【鑑賞レポ】新国立劇場バレエ研修所公演「バレエ・オータムコンサート2019」11月3日(日)

新国立劇場バレエ研修所は2019年11月2日(土)・3日(日)の二日間、「バレエ・オータムコンサート2019」を新国立劇場 中劇場にて上演し、研修生及び予科生総勢16名が日頃の研修成果を披露しました。
二日間のうち、鑑賞した11月3日(日)の公演について感想も交えてレポートし、併せて新国立劇場バレエ研修所の次回公演と研修所についても簡単に紹介します。

新国立劇場バレエ研修所公演「バレエ・オータムコンサート2019」鑑賞レポート

鑑賞レポート

会場に入ると今年(2019年)3月に研修を修了した第14期生の多田そのかさん、パーキンソン 赤城 季亜楽さんの二人がパンフレットを手渡してくれていました。
スラリと背が高く美しい立ち居振る舞いに、
一見して一般人とは異なることを感じさせます。
研修所を修了してから約半年という短い時間にも関わらず、すっかり大人びた印象でした。

例年、修了生がパンフレット配布をお手伝いするのが習わしのようですね。

さて、新国立劇場演劇研修所第14期生の前田夏美さんが司会進行として登場し、「バレエ・オータムコンサート2019」は開幕しました

最初の演目は牧阿佐美振付『Suite』で、次の演目に出演予定の岸谷沙七優さんを除く研修生・予科生15名が総出演の幕開きを飾るのにふさわしい華やかな演目でした
古典的な振付で、基本の動きを重視しており、その分、正確なポジションやラインが求められる厳しさもあったのではないでしょうか。
とびきり美しいラインを作り出すダンサーもいて、研修生・予科生ながらに感心しました。

続いて、第15期生(2年次)の岸谷沙七優さんがゲストで第6期修了生の宇賀大将さんと組んだ『ラ・シルフィード』第2幕より パ・ド・ドゥ、第16期生(1年次)の石山 蓮さんによる『ラ・バヤデール』よりソロルのヴァリエーション、第15期生(2年次)同士の松宮里々子さんと井上興紀さんによる『パリの炎』よりパ・ド・ドゥを披露しました。
宇賀さんは2011年3月に研修を修了しており、今シーズン(2019/2020シーズン)は9年目のシーズンとなるんですね。
今や中堅ダンサーへと成長し、こうして後輩のサポートをしているのを見ると時の流れの早さを感じます。
『ラ・バヤデール』のソロルのヴァリエーションは技巧的に難しくダイナミックなところが男子に人気があるように思いますが、1年次の石山さんが見事に踊り、会場を沸かせました。
個人的には、ルドルフ・ヌレエフの半生を描いて大ヒットした映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』の印象が強く残っており、音楽を聞いた瞬間に映画のことが蘇ってきてしまいました。
松宮さんと井上さんの『パリの炎』も超絶技巧が求められますが、二人は堂々と踊られました。

その後、研修生たちの日頃の研修の様子を映像で紹介しました。
今年度から男子クラスが新設されたそうで、男性特有の動作にも磨きをかけているようです。
6月に上演された新国立劇場バレエ団の公演『アラジン』では、舞台実習としてプロのダンサーと一緒に舞台に立たれたときの紹介もありました。
公演をご覧になった方は気づいていたかも知れませんね。
昨年から始まった海外研修制度「ANAスカラシップ」の紹介では、『オータム・コンサート2019』を終えた翌週から、
2年次の第15期生は「A.Y.ワガノワ記念ロシア・バレエ・アカデミー」で3週間の研修を受けることが説明されました。
ワガノワ・バレエ・アカデミーといえば、映画『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』の上映やNHKのテレビ番組『BS1スペシャル バレエの王子になる』の放送などもあり、注目が集まっているだけに、とても羨ましく思いますね!
この映像は、例年、公演終了後に公開されていますので、楽しみにしてお待ちください。

その後、スパニッシュ・ダンス『檸檬(レモン)哀歌』を4組の男女が踊りました。
プロのバレエ・ダンサーとしてスパニッシュ・ダンスそのものを踊ることはないかもしれませんが、多くの演目でスパニッシュ・ダンスは登場します。
そのため、本格的なスパニッシュ・ダンスを学ぶことは、将来的に大きな財産になることは間違いないと思います。
狩俣瑠風さんは1年次ながら、長身と大人っぽい表情を生かした好演で確かな印象を残しました。

休憩をはさみ、後半は『くるみ割り人形』第2幕より上演しました。
舞台装置や衣装は牧阿佐美版のものも使用されていたように思います。
バレエ団ではウエイン・イーグリング版を上演しているため、とても嬉しく思いました。
3日の公演では山内優奈さんが金平糖の精を踊り、2日は阿部純花さんが踊ったようです。
スペイン、トレパックも異なるキャストで上演されており、両日鑑賞できなかったことが悔やまれます。

公演の最後には、この公演の翌週に「ANAスカラシップ」でサンクトペテルブルクへと旅立つ第15期生を代表して井上興紀さんが挨拶し、今年4月に入所した第16期生は一人ずつ抱負などを述べました。

感想

今回の公演では、賛助出演として伊東真梨乃さん(第13期生)、山根くるみさん(第14期生)の2名も出演しました。
1、2年前までは、この舞台に立っていた二人ですが、やはり現役の研修生と比べると動きが洗練されているのがはっきりと感じられました。
一部の現役研修生・予科生の方も、久しぶりに先輩二人を交えて稽古を行い、その成長ぶりを感じられたのではないでしょうか。
バレエの道は永遠に完成することはなく、日々の精進の継続が何よりも重要であることを再認識したことと思います。

研修生の中では岸谷沙七優さんの踊りがとても印象に残りました。
今年(2019年)3月に上演された修了公演『エトワールへの道程2019 新国立劇場バレエ研修所の成果』の際、島地保武さんが振り付けた『彩雲―Iridescent clouds-』でもとても素晴らしい踊りを披露されていたことを覚えています。
今回の公演では、
『ラ・シルフィード』第2幕より パ・ド・ドゥ、スパニッシュ・ダンス『檸檬(レモン)哀歌』、『くるみ割り人形』第2幕の「アラビア」を踊りました。
基本がしっかりしているうえに踊りが素直なので、観ていて非常に好感が持てました。
それぞれの作品に求められる役柄も自分なりに理解し表現していることが伝わってきました。
これからのご活躍がとても楽しみなダンサーです!

出演者一人一人についてのコメントは書き切れませんが、全ての方がとても生き生きとしているのが感じられ、踊ることが大好きなんだという気持ちが伝わってきました。
きれいなラインを見せてくれたダンサーが多く、確かな基礎を習得していると感じました。

新国立劇場バレエ研修所に入所し、プロのバレエ・ダンサーになるという明確な目標を持って日々の稽古に精進し、その成果を発表する舞台において少しでも良い舞台をお見せしたい、という気持ちで満ち溢れていたように思います。
約4か月後の2020年3月7日(土)・8日(日)には、今年度最後の舞台『エトワールへの道程2020 新国立劇場バレエ研修所の成果』があります。
短い期間ですが、今回の舞台出演により得た様々な思いを胸にさらなる精進を重ね、次の舞台でも輝く姿を見せてもらえることを期待しています!

公演概要

■日程:2019年11月月3日(日)15:00開演
■会場:新国立劇場 中劇場
■プログラム・出演:
『Suite』

阿部純花、松宮里々子、山内優奈、加藤里佳、狩俣瑠風、服部由依、吉田朱里、安達美苑、菅沼咲希、根本真菜美、縄田花怜
井上興紀、青木恵吾、石山 蓮、土屋文太

『ラ・シルフィード』第2幕より パ・ド・ドゥ
岸谷沙七優、宇賀大将
『ラ・バヤデール』より ソロルのヴァリエーション
石山 蓮
『パリの炎』より パ・ド・ドゥ
松宮里々子、井上興紀
映像 ~研修所の日々~
スパニッシュ・ダンス『檸檬(レモン)哀歌』<初演>
阿部純花、岸谷沙七優、加藤里佳、狩俣瑠風
井上興紀、青木恵吾、石山 蓮、屋文太
[演奏]ギター:フェルミン・ケロル、カンテ:石塚隆充、パルマ:松田知也
『くるみ割り人形』第2幕より
金平糖の精:山内優奈
王子:江本 拓
スペイン:吉田朱里、宇賀大将
アラビア:岸谷沙七優
トレパック:井上興紀、石山 蓮、土屋文太
棒キャンディー:安達美苑、根本真菜美、縄田花怜
花の精:阿部純花、松宮里々子、加藤里佳、狩俣瑠風、服部由依、菅沼咲希
伊東真梨乃、山根くるみ

次回公演

「エトワールへの道程2020 新国立劇場バレエ研修所の成果」
■日程:
・2020年3月7日(土)15:00開演
・2020年3月8日(日)15:00開演
(全2回公演)
■会場:新国立劇場 中劇場(京王新線・都営新宿線乗入「初台駅」中央口直結)
■チケット:全席指定3,300円(税込)
・アトレ会員先行販売期間:2020年1月6日(月)10:00~1月13日(月)
・一般発売日時:2020年1月15日(水)10:00
「エトワールへの道程2020 新国立劇場バレエ研修所の成果」は、2年次である第15期生にとっては修了公演となります。
例年、公演の最後には、修了を控えた2年次生から、研修所からの旅立ちを前にして、研修所での研修を振り返り、今後の抱負について述べる機会があります。
研修成果の踊りのみならず、そんな旅立ちのひと時を共有できる素晴らしい舞台であり、多くの方にご覧いただきたいと思います。

新国立劇場バレエ研修所について

今回の公演を鑑賞し、新国立劇場バレエ研修所に入所したい・してもらいたいと思ったお子さん・親御さんもいらっしゃったのではないでしょうか。
新国立劇場バレエ研修所について簡単にご紹介したいと思います。

新国立劇場バレエ研修所

新国立劇場バレエ研修所は、日本で唯一の国立の劇場付属バレエ研修機関です。
プロのダンサーを目指すための優れたカリキュラムを提供しています。
クラシカル・バレエやパ・ド・ドゥといったバレエダンサーにとって基礎となるクラスはもちろん、キャラクター・ダンスやコンテンポラリー・ダンスも取り入れられています。
実技の他、音楽、バレエ史、身体解剖学、栄養学などの座学も用意され、様々な分野の芸術家などと交流する「サロン」も設けられています。
劇場付属機関であり、バレエ公演はもとより、オペラや演劇の公演を鑑賞する機会があるほか、新国立劇場バレエ団の公演に出演し、プロのダンサーと同じ舞台に立つ機会もあります。

【参考研修所を修了し新国立劇場バレエ団で活躍している現役ダンサー
(ファースト・アーティスト以上)
【プリンシパル】
・本島美和さん(第1期生)
・小野絢子さん(第3期生)
【ファースト・ソリスト】
・寺田亜沙子さん(第2期生)
・木村優里さん(第10期生)
【ソリスト】
・細田千晶さん(第2期生)
【ファースト・アーティスト】
・益田裕子さん(第4期生)
・広瀬 碧さん(第5期生)
・髙橋一輝さん(第5期生)
・宇賀大将さん(第6期生)
・小野寺 雄さん(第7期生)

オーディション

通例、入所する前年の8~9月頃にオーディションの概要が公表され、10月に申込期間があります。
書類審査を経て、12月に第1次から第3次審査まであります。
審査結果は終了してから約2週間後に通知されます。
(残念ながら来年・令和2年入所のオーディション申し込みは終了しています)
年齢は、入所時点で、研修生は17歳以上19歳以下、予科生は15歳または16歳です。
募集人数は、研修生は男女合わせて6名程度、予科生は男女合わせて若干名です。
倍率が
気になるかと思いますが、直近での応募者数と合格者数は次の通りです。
■第16期研修生
・女性(応募者44名、合格者4名)
・男性(応募者5名、合格者3名)
■第11期予科生
・女性(応募者33名、合格者2名)
・男性(応募者4名、合格者0名)

【注】最新情報は新国立劇場バレエ研修所公式サイトでご確認ください。
→ 新国立劇場バレエ研修所公式サイト(トップページ)