新国立劇場2018/2019シーズンの舞踊部門は、JAPON dance project 2018 × 新国立劇場バレエ団「Summer/Night/Dream」で幕を開けました。
JAPON dance projectと新国立劇場バレエ団のコラボによるコンテンポラリーダンスの舞台鑑賞の感想です。
JAPON dance project 2018 × 新国立劇場バレエ団「Summer/Night/Dream」の感想
感想ですが・・・冒頭でこういうのもなんですが、コンテのことはさっぱり分かりませんので、感想を述べることができません。
がっかりした方には本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。(>_<)
今回、鑑賞することにした決め手は、8/4の記事に書いたように、新国立劇場バレエ団ダンサー、なかでも、渡邊峻郁さんがコンテを踊る舞台を観てみたいという気持ちでした。
(その記事 ⇒ 【公演情報】JAPON dance project 2018 × 新国立劇場バレエ団)
したがいまして、今回は、作品全体の感想は断念し、個人的な視点から感想を記したいと思います。
小池ミモザの存在感、津川友利江の個性、服部有吉のテクニックが光る
JAPON dance project 2018 × 新国立劇場バレエ団 「Summer/Night/Dream」(夏ノ夜ノ夢)を鑑賞し、もっとも印象深かったのは、小池ミモザさんの存在感、津川友利江さんの個性、服部有吉さんのテクニックでした。
小池ミモザさんは、フランス国立リヨン・コンセルヴァトアールを首席で卒業し、モンテカルロ・バレエのプリンシパルを務めるほどの国際的なダンサーです。
ダンスの実力はもちろんのこと、何よりも小池さんの存在感に圧倒的されました。
踊らずとも、そこにいるだけで圧倒される感覚・・・
あたかも仏像を観たときに感じるがごとき根源的な力の発露としての存在感・・・
対して、津川友利江さんは、個性の力で舞台の空気を変幻自在に変えていく印象でした。
津川さんはカンヌ・ロゼラ・ハイタワー・バレエ学校を主席で卒業され、バレエ・プレルジョカージュに入団したという、これまた小池さんに見劣りせぬ経歴の持ち主です。
あの動きと表現を観れば、それも納得しますね。
小池さんの存在感とは対照的に、津川さんを印象付けるのは、踊り(というか動き)と表情・表現から感じる個性あるいはユニークネス(uniqueness)ではないかと感じました。
服部有吉さんについては、ハンブルク・バレエで活躍している日本人がいることは存じ上げていましたが、最近、お見かけしないなと思っている程度でした。
現在はH/Wバレエ学校を立ち上げられ、その運営がメインになっているのでしょうか。
服部さんの踊りをはじめて拝見しましたが、そのテクニックには度肝を抜かれました。( ゚Д゚)
あんな姿勢で回転しながらジャンプして、しかも空を彷徨うがごとき滞空時間と抜群の安定感、さらには、ぴたりと着地を決め、ブレずに着地音もしない・・・
超人的なテクニックは圧巻でした!
(コンテらしく抽象的で理解困難な表現に挑戦してみました)
渡邊峻郁さんのポテンシャルやいかに?新国ダンサーのポテンシャルやいかに?
今回の鑑賞において期待していたことの一つは渡邊峻郁さんのコンテンポラリーダンサーとしての資質でした。
正直なところ、この点については、物足りなさを感じました。
渡邊さんのコンテンポラリーが物足りないということではなく、渡邊さんのコンテについて感想を述べるだけの見せ場がなかったように感じたからです。
他の新国ダンサーのコンテの資質についても同様の感想です。
米沢さんと渡邊さんには役名がついているので、それなりの設定は理解できましたが、他の新国ダンサーが作品上、どのような位置づけなのかは最後まで理解することができませんでした。
「JAPON dance projectメンバー+ゲスト」と「新国ダンサー」とが、ひとつの舞台を繰り広げている印象よりも二つの異質なものがなんとなく同じ舞台上に存在しているという印象を持ちました。
このような感想を持ってしまうのも、ひとえに私のコンテを見る目がないからに違いありません。
もっともっとコンテも勉強せねば・・・
この舞台から期待すること
新国ダンサーはこの舞台を終え、ダンサーとして一回り大きくなったことは間違いないと思います。
新たな挑戦に遣り甲斐達成感も感じたことでしょう。
私が、新国ダンサーにとってこの舞台を経験することにより期待するのは、バレエ・ダンサーとしての成長です。
バレエを極めようとバレエ一筋に取り組むのも一つの手段かと思います。
しかし、バレエ以外の世界を見ることにより今まで気づかなかったことに気づくことも少なくないのではないでしょうか。
今までとは異なる視点を得て、それをバレエへと還元して欲しいのです。
新国立劇場が、コンテンポラリーダンスの専門家と新国ダンサーとのコラボレーションのような企画をする意図の一つにもこのような考えがあると信じています。
気がつけば8月も終わろうとしています。
新国立劇場バレエ団の2018/2019シーズンは新制作11月2日に『不思議の国のアリス』で幕を開きます。
大作の新制作ですから、いつもよりも準備に時間が必要だと思います。
この舞台を終えたばかりですが、新国ダンサーたちは、休む間もなく『アリス』のリハーサルへと突入するのでしょう。
新国ダンサーの皆さんが、今回の舞台での経験を『アリス』の舞台に繋げられることを期待してやみません。
観客への配慮
今回の会場は中劇場でした。
オーケストラピットを埋めて舞台として使用したため、2階席からは見えにくい状況となっていました。
このことに配慮し、シートをかさ上げするためのクッション(子供クッションならぬ大人クッション)を用意していただきました!
また、終演後には、舞台美術の撮影が許可されました!(´▽`)
鑑賞の記念に(*^^)v
これで、このブログをご覧いただいている方にも少しは臨場感をお伝えすることができます。
JAPON dance project 2018 × 新国立劇場バレエ団 「Summer/Night/Dream」 公演概要
2018年8月25日(土)14:00開演
2018年8月26日(日)14:00開演
新国立劇場 中劇場
第1幕 14:00~15:05
第2幕 15:25~15:50
【演出・振付・出演】
JAPON dance project
遠藤康行
小池ミモザ
柳本雅寛
【振付・出演】
ゲストダンサー
服部有吉
津川友利江
【出演】
新国立劇場バレエ団
米沢 唯
渡邊峻郁
池田理沙子
柴山紗帆
渡辺与布
飯野萌子
川口 藍
益田裕子
原田舞子
(奥田花純さんは怪我のため、降板されました)