2018年8月10日（金）、大和シティバレエ夏季公演2018（YAMATO CITY BALLET SUMMER CONCERT 2018）が、神奈川県の「大和市文化創造拠点 シリウス 芸術文化ホール」において開催されました。
佐々木三夏バレエアカデミー ジュニア・カンパニーの皆さんとともに国内外で活躍している卒業生、ゲストダンサーが出演しました。
佐々木三夏バレエアカデミーの卒業生として新国立劇場バレエ団の五月女 遥さん、アメリカン・バレエ・シアター（ABT）の相原 舞さん、ハンブルク・バレエの菅井円加さんらが出演したほか、新国現役ダンサーも多数が出演し、舞台をおおいに盛り上げました。
大和シティバレエ夏季公演2018の感想
公演は3部構成となっています。
国を超えて行く物語の旅という設定で3つの旅があります。
最初の旅は、『千夜一夜物語』、次の旅が宝満直也さん振付によるコンテンポラリー作品、最後の旅は佐々木三夏バレエアカデミー・大和シティバレエ主宰者である佐々木三夏先生の30年越しの思いを実現する『ゆきひめ』です。
国を超えて行く物語の旅１『千夜一夜物語』
主役のシェヘラザードは、新国立劇場バレエ団ダンサーで佐々木三夏バレエアカデミーの卒業生でもある五月女 遥さんがキャスティングされ、新国の貝川鐡夫さん演じるシャリアールを相手に物語を紡いでいきます。
アカデミーの生徒さんはもちろん親御さんも憧れの卒業生である五月女さんの踊りに夢中になったのではないでしょうか。
さて、舞台は、妃であるシェヘラザードが王のシャリアールに物語を聞かせる設定で、シンドバッド、アラジンなどの物語が劇中劇のように演じられました。
シンドバッドと少女は新国の木下嘉人さんと奥田花純さんが演じました。
新国の奥村康祐さんはアラジン役で登場し、アメリカン・バレエ・シアター（ABT）の相原 舞さん演じる姫を相手に踊る夢のようなキャスティングです。
こんな贅沢な出演者ですが、それぞれの踊りが短かったのが残念でした。
ABTの相原さんの踊りをもっと観たい、という気持ちになりましたが、それではこの舞台の趣旨からは逸れてしまいますね。
国を超えて行く物語の旅2『三匹の子ぶた』『Ebony Ivory』
第2部はコンテンポラリーの2作品でした。
振付はいずれも若手振付家として目覚ましい活躍をされている宝満直也さんです。
まずは、『三匹の子ぶた』です。
この作品は、新国立劇場の「DANCE to the Future 2016 Autumn」のなかで新国立劇場バレエ団の中から振付家を育てるプロジェクト「NBJ Choreographic Group」で披露された作品です。
宝満さんがNBAバレエ団に移籍する前、新国在籍中の作品です。
オリジナルキャストは、小野絢子さん、八幡顕光さん、福田圭吾さん、池田武志さんの4人でしたが、今回は、小野さんではなく、佐々木三夏バレエアカデミー卒業生であり、現在ハンブルク・バレエに所属する菅井円加さんが踊りました。
最初、菅井さんだと気づかずに観ていましたが、踊りが上手で、とにかく表情が自然な感じで生き生きとしていて、とてもキュートな印象を持ち、このダンサーは誰なんだろう？と興味を持ちました。
あとでキャスティングを確認し菅井さんであることに気づきました。( ﾟДﾟ)
菅井さんの踊りを生で観るのは初めてで、彼女の踊りを生で観たいという思いがこの舞台を鑑賞したいと思った理由の一つでしたが、世界で活躍しているのも大いに頷ける踊りと演技でした。
次は、是非、菅井さんが古典作品を踊る姿をじっくりと鑑賞したいと思います。
2作品めは、宝満さんの新作『Ebony Ivory』です。
新国のプリンシパル 米沢 唯さんを相手に自ら踊りました。
厚みのある大きな壁のようなボードが登場しますが、これを巧みに操り、計算された照明効果を活かしながら、作品を際立たせる大道具として活用していました。
『三匹の子ぶた』とは打って変わり、クールな印象の作品でした。
この新作も、いずれ再演する機会があるかと思います。
ぜひ、楽しみにしていてください。
国を超えて行く物語の旅3『ゆきひめ』
第3部は、佐々木三夏バレエアカデミーと大和シティバレエを主催する佐々木三夏さんの30年越しの思いであったという『ゆきひめ』の上演です。
初演は1972年12月23日です。
「『白鳥の湖』や『ジゼル』の2幕のような白いバレエを日本舞踊で作れないものか」というところから始まったそうです。（公演プログラムより）
そこから小泉八雲の『雪女』を題材とすることが決まったそうです。
その後、いくつかの変遷を経て、すべてをバレエで踊る版を関直人さんが振り付けたそうです。
タイトルロールを新国の小野絢子さんが踊りましたが、雪女のメイクということもあり、いつもの小野さんとは異なる影を落とした美しさがありました。
小野さんはどのような役を与えられても、その役の最も核心的な特徴を体現する表現者として優れているのではないかという印象を持ちました。
この舞台では、そんな小野さんの表現者としての素質をあらためて感じさせられた気がします。
全体の感想
今回の大和シティバレエ夏季公演は前日の8月9日に開催された佐々木三夏バレエアカデミーパフォーマンスと合わせて「LE SPECTACLE 2018」と題されたイベントの一環だったようです。
佐々木三夏バレエアカデミーの生徒の中には両日ともに出演した方も少なくなかったかと思いますが、非常に良く頑張りました。
リハーサルの期間中は、国内外で活躍される多くのプロバレエダンサーと多くの時間を共有し、多くのことを学んだのではないでしょうか。
演目も普段、観る機会の少ない作品であったり、新作も含めたコンテンポラリー作品であったり、戸惑いもあったかと思います。
しかし、このような創作の現場に立ち会う機会というものは、そうそうある訳ではありません。
国内外で活躍するダンサーを何名も輩出し、このような舞台も実現させてしまう主宰者の佐々木三夏先生には本当に脱帽します。
今後も、素晴らしい人材をたくさん育て上げられることでしょう。
今後の大和シティバレエの動向がさらに気になる公演でした。
大和シティバレエ夏季公演2018開催概要
大和シティバレエ夏季公演2018
YAMATO CITY BALLET SUMMER CONCERT 2018
日時 2018年8月10日（金）18:00開演
場所 大和市文化創造拠点 シリウス 芸術文化ホール メインホール
国境を越えて行く物語の旅1
千夜一夜物語
振付改訂：鈴木未央
曲：Fikret Aminov
出演：
シェヘラザード：五月女 遥（新国立劇場バレエ団）
シャリアール：貝川鐡夫（新国立劇場バレエ団）
ヌリダ妃：テーラー麻衣
奴隷：酒井 大
シンドバッド：木下嘉人（新国立劇場バレエ団）
少女：奥田花純（新国立劇場バレエ団）
怪鳥ルフ：西野隼人
アラジン：奥村康祐（新国立劇場バレエ団）
姫：相原 舞（アメリカン・バレエ・シアター）
国境を越えて行く物語の旅2
三匹の子ぶた
振付：宝満直也（NBAバレエ団）
曲：Dmitri Shostakovich
出演：
菅井円加（ハンブルク・バレエ）
八幡顕光（ロスアンゼルスバレエ団）
福田圭吾（新国立劇場バレエ団）
池田武志（スターダンサーズ・バレエ団）
Ebony Ivory
振付：宝満直也（NBAバレエ団）
曲：Philip Glass & Michael Riesman
出演：
米沢 唯（新国立劇場バレエ団）
宝満直也（NBAバレエ団）
国境を越えて行く物語の旅3
ゆきひめ
原案：井上博文
構成：杉 昌郎
振付：関 直人
曲：Richard Wagner
ミストレス：鶴見未穂子
出演：
ゆきひめ：小野絢子（新国立劇場バレエ団）
若者：福岡雄大（新国立劇場バレエ団）
次回公演のご案内
大和シティバレエの次回公演についてご案内します。
THE Nutcracker
YCB & SBAジュニアカンパニー クリスマス公演2018
日時 2018年12月26日（水）時間未定
場所 大和市文化創造拠点シリウス 芸術文化ホール メインホール
詳細が分かりましたらあらためてお知らせしたいと思います。
ぜひ、お楽しみにしてください！