【公演情報】新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』《握手会の開催にも期待!》(2018年12月)

新国立劇場バレエ団は2018年12月に『くるみ割り人形』を上演します。

昨シーズン(2017/2018シーズン)の開幕公演として新制作されたウエイン・イーグリング版『くるみ割り人形』が早くも再演されます!

例年、新国立劇場バレエ団の年末公演には主演ダンサーの握手会が開催されていますが、今回も年末恒例の握手会の開催はあるのでしょうか?

期待に胸が膨らみます!

新国立劇場バレエ団の『くるみ割り人形』について

新国立劇場バレエ団の2018/2019シーズンに上演される『くるみ割り人形』は2017年10月末に初演されたウエイン・イーグリング版です。

従来、新国立劇場バレエ団は年末公演に『くるみ割り人形』と『シンデレラ』を交互に上演していました。

これはクリスマス・シーズンの華やいだ気分を盛り上げるためだと思います。

しかし、2017年は10月から11月にかけてのシーズン開幕演目として『くるみ割り人形』を新制作し上演したことにより、年末の公演は『シンデレラ』で2016年から2年連続の上演となりました。

2018/2019シーズンでは、2018年末の公演に『くるみ割り人形』を上演し、2019年の4月末から5月にかけて『シンデレラ』を上演します。

なお、新国立劇場バレエ団における『くるみ割り人形』は、ウエイン・イーグリング版が上演される前には牧阿佐美版が上演されていました。

牧 阿佐美版『くるみ割り人形』

牧阿佐美版『くるみ割り人形』は、当時の芸術監督であった牧阿佐美さんが改訂振付し、2009年12月に初演された作品です。

牧阿佐美版の特徴のひとつは、現代から『くるみ割り人形』の世界にスリップするという設定です。

そのためプロローグで窓から見える景色は西新宿の高層ビルをモチーフにしています。

これは、初台(新宿の隣)を拠点に活動する新国立劇場バレエ団ならではですね。

振り付けは、牧阿佐美さんらしく、上品で美しいラインに満ち、クラシック・バレエの醍醐味を味わうことができます。

構成も奇をてらったところがなく、とても自然な流れで物語が進んで行きます。

オラフ・ツォンベック氏による装置・衣装は、華やか、かつ、エレガントな印象を与え、観客を『くるみ割り人形』の夢の世界に引き込むことに成功していたと思います。

ウエイン・イーグリング版『くるみ割り人形』

ウエイン・イーグリング版『くるみ割り人形』の特徴はいろいろありますが、3つだけ挙げるとすれば、次の3つを挙げたいと思います。

①クララの成長物語

②男性ダンサーの活躍

・くるみ割り人形、王子、ドロッセルマイヤーの甥の三役を主役が一人で踊る。
・ねずみの王様を主役級ダンサーが踊り、しっかりとしたキャラクターとしている。

③ジュニアダンサー(子ども)が大勢出演する。

①クララの成長物語

第1幕の前半までは現実世界であり、12才のクララは年相応のちびっこバレリーナが踊ります。

真夜中になり、夢の中でクララは18才のレディーとなります。

レディーとなったクララは主役ダンサーが踊り、第2幕のお菓子の国で各国の踊りが披露された後にはこんぺい糖の精となり、王子となった憧れの存在であるドロッセルマイヤーの甥とパ・ド・ドゥを踊ります。

クララは、現実世界のパーティーで見かけた士官服を着たドロッセルマイヤーの甥に憧れを抱き、夢の中では王子となった甥との恋が成就します。

クララと甥(王子)のパ・ド・ドゥが新たに加えられ、マクミラン作品のようなロマンティックな気分になります。(王子はとてもハードなそうですが…)

②男性ダンサーの活躍

ウエイン・イーグリング版『くるみ割り人形』の最大の特徴は、くるみ割り人形、王子、ドロッセルマイヤーの甥の三役を男性の主役ダンサーが一人で踊ることにあります。

一人三役ともなればほぼ舞台に出ずっぱりで、そのうえ、イーグリングさんの振り付けはハードです。

イーグリングさんがパ・ド・ドゥを得意としていたこともあり、この『くるみ割り人形』のパ・ド・ドゥはとても難しい踊りになっているようで、主役を踊った男性ダンサーは一様に非常にハードな役だと述べています。

原題『THE NUTCRACKER AND THE MOUSE KING(くるみ割り人形とねずみの王様)』に《ねずみの王様》が入っているようにイーグリング版では《ねずみの王様》が活躍します。

新国立劇場バレエ団のサイト、リーフレット、DVDなどでの日本語タイトルこそ『くるみ割り人形』ですが、必ず英語表記『THE NUTCRACKER AND THE MOUSE KING』も一緒に記載され、そのことをアピールしているかのようです!

この《ねずみの王様》役はダンサーにも好評(?)のようで、とくにプリンシパルの奥村康祐さんは「入団以来、一番のハマリ役ではないかと言われた」と嬉しそうに述べているほどです。

③ちびっこダンサー(子ども)が大勢出演する。

パーティーの場面では、子ども役はちびっこダンサーが踊り、《ねずみの王様》以外のねずみもちびっこダンサーが踊ります。

ちびっこを大勢出演させる理由の一つとして、舞台を観た子どもが自分と同年代のダンサーが舞台上で踊る姿を観てバレエを習うようになって欲しい、というイーグリングさんの意図があります。

バレエを習い始めるお子様が増えて欲しいという考えは筆者も同意見であり、イーグリングさんの目論見通り、バレエを習い始めるお子様が増えることも大いに期待できると思います。

しかし、初演時の新聞の評価では子どもの出演に否定的な意見が掲載されていたのも事実です。

ここはバランスの問題だと思います。

舞台を鑑賞して、皆様は子供の出演をどのように感じるでしょうか?

『くるみ割り人形』(2018/2019シーズン)のみどころ

上記3つの特徴もみどころですが、その他にも、みどころがたくさんありますので簡単に紹介したいと思います。

パーティでの見せ物の踊り、ディベルティスマンのスペイン、アラビア、中国、ロシアの踊りも見慣れた踊りとは異なる振付・演出がなされていて、新鮮な気持ちで鑑賞できると思います。

しかし、定番の踊りを期待していると「これは違う!」と拒絶反応を示すことがあるかもしれません!

また、雪の結晶(雪片)、花のワルツなどの群舞は新国立劇場バレエ団ならではの統制の取れた美しさで非常に見応えがあります。

花のワルツはポピーの花のオレンジをイメージした衣装が色鮮やかで、変幻自在のフォーメーションの美しさは特筆すべきです。

このシーンに限っては、コールドの美しさを堪能できる2階以上の席がお薦めです。

主役は、昨年(2017年)の初演時と同じ組み合わせの4組が登場しますが、実は希少価値のある組み合わせが一組あります。

それは《池田理沙子さんと奥村康祐さんのペア》です。

昨年も一緒に組まれた二人ですが、二人が主演した公演は貸切であったため、一般の観客は鑑賞することができませんでした!!!

今年のキャスティングを見てリベンジを果たせることに喜んだ人も少なくないと思います。

【2018年10月31日追加】
3分でわかる!バレエ『くるみ割り人形』|新国立劇場バレエ団

3分でわかる!バレエ『くるみ割り人形』|新国立劇場バレエ団

(YouTube / 新国立劇場 New National Theatre Tokyo 公式チャンネル)

初演時(2017年10月から11月)のリハーサル風景とインタビューの動画です。

作品に対する理解を深め、鑑賞するのが待ち遠しくなります!

新国立劇場バレエ団「くるみ割り人形」公開リハーサル&インタビュー

新国立劇場バレエ団「くるみ割り人形」公開リハーサル&インタビュー

(YouTube / 新国立劇場 New National Theatre Tokyo 公式チャンネル)

年末公演恒例のイベントについて

新国立劇場バレエ団の年末公演では、公演期間中にイベントを開催することが恒例となっており、クリスマスの華やいだ気分が盛り上がります!

クリスマス気分を盛り上げ、お子様にも大好評のバルーンアートショー、ネイル&ボディペイント&メイクコーナー、ゲームコーナー、お菓子の販売などが行われてきました。

大人にも嬉しい、憧れのダンサーと接することができる《握手会》も開催されています。

これは、公演で主役を踊ったばかりのダンサーが衣装のままホワイエに登場し、観客一人ひとり(希望者のみ)と握手をするものです。

大勢の観客が参加するため、一言、二言、声をかけるのが精一杯ですが、憧れの存在にお近づきになれる非常に有り難い企画ですね。

2012年12月から毎年年末公演の恒例行事になっていますので、今年も実施していただけることを期待しましょう!

握手会開催の発表は例年12月上旬です。

それ以前にチケットを購入する場合には、握手会実施公演になることを祈りましょう!

新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』(2018/2019シーズン) 公演概要

【公演名】 新国立劇場バレエ団『くるみ割り人形』

【予定上演時間】 約2時間15分(休憩含む)

【日程】 2018年12月16日(日)~24日(月・休)(9公演)

【会場】 新国立劇場 オペラパレス(東京・初台)

【チケット料金】 S席12,960円/A席10,800円/B席7,560円/C席4,320円/D席3,240円

【スタッフ】

■芸術監督 大原永子
■振付 ウエイン・イーグリング
■音楽 ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
■美術 川口直次
■衣装 前田文子
■照明 沢田祐二
■指揮 アレクセイ・バクラン

【キャスト】

■12/16(日)13:00 小野絢子(クララ)、福岡雄大(王子)
■12/16(日)18:00 米沢 唯(クララ)、井澤 駿(王子)
■12/18(火)13:00 木村優里(クララ)、渡邊峻郁(王子)
■12/21(金)19:00 木村優里(クララ)、渡邊峻郁(王子)
■12/22(土)13:00 池田理沙子(クララ)、奥村康祐(王子)
■12/22(土)18:00 米沢 唯(クララ)、井澤 駿(王子)
■12/23(日・祝)13:00 小野絢子(クララ)、福岡雄大(王子)
■12/23(日・祝)18:00 池田理沙子(クララ)、奥村康祐(王子)
■12/24(月・休)14:00 小野絢子(クララ)、福岡雄大(王子)

(注)男性の主役ダンサーは王子、ドロッセルマイヤーの甥、くるみ割り人形の三役を一人で演じます。

詳細は新国立劇場バレエ団公式サイトをご確認ください。

くるみ割り人形
新国立劇場のバレエ公演「くるみ割り人形 」のご紹介。バレエを観るなら日本で唯一の国立の劇場に所属する新国立劇場バレエ団で。

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