【鑑賞レポ】平成30年度 新国立劇場 『こどもシンデレラ』の感想

平成30年度 新国立劇場 こどものためのバレエ劇場『シンデレラ』が、7月21日(土)~24日(火)の4日間に合計8回、上演されました。

主役は、米沢/井澤ペア、細田/奥村ペア、木村/渡邊ペア、池田/木下ペアの4組で、それぞれ2回ずつ出演されています。

このうち、23日(月)11:30開演、23日(月)15:00開演、24日(火)11:30開演、24日(火)15:00開演の4公演を異なるペアで鑑賞しました。

鑑賞した感想やら会場の様子をレポートしたいと思います。

新国立劇場 こどものためのバレエ劇場『シンデレラ』公演概要

◆ 2018年7月21日(土)~24日(火)(各日とも11:30~と15:00~の2回公演)

◆ 新国立劇場 オペラパレス

7/21(土)11:30

  • シンデレラ:米沢唯
  • 王子:井澤駿
  • 姉娘:寺田亜沙子
  • 妹娘:奥田花純
  • 仙女:寺井七海
  • 父親:貝川鐡夫
  • ダンス教師:井澤諒
  • 春の精:柴山紗帆
  • 夏の精:飯野萌子
  • 秋の精:五月女 遥
  • 冬の精:廣田奈々
  • 道化:髙橋一輝
  • ねずみ/小姓:亀井瑠奈、髙瀬水綺

7/21(土)15:00

  • シンデレラ:細田千晶
  • 王子:奥村康祐
  • 姉娘:渡辺与布
  • 妹娘:広瀬碧
  • 仙女:若生 愛
  • 父親:清水裕三郎
  • ダンス教師:小野寺 雄
  • 春の精:柴山紗帆
  • 夏の精:飯野萌子
  • 秋の精:五月女 遥
  • 冬の精:廣田奈々
  • 道化:原 健太
  • ねずみ/小姓:亀井瑠奈、髙瀬水綺

7/22(日)11:30

  • シンデレラ:木村優里
  • 王子:渡邊峻郁
  • 姉娘:益田裕子
  • 妹娘:朝枝尚子
  • 仙女:玉井るい
  • 父親:貝川鐵夫
  • ダンス教師:井澤諒
  • 春の精:原田舞子
  • 夏の精:廣川みくり
  • 秋の精:川口 藍
  • 冬の精:横山柊子
  • 道化:髙橋一輝
  • ねずみ/小姓:立川祥南、望月紗栞

7/22(日)15:00

  • シンデレラ:池田理沙子
  • 王子:木下嘉人
  • 姉娘:寺田亜沙子
  • 妹娘:奥田花純
  • 仙女:寺井七海
  • 父親:原健太
  • ダンス教師:小柴富久修
  • 春の精:柴山紗帆
  • 夏の精:飯野萌子
  • 秋の精:五月女 遥
  • 冬の精:廣田奈々
  • 道化:井澤諒
  • ねずみ/小姓:立川祥南、望月紗栞

7/23(月)11:30

  • シンデレラ:細田千晶
  • 王子:奥村康祐
  • 姉娘:渡辺与布
  • 妹娘:広瀬碧
  • 仙女:若生 愛
  • 父親:清水裕三郎
  • ダンス教師:小野寺 雄
  • 春の精:柴山紗帆
  • 夏の精:飯野萌子
  • 秋の精:五月女 遥
  • 冬の精:廣田奈々
  • 道化:原 健太
  • ねずみ/小姓:立川祥南、望月紗栞

7/23(月)15:00

  • シンデレラ:米沢唯
  • 王子:井澤駿
  • 姉娘:寺田亜沙子
  • 妹娘:奥田花純
  • 仙女:寺井七海
  • 父親:貝川鐡夫
  • ダンス教師:井澤諒
  • 春の精:原田舞子
  • 夏の精:廣川みくり
  • 秋の精:川口 藍
  • 冬の精:横山柊子
  • 道化:髙橋一輝
  • ねずみ/小姓:立川祥南、望月紗栞

7/24(火)11:30

  • シンデレラ:池田理沙子
  • 王子:木下嘉人
  • 姉娘:寺田亜沙子
  • 妹娘:奥田花純
  • 仙女:寺井七海
  • 父親:原健太
  • ダンス教師:小柴富久修
  • 春の精:柴山紗帆
  • 夏の精:飯野萌子
  • 秋の精:五月女 遥
  • 冬の精:廣田奈々
  • 道化:井澤諒
  • ねずみ/小姓:亀井瑠奈、髙瀬水綺

7/24(火)15:00

  • シンデレラ:木村優里
  • 王子:渡邊峻郁
  • 姉娘:益田裕子
  • 妹娘:朝枝尚子
  • 仙女:玉井るい
  • 父親:貝川鐵夫
  • ダンス教師:小野寺 雄
  • 春の精:原田舞子
  • 夏の精:廣川みくり
  • 秋の精:川口 藍
  • 冬の精:横山柊子
  • 道化:原 健太
  • ねずみ/小姓:亀井瑠奈、髙瀬水綺

「こどものためのバレエ劇場『シンデレラ』」の感想

23日(月)11:30 細田千晶/奥村康祐

奥村さんは、中家正博さんが怪我により降板したため、出演されることになりました。

細田さんと奥村さんは『こどもシンデレラ』の前回公演(2015年)でもペアを組んでいますので、3年ぶりですね。

リハーサルが始まって間もない時期のインタビュー記事(エンタメ特化型情報メディア スパイス)では、パートナリングを慎重に詰めている様子が語られていたため、大丈夫なのかな?と少し心配になりました。

しかし、本番までには十分に詰められていたようで、息の合った踊りでした。

とくに、細田シンデレラが奥田王子の肩に飛び乗ったときのタイミング、高さは完璧でした!

肩より飛ぶ高さが低ければ飛び乗れずに落ちてしまい、逆に、高すぎれば、大げさに言うとどすんと落ちるようになるので、本当に微妙な間合いなのだと思います。

それが、この二人はぴったりで、胸がすくダイビングでした。

細田シンデレラが奥村王子の肩に滑らかに収まる制度は、おそらくミリ単位以下だったのではないでしょうか!

まさしく職人技です。( ゚Д゚)

ここまで息を合わせるには、相当な努力を積み重ねられたことと思います。

細かいところに感動し、多くの字数を割いてしまいましたが、7月20日(金)に放送されたNHK BS プレミアム 美の壺「華やかに物語るバレエ」で教えていただいた「壺一、技の要は細部に宿る」を見た思いです。

23日(月)15:00 米沢 唯/井澤 駿

米沢さんと井澤さんはペアを組む機会が続き、6月の『眠れる森の美女』でもパートナリングの深化を感じましたが、今回の『こどもシンデレラ』でも息の合った踊りでした。

とくに米沢さんにはレギュラーシーズンのときとは異なる余裕が感じられた気がします。

大人の審美眼に叶うよう舞台を完璧に仕上げ、そのうえに、メインターゲットであるお子様たちを意識し、いつもとは異なる「対お子様キラーオーラ」(もやは意味不明)を発していたように感じました!?

24日(火)11:00 池田理沙子/木下嘉人

恐らく、このお二人がペアを組んだのは初めてではないかと思いますが、木下さんは勝手なイメージですが、道化として出演されると思い込んでおりました。

良くも悪くも、超絶技巧で場をさらうイメージがつきまといます。

池田さんは、もともと非常に高いレベルで素直で丁寧な踊りをされる方ですが、今でも観る度に成長しているのを感じます。

今回もマネージのときに一際大きな拍手が沸き起こりました。

普段、あまりバレエを観られない方やお子様にも、いや、そうだからこそ、先入観なく池田さんの踊りの質の高さを感じられたのではないでしょうか。

24日(火)15:30 木村優里/渡邊峻郁

木村さんと渡邊さんのペアも、今、まさしくパートナリングを深めつつあるペアですが、今でも十分過ぎるくらいの息の合ったペアです。

この舞台では、渡邊さんは身振りなどは抑制しながらも演技での感情表現が際立っていた気がします。

木村さんのテクニシャンぶりは今さら言っても始まりませんが、池田さんとは全く異なるタイプで、何がどう異なるのか説明せよと言われても上手く説明できないのですが、どちらかというと玄人好みの踊りをされるのではないかと思いました。

木村さんも池田さん同様、マネージの際に大きな拍手が湧き上がりましたが、やはり二人の魅力は全く異なるように思います。

多彩な出演者

姉娘と妹娘

シンデレラの義理の姉ですが、アシュトン版では、男性が演じます。

新国のレギュラーシーズンに上演される『シンデレラ』はアシュトン版で、男性が演じて笑いを誘う役柄です。

この演出に慣れてしまうと、シンデレラの義理の姉を女性が演じると聞くと、初めは違和感を抱きます。

しかし、なかなかどうして、アシュトン版の男性のコミカルな演技も楽しいですが、女性が演じるのを見てみると、また、異なった楽しさがあります。

ポワントで超絶技巧をさりげなく披露するのは女性ならではですし、コミカルな演技も男性に負けていません。

いや、美しい女性ダンサーが少しばかりお下劣な演技をするからこそ、面白さが倍増します!

渡辺与布さん演じる姉娘はとにかくキャラが立っていて、とても印象に残ります。

『眠れる森の美女』でも「カラボス」や「伯爵夫人」を演じ、いい味を出されていました。

踊りはもちろんのこと、存在感だけでも観客を唸らせることができる稀有な存在ではないでしょうか。

「見た瞬間に何かやってくれそう!」そう思わせる雰囲気があります。

妹娘を演じる広瀬碧さんの演技力は非常に魅力的です。

表情が素晴らしく、とにかく演じている本人がとても楽しそうです!(´▽`)

表情の出し方が上手く、起伏に富んだ感情表現をする妹娘役でその真価を発揮していました。

観ているこちらがニヤニヤしてしまう!プププ(^◇^)

そんなハチャメチャな姉娘と妹娘ですが、ポワントで踊ればキレッキレの踊りで、そのギャップもまた楽しいのかも知れません。

字数の関係で他の方の感想が書けなくなりましたが、寺田亜沙子さん、奥田花純さんの悪態ぶり、益田裕子さん、朝枝尚子さんの意地悪な感じもそれぞれの個性を十二分に発揮され、とても楽しいものでした。

寺田さんは、普段、華やかな笑顔が映える踊りをされているからこそ、姉娘での表情が印象的で、今、思い出してもニヤニヤしてしまいます。

皆さんの演技にお子様たちも心底楽しんでいて、新国ファンにとっても鼻高々な気分になりました。

若手ダンサーの活躍

「こどものためのバレエ劇場」では、レギュラーシーズンの公演ではなかなか活躍する場の少ない若手ダンサーも光っていたように思います。

星の精を踊られた中島瑞生さんと渡邊拓朗さんはともに新国立劇場バレエ研修所の修了生ですが、二人とも長身のイケメンです。

背が高いだけでも存在感がありますが、大きなジャンプでも着地音を出さない、見事な身のこなしでした。

主要な役を任されるようになるまでにはもう少し時間が必要かもしれませんが、日本人離れした体格のダンサーがメインで踊られたら、かなり舞台映えするものと思います。

そんな日も、そう遠くないのでしょう。

今春(2018年)、新国立劇場バレエ研修所を修了した中島春菜さんと伊東真梨乃さんも出演されていました。

3月までは研修生でしたが、今はプロのダンサーとして出演されています。

研修生の頃から応援していると、こうしてプロの舞台に立っている姿を観るのは感慨深いものがありました。

こどものためのバレエ劇場 イベント企画など

新国立劇場では、毎年夏休み恒例の企画として、「こどものためのバレエ劇場」を開催し、お子様のバレエ鑑賞デビューを応援しています。

そのため、バレエ鑑賞が初めてでも楽しめるようにさまざまな企画を用意しています。

今年度(平成30年度)のもっとも特徴的だった取り組みは、「カーテンコール撮影」ではないかと思います。

この新たな取り組みも含めて、今年度の企画をまとめてみたいと思います。

「こどものためのバレエ劇場」イベント企画などの概要

平成30年度のイベントは次のような内容でした。

  • バルーンアートショー(バルーンを使っていろいろなオブジェを作ってくれます)
  • おしゃれコーナー(ネイルなどが体験できます)
  • ゲームコーナー(輪投げ、射的などがあります)
  • お菓子のお土産(お子様のみ。株式会社東ハト様のご協力により、お菓子のお土産が配布されました)
  • 【新企画】カーテンコール撮影

ホワイエでは、バレエ衣装の展示や、他のバレエ団の『シンデレラ』上演時のプログラム展示など、展示企画もたくさん用意され、来場者を楽しませていました。

やはりお子様向けの企画だけあって「小学館」の児童書コーナーも人気でした。

ダンサーのサイン入りポワントも展示されていましたが、『眠れる森の美女』のときと同じディスプレイだったようで、今回の主演ダンサーの一人である細田千晶さんのポワントが展示されていなかったのが少し残念でした。

「カーテンコール撮影」について

例年、実施されている恒例イベントの他に「カーテンコール撮影」が実施されたことは、特筆すべき、新たな取り組みでした。

通常公演では、カーテンコールも含め、上演中の撮影、録画、録音は禁止されています。

今回の『こどもシンデレラ』では、カーテンコール中の定められた時間のみですが、写真撮影が許されました。

制限なしに撮影を許可してしまうと、カーテンコールの時間中、拍手もそっちのけで撮影に夢中になってしまいそうなものですが、カーテンコール中の一定時間に区切って許可されたため、きちんと出演者に拍手をすることもできました。

ここら辺は、劇場スタッフの方々がいろいろと悩まれながら進行を考えられたのだと思います。

私も、撮影させていただきましたが、「思い出をご家族、ご友人と共有ください」ということが趣旨でしたので、ブログでの公開は差し控えたいと思います。

悪しからずご了承ください。<m(__)m>

なお、撮影した写真の出来栄えですが、慌ててスマホを起動し、それからカメラを起動し、アングルを定めて・・・としていると気ばかり焦って上手く操作ができず、残念な出来栄えでした。((+_+))

最大の反省点は露出の設定です。

劇場内は暗いところにダンサーには照明が当たっているため、スマホ(iPhone)のカメラを自然に構えただけではダンサーの露出がオーバーになってしまい、白く飛んでしまいました。

近くの方も、スマホが立ち上がった頃にはカーテンコールが終わってしまい、「今頃、立ち上がったよ!」と嘆いていました。

来年も実施していただけるか分かりませんが、開演前には撮影のリハーサルをしておいた方が良さそうですね。

個人的には、撮影には失敗してしまいましたが、このような企画を考えて実施していただいたことにとても感謝しています。

とくに、最近の新国立劇場では、いかに観客が喜ぶことを提供できるかということに真摯に取り組まれている姿勢が感じられます。

これからも様々な企画を実施していただけることを期待したいと思います。

本当の2017/2018シーズンの終わり?

新国立劇場はシーズン制を採用しており、2017/2018シーズンは6月の『眠れる森の美女』で終了したことになっています。

しかし、多くの新国ダンサーが「こどものためのバレエ劇場『シンデレラ』」に出演しており、これで本当にシーズンが終わった、というのが実感ではないでしょうか。

と思ったのもつかの間、終わってすぐの7月28日(土)には『バレエ・アステラス2018』が開催され、米沢 唯さんと奥村康祐さんが出演されます。

また、8月25日(土)、26日(日)開催の「JAPON dance project 2018 × 新国立劇場バレエ団『Summer/Night/Dream』」には、「こどもシンデレラ」にも出演していた米沢 唯さん、渡邊峻郁さん、池田理沙子さん、奥田花純さん、柴山紗帆さん、渡辺与布さん、飯野萌子さん、川口 藍さん、 益田裕子さん、原田舞子さんが出演されます。

これらの舞台に出演されるダンサーはシーズンオフという気分ではないのではないでしょうか。

とくに来シーズン(2018/2019シーズン)のオープニングを飾るのは、新制作の『不思議の国のアリス』ということもあり、リハーサル開始時期も早いのではないでしょうか。

災害級の暑さに見舞われている今年の日本ですが、ダンサーの皆さまには体調にご留意され、ますますご活躍されることを祈念いたします。

舞台を鑑賞する我々観客も体調を崩せば劇場に行くことができませんので、暑さに負けずに頑張りましょう!(´▽`)

今シーズンも拙いブログをご覧いただき、有り難うございました。<m(__)m>