2021年9月19日(日)午後11時20分(23:20)からのNHK BS プレミアムシアターでは、チューリヒ・バレエ「冬の旅」、フランクフルト歌劇場公演「ただあこがれを知る者だけが」、ミハイロフスキー・バレエ「ラ・バヤデール」が放送されます。
シューベルトの同名歌曲集に振り付けられた「冬の旅」はチューリヒ・バレエの芸術監督クリスティアン・シュプックがブノワ賞(振付家部門)を受賞した話題の作品で、「ラ・バヤデール」はミハイロフスキー・バレエの芸術監督ナチョ・ドゥアトが改訂しアンジェリーナ・ヴォロンツォーワがニキヤを演じた注目の作品です。
今回は、この2作品と関連情報をお知らせします。
この記事ではフランクフルト歌劇場公演「ただあこがれを知る者だけが」については触れていません。
NHK BS プレミアムシアター
2021年9月19日(日)放送概要
■日程:2021年9月19日(日)午後11時20分~
■チャンネル:NHK BS プレミアム
■放送内容:
◇本日の番組紹介
◇チューリヒ・バレエ「冬の旅」(午後11時24分00秒~午前1時00分00秒)
◇フランクフルト歌劇場公演「ただあこがれを知る者だけが」 (午前1時01分00秒~2時53分00秒)
◇ミハイロフスキー・バレエ「ラ・バヤデール」【再放送】(午前2時54分30秒~4時33分00秒)
■公式サイト:https://www4.nhk.or.jp/premium/
チューリヒ・バレエ「冬の旅」
チューリヒ・バレエ『冬の旅』は、チューリヒ・バレエの芸術監督も務めるクリスティアン・シュプックが、フランツ・シューベルト(1797〜1828)が作曲し、ハンス・ツェンダー(1936〜2019)が編曲した同名歌曲集に振り付けた作品で、シュプックはこの作品で2019年にブノワ賞(振付家部門)を受賞しています。
シューベルトは19世紀ロマン派を代表する作曲家の一人で、31年という短い生涯において1,000曲以上を残しました。
歌曲集『冬の旅』はドイツの詩人ヴィルヘルム・ミュラー(1794〜1827)の詩に作曲され、全部で24曲で構成されています。
失恋して街を去り、冬の荒野をさまよう若者の心象風景を描いた作品で、シューベルトが亡くなる前年の1827年秋に書かれたシューベルトの代表作であり、あらゆる歌曲集のなかでも最高峰と言われています。
振付をしたクリスティアン・シュプックは、ドイツのジョン・クランコ・バレエ・スクールを卒業しシュツットガルト・バレエなどでダンサー、コレオグラファーとして活躍した後、2012/13シーズンにチューリヒ・バレエの芸術監督に就任し、自ら多くの作品も創作しています。
なかでも、NHK BS プレミアムシアターでも放送された『くるみ割り人形とねずみの王様』は、一般的に上演されているバレエ『くるみ割り人形』とは一線を画した作品で、高い評価を得ています。
なお、クリスティアン・シュプックは2022/23シーズンでチューリヒ・バレエを去り、2023/24シーズンからはベルリン国立バレエの芸術監督に就任することが決まっています。
【関連記事】2023/24シーズンから、クリスティアン・シュプックはベルリン国立バレエ芸術監督に就任し、後任のチューリヒ・バレエ芸術監督にはキャシー・マーストンが就任!
チューリヒ・バレエには日本人ダンサーの前田明里(まえだ・めいり)さんが所属していますが、今回の『冬の旅』でも活躍する姿を確認できます。
【関連動画】チューリヒ・バレエ「冬の旅」(予告編映像)
WINTERREISE
1. Gute Nacht(おやすみ)
2. Die Wetterfahne(風見の旗)
3. Gefrorne Tränen(凍った涙)
4. Erstarrung(氷結)
5. Der Lindenbaum(菩提樹)
6. Wasserflut(溢れる涙)
7. Auf dem Flusse(川の上で)
8. Rückblick(回想)
9. Irrlicht(鬼火)
10. Rast(休息)
11. Frühlingstraum(春の夢)
12. Einsamkeit(孤独)
13. Die Post(郵便馬車)
14. Der greise Kopf(霜おく頭)
15. Die Krähe(Die Krähe)
16. Letzte Hoffnung(最後の希望)
17. Im Dorfe(村にて)
18. Der stürmische Morgen(嵐の朝)
19. Täuschung(まぼろし)
20. Der Wegweiser(道しるべ)
21. Das Wirtshaus(宿屋)
22. Mut!(勇気)
23. Die Nebensonnen(幻の太陽)
24. Der Leiermann(辻音楽師)
■音楽 :
フランツ・シューベルト
ハンス・ツェンダー
■振付 : クリスティアン・シュプック
■出演:チューリヒ・バレエ
■テノール : マウロ・ペーター
■管弦楽 : フィルハーモニア・チューリヒ
■指揮 : ベンジャミン・シュナイダー
■収録 : 2021年2月12・13日 チューリヒ歌劇場(スイス)
ミハイロフスキー・バレエ「ラ・バヤデール」(全3幕)
『ラ・バヤデール』は、古代インドを舞台にした、寺院に仕える舞姫ニキヤと戦士ソロルの悲劇的な恋を描いたマリウス・プティパによるクラシック・バレエの傑作です。
この異国情緒溢れるバレエをミハイロフスキー・バレエの芸術監督でコンテンポラリー・ダンスの振付家でもあるナチョ・ドゥアトが改訂し、2019年に世界初演されました。
ナチョ・ドゥアトによる古典作品の新演出は、『眠りの森の美女』(2011年)、『くるみ割り人形』(2013年)に続き、『ラ・バヤデール』(2019年)が3作品目です。
『ラ・バヤデール』は、古代インドのエキゾチックな世界観や「影の王国」での一糸乱れぬコール・ド・バレエなど、見どころの多い作品ですが、ストーリーやクラシック・バレエの振付はプティパの伝統を尊重しつつ、エキゾティックな踊りをナチョ・ドゥアトらしいコンテンポラリーに置き換え、全体的な演出では現代的な感覚に合うようにコンパクトに仕上げています。
舞台・衣装のデザインは『眠りの森の美女』同様にアンジェリーナ・アトラジックが担当し、卓越した色彩感覚やデザインで鮮やかなステージを演出しています。
寺院の舞姫ニキヤを美しくもはかなく演じているのは、美しきプリンシパルのアンジェリーナ・ヴォロンツォーワです。
ボリショイ・バレエ学校を卒業し、ボリショイ・バレエに入団しニコライ・ツィスカリーゼのパートナーを務めた逸材で、ミハイロフスキー・バレエには2013年に移籍しました。
後述しますが、アンジェリーナ・ヴォロンツォーワは、今見ておくべきダンサーたちが出演するガラ公演で2021年10月に来日予定です。
今回の放送でアンジェリーナ・ヴォロンツォーワの美しい容姿と踊りに魅せられた方には絶好の機会です!
今回放送の映像では、ミハイロフスキー・バレエに所属している日本人ダンサーの田中美波さんも長い手脚を生かした伸びやかな踊りを披露していますので、ぜひ探してみてください。
また、妹の田中玲奈さんも2020年にミハイロフスキーに入団しており、日本公演が実現すれば姉妹共演を日本の舞台で見ることもできるかもしれません。
現在のところ、ミハイロフスキー・バレエの来日は未定ですが、来日の機会も多いカンパニーなので楽しみに待ちましょう!
【関連動画】ミハイロフスキー・バレエ「ラ・バヤデール」(予告編映像)
■音楽 : ルドヴィク・ミンクス
■原振付 : マリウス・プティパ
■改訂振付 : ナチョ・ドゥアト
■出演:
ニキヤ(寺院の舞姫) : アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ
ソロル(戦士) : ヴィクトル・レベデフ
ガムザッティ(王女) : アンドレア・ラザコワ
王(ガムザッティの父) : アンドレイ・カシャネンコ
大僧正 : セルゲイ・ストレルコフ
黄金の神像 : ニキータ・チュテリコフ
ミハイロフスキー劇場バレエ団
■管弦楽 : ミハイロフスキー劇場管弦楽団
■指揮 : パヴェル・ソロキン
■収録 : 2019年11月14・16日 ミハイロフスキー劇場(サンクトペテルブルク)
【関連情報】アンジェリーナ・ヴォロンツォーワ 舞台出演情報(東京・大阪)
ミハイロフスキー・バレエ「ラ・バヤデール」でニキヤを演じたプリンシパルのアンジェリーナ・ヴォロンツォーワが、2021年10月に東京と大阪で開催されるガラ公演「バレエの美神(ミューズ)2021」に出演します!
他にも倉永美沙さん(サンフランシスコ・バレエ/プリンシパル)、アンジェロ・グレコ(サンフランシスコ・バレエ/プリンシパル)、エレオノーラ・セヴェナルド(ボリショイ・バレエ/リーディング・ソリスト)、デニス・ロヂキン(ボリショイ・バレエ/プリンシパル)ら“今”観ておきたい旬のダンサーや飛躍を続ける若手ダンサーたちが出演します。
「バレエの美神(ミューズ)2021」
・2021年10月9日(土)13:30(東京国際フォーラム)
・2021年10月9日(土)17:30(東京国際フォーラム)
・2021年10月10日(日)14:00(東京国際フォーラム)
・2021年10月11日(月)18:30(東大阪市文化創造館)