントな雰囲気を感じさせる牧先生の作品に普遍的なクラシカル・バレエの魅力を感じます。
三つ目は、新国立劇場バレエ研修所でコンテンポラリー・ダンスの指導に当たっている島地保武さんによる新作です。
島地さんは、ドイツのThe Forsythe Company(ザ・フォーサイス・ カンパニー)でも活躍された日本では数少ない本物のコンテンポラリーを知る人です。
その島地さんの新作を新国の研修生がどのように踊るのかも非常に楽しみです。
新国の研修生のコンテンポラリーの実力は、2018年11月に開催された研修所公演「バレエ・オータムコンサート2018」で確認済みです。
その時は、新国立劇場バレエ団の貝川鐡夫さんが振り付けられた『ロマンス』を踊りましたが、その出来映えに新鮮な驚きをもって鑑賞したことを覚えています。
島地作品でも見事な踊りを披露してくれるに違いありません。
公演概要
■日程
2019年3月16日(土)18:00開演
2019年3月17日(日)15:00開演
■会場 新国立劇場 中劇場(京王新線〈都営新宿線乗入〉「初台駅」中央口直結)
■チケット
全席指定3,240円
アトレ会員先行販売期間:2019年1月11日(金)10:00~1月19日(土)
一般発売日:2019年1月21日(月)10:00~
■上演演目(2月20日発表)
『コッペリア』第3幕より
音楽:レオ・ドリーブ
振付:アレクサンドラ・ダニロワ
『ダンス ダンス ショパン』〔新作〕
音楽:フレデリック・ショパン
振付:牧 阿佐美
『彩雲―Iridescent clouds-』〔新作〕
音楽:ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル
振付:島地保武
『ジゼル』より ペザントのパ・ド・ドゥ
音楽:ヨハン・フレデリック・ブルグミューラー
原振付:ジャン・コラーリ/ジュール・ペロー(後にマリウス・プティパ)
『ラ・バヤデール』より 幻想のシーンのパ・ド・ドゥ
音楽:レオン・ミンクス
振付:マリウス・プティパ
『白鳥の湖』より 黒鳥のパ・ド・ドゥ
音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
振付:マリウス・プティパ
■ゲスト
芳賀 望(フリー/元新国立劇場バレエ団ファースト・ソリスト)
小柴富久修(新国立劇場バレエ団 ファースト・アーティスト)
渡邊拓朗(新国立劇場バレエ団 アーティスト/新国立劇場バレエ研修所第12期修了)
■出演
【第14期研修生(2年次)】
岡田百音(おかだ・もね)
髙井惠里(たかい・えり)
多田そのか(ただ・そのか)
パーキンソン・赤城・季亜楽(ぱーきんそん・あかぎ・きあら)
山根くるみ(やまね・くるみ)
仲村啓(なかむら・さとし)
【第15期研修生(1年次)】
阿部純花(あべ・すみか)
岸谷沙七優(きしや・しゃなや)
奈良岡美海(ならおか・みう)
松宮里々子(まつみや・りりこ)
山内優奈(やまうち・ゆな)
井上興紀(いのうえ・ともき)
【予科生】
加藤里佳(かとう・りか)
服部由依(はっとり・ゆい)
吉田朱里(よしだ・あかり)
安達美苑(あだち・みその)
菅沼咲希(すがぬま・さき)
根本真菜美(ねもと・まなみ)
詳細は、新国立劇場バレエ研修所公式サイトをご確認ください。
>>> エトワールへの道程2019 新国立劇場バレエ研修所の成果
最後に
今回は、新国立劇場バレエ研修所公演『エトワールへの道程2019 新国立劇場バレエ研修所の成果』についてお伝えしてきました。
いくつか、公演のポイントを挙げてみましたが、公演の主な目的はなんと言っても「バレエ研修所での研修の成果」を披露することです。
なかでも第14期生にとっては、これが研修生としての最後の舞台であり、その後はそれぞれの道を進んでいかなければなりません。
2年間(予科生からの研修生はそれ以上の期間)、新国立劇場バレエ研修所という日本でもっとも恵まれた環境でバレエの稽古に打ち込んできた気概をもって舞台に臨むことでしょう。
その舞台上で輝く時間を共有できることこそが最大の魅力ではないかと思います。
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