2018年11月、ドイツのシュツットガルト・バレエ団が3年ぶりに来日します。
上演するのは、シュツットガルト・バレエを世界有数のバレエ団へと押し上げたジョン・クランコの代表作『オネーギン』と『白鳥の湖』です。
出演するのは、シュツットガルト・バレエの看板ペア、アリシア・アマトリアンとフリーデマン・フォーゲルに加え、マリインスキー・バレエのディアナ・ヴィシニョーワ、パリ・オペラ座バレエのマチュー・ガニオもゲスト出演する豪華な舞台です。
また、東京公演のほか、兵庫公演も予定されています。
シュツットガルト・バレエ団
ドイツ南西部のシュツットガルト(シュトゥットガルト)を拠点に活動するバレエ団。
ジャン=ジョルジュ・ノヴェール、フィリッポ・タリオーニなどが基礎を築いたが、世界的なカンパニーに押し上げたのは、1961年に芸術監督に就任した天才振付家ジョン・クランコです。
『オネーギン』をはじめ、ドラマティック・バレエの名作を数多く世に送り出しました。
ジョン・クランコが亡くなった後も、クランコのミューズであったマリシア・ハイデやリード・アンダーソンらの歴代芸術監督はクランコの伝統を守り続けています。
2018年9月には、ハイデの薫陶を受けたタマシュ・デートリッヒが芸術監督に就任しました。
今回の来日公演は、デートリッヒ芸術監督就任後、初めての海外公演となります。
『オネーギン』
クランコの『オネーギン』という演目は、マクミランの『ロミオとジュリエット』同様、多くのトップダンサーから「いつか踊りたい演目」と言われている印象が非常に強い気がします。
今回の上演でも、マリインスキー・バレエのディアナ・ヴィシニョーワとバリ・オペラ座バレエ団のマチュー・ガニオというスーパースターが客演します。
『オネーギン』は、ロシアのプーシキンの小説『エフゲニー・オネーギン』を原作にジョン・クランコが振り付けたドラマティック・バレエの最高傑作の一つ。
第1幕では、田舎に暮らすタチヤーナは都会から来た洗練されたオネーギンに恋をするが、オネーギンは田舎娘につれない。
オネーギンはある事件により田舎を去ることになります。
その後、第3幕では、立場が逆転します。
タチヤーナの住む田舎に戻って来たオネーギンは美しく教養のある淑女となったタチヤーナに惚れてしまいます。
しかし、人妻となっていたタチヤーナはオネーギンを愛していながらも貞淑を守るために彼の求愛を拒みます。
このような複雑な心理描写をいかに踊りで表現するのか、振付家クランコの手腕とダンサーの役への理解力と表現力が、非常に高いレベルで求められます。
それゆえ、多くのダンサーがこの作品を踊ることに魅力を感じるのでしょう。
極めて短くしたあらすじからは、オネーギンという人物はどうしようもない人間としか思えず、この作品に感動できるのだろうかという強い疑念が湧いてきます。(´▽`)
そういった思いにフリーデマン・フォーゲルの言葉は作品理解の大きな助けになりそうです。
(この作品が観客を魅了してやまない理由を問われて)
「私たちの人生そのものを映し出すからでしょう。確かにオネーギンという人物は、好人物ではありません。(中略)人間は善人ばかりではありませんから、誰しも、同じような状況に遭遇したことがあるはずです。オネーギンの狭量さに共感できなくても、彼の生き方に心を動かされるのだと思います」
引用元:公益財団法人日本舞台芸術振興会『NBS NEWS Vol.376 2018.6』
こう語るフリーデマン・フォーゲルさんは、意外なことにオネーギン役を初めて演じたのは4年前だそうです。
1998年にシュツットガルト・バレエに入団し、円熟期にあるフリーデマン・フォーゲルさんが満を持して演じるオネーギンは、伝統の重さを感じさせる感動の舞台になるに違いありません。
『オネーギン』 ~シュツットガルト・バレエ団2018年日本公演
(YouTube / NBS/日本舞台芸術振興会 公式チャンネル)
『白鳥の湖』
クランコ版『白鳥の湖』は、もう一方の上演演目『オネーギン』と比べると、やや知られていないように思います。
特徴はどのようなものでしょうか?
8月の世界バレエフェスティバルで来日した際に行われた記者会見でシュツットガルト・バレエ プリンシパル フリーデマン・フォーゲルが次のようにコメントしています。
「第3幕まではよく知られた『白鳥の湖』かもしれません。が、第4幕はクランコのすべてが詰まったすばらしい幕。演じたあとは、しばらくその世界から抜け出せないほど」
(引用元:https://natalie.mu/stage/news/298333)
「クランコのすべてが詰まった」とは、なんとも濃密な表現です。
クランコといえば、なんと言ってもドラマティックな印象が思い浮かぶと思います。
『白鳥』にどのようなドラマティックな演出をしているのか、彼の『白鳥』を観たことのないバレエファンにとっては非常に興味深いのではないでしょうか。
クランコ版『白鳥』は悲劇として描かれています。
一般的な悲劇の『白鳥』のラストはオデットが息絶えジークフリート王子が悲嘆にくれるものだと思いますが、クランコ版では大洪水という大迫力の演出による一般的なものとは異なる結末が待ち受けているそうです。
どのような結末が待ち受けているのでしょうか?
この悲劇の結末の目撃者になるのはあなたです!
『白鳥の湖』~ シュツットガルト・バレエ団2018年日本公演
(YouTube / NBS/日本舞台芸術振興会 公式チャンネル)
シュツットガルト・バレエ団来日公演概要(東京)
『オネーギン』(全3幕)
【日時】
2018年11月2日(金)19:00
2018年11月3日(土・祝)14:00
2018年11月4日(日)14:00
【会場】
東京文化会館(最寄駅:上野)
【入場料(税込)】
S席\20,000/A席\18,000/B席\16,000/C席\13,000/D席\10,000/E席/\7,000
学生券\3,000/ペア割引 (S,A,B)2枚で1,000円割引
【キャスト】
11/2(金)
タチヤーナ:アリシア・アマトリアン
オネーギン:フリーデマン・フォーゲル
オリガ:エリサ・バデネス
レンスキー:デヴィッド・ムーア
グレーミン:ロマン・ノヴィツキー
11/3(土・祝)
タチヤーナ:ディアナ・ヴィシニョーワ(マリインスキー・バレエ)
オネーギン:ジェイソン・レイリー
オリガ:アンナ・オサチェンコ
レンスキー:マルティ・フェルナンデス・パイシャ
グレーミン:ロマン・ノヴィツキー
11/4(日)
タチヤーナ:エリサ・バデネス
オネーギン:マチュー・ガニオ(パリ・オペラ座バレエ団)
オリガ:ジェシカ・ファイフ
レンスキー:アドナイ・ソアレス・ダ・シルヴァ
グレーミン:マテオ・クロッカード=ヴィラ
『白鳥の湖』(全4幕)
【日時】
2018年11月9日(金)18:30
2018年11月10日(土)14:00
2018年11月11日(日)14:00
【会場】
東京文化会館(最寄駅:上野)
【入場料(税込)】
S席\19,000/A席\17,000/B席\15,000/C席\12,000/D席\9,000/E席/\6,000
学生券\3,000/ペア割引 (S,A,B)2枚で1,000円割引
【キャスト】
11/9(金)
オデット/オディール:アリシア・アマトリアン
ジークフリート王子:フリーデマン・フォーゲル
11/10(土)
オデット/オディール:エリサ・バデネス
ジークフリート王子:アドナイ・ソアレス・ダ・シルヴァ
11/11(日)
オデット/オディール:アンナ・オサチェンコ
ジークフリート王子:デヴィッド・ムーア
出演者はやむを得ぬ理由により変更になる場合もあります。
シュツットガルト・バレエ団 2018年来日公演の詳細はNBS 公益財団法人日本舞台芸術振興会の公式ページでご確認ください。
⇒ https://www.nbs.or.jp/stages/2018/stuttgart/index.html
シュツットガルト・バレエ団来日公演概要(兵庫)
『白鳥の湖』(全4幕)
【日時】
2018年11月17日(土)14:00
【会場】
芸術文化センター KOBELCO大ホール
(阪急電鉄 神戸線 「西宮北口」から徒歩2分/JR東海道線 「西宮」から徒歩15分)
【入場料(税込)】
S席¥21,000/A席¥18,000/B席¥15,000/C席¥12,000/D席¥9,000/SS席¥25,000
【キャスト】
オデット/オディール:アリシア・アマトリアン
ジークフリート王子:フリーデマン・フォーゲル
出演者はやむを得ぬ理由により変更になる場合もあります。
シュツットガルト・バレエ団 兵庫公演の詳細は兵庫県立芸術文化センター公式ページでご確認ください。
⇒ https://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=4300811316&sid=0000000001
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