2017年6月24日(土)13:00に新国立劇場バレエ団の『ジゼル』が開幕しました。
2016/2017シーズンを締めくくる演目です。
なお、本日は2回の公演があり、13:00開演のマチネ公演を鑑賞しました。
ジゼルを米沢唯さんが、アルベルトを井澤駿さんが演じます。
第1幕
幕が上がり、アルベルトの従者ウィルフリードが登場すると、会場からは拍手が沸き起こりました。
さすがに、これは早とちりでしょう。つまり、アルベルトの従者であるウィルフリードを主役であるアルベルトと勘違いしたのだと思います。
確かに、格好良い衣装を着ているので間違えてしまうかもしれません。
アルベルトとウィルフリードが並んでいれば、どちらが主役であるかは、間違えないと思いますが、最初にウィルフリードが一人で登場すると間違えてもいたしかたないですね。
皆さん、お間違えの無いようにお願いいたします。(^^)/
もちろん、アルベルトの登場は大きな拍手で迎えられました。(^^)v
第1幕の最大の見せ場といえば、バチルドによって、アルベルト(ジゼルは農夫ロイスと思っている)が彼女の婚約者であることを告げられ、錯乱して息絶えるシーンですが、今回の米沢さんの演技も見事なものでした。
前回(2013年)公演の際、私は、米沢さん演じる、この狂乱のシーンの衝撃を忘れられません。このときの演技によって、米沢さんというダンサーの評価が、スーパーテクニシャンのみならず演技派という評価が加わったものと私は理解しています。それぐらい鬼気迫る演技でした。
今回の公演での私の鑑賞ポイントの一つは、米沢さんの演技が前回公演から約4年の時を経て、どのような変化を遂げているのか、というものです。
今回の演技も素晴らしいものでしたが、変化も確かに感じられました。それを言葉にして表現するのは非常に難しいのですが、確かに変わっているように思えます。
この点については、7月1日の公演で、今一度探りたいと思っています。
第2幕
この公演でミルタを演じるのは本島美和さんです。
最近は、『パゴダの王子』の皇后エピーヌや『眠れる森の美女』のカラボスなどキャラクター色の強い役が多く、正統派(?)のクラシカルな踊りを拝見したのは久しぶりの様な気がします。
肝心の踊りですが、悪役を演じているときの本島さんは特筆すべき存在感があり、それはそれで非常に魅力的ですが、やはりこういったポアントで踊るクラシカルな役も非常に素晴らしいことを久しぶりに再確認しました。
このような素晴らしいダンサーに主役を踊らせないなんて、なんて贅沢なバレエ団なのだろうと思う人は少なくないはずです。
さて、第2幕といえば、ウィリたちの群舞が大きな見せ場の一つですが、これが本当に素晴らしい出来栄えでした。
幻想的な舞台に無数のロマンティック・チュチュ。アラベスクによって無数の白い扇が姿を現す、その美しさに心が打たれます。
心の琴線に触れる音楽、一糸乱れぬ見事な群舞、あらゆる感覚を通して胸に迫る感動的な時間でした。
皆様にも、ぜひ、この感動を味わっていただきたいと思います。
ウィリとなったジゼルを演じる米沢さんの踊りですが、重力を感じさせない音のしないポワント・ワーク、それは確かな技術によってさらに表現の幅が広がっているように感じました。
技術的にも表現的にも非常に難しい役柄であることを再認識しました。だからこそ、多くのダンサーが踊りたい役に挙げるのでしょう。
踊り続けさせられるアルベルトを演じる井澤さんの演技も見事でした。もう、本当にだめだ、死んでしまう、お願いだから許してくださいって感じが非常に伝わってきます。
このマチネ公演の後、18:00からのソワレ公演では、小野絢子さんと福岡雄大さんが主役を務めています。
米沢さんと井澤さんのペアとは異なるジゼルとアルベルトを演じられるものと思われますが、どのような舞台だったのか、楽しみですね。
私は、この公演を拝見できませんので、小野さんと福岡さんの舞台は、30日(金)まで、おあずけです。