【鑑賞レポ】NHKバレエの饗宴2019/2019年4月6日(土)

日本を代表するバレエ団が一堂に会して上演される恒例の「NHKバレエの饗宴2019」が、2019年4月6日(土)に東京・渋谷のNHKホールにて開催されました。

今年は、東京バレエ団、ヒューストン・バレエ団プリンシパル カリーナ・ゴンザレス & 吉山シャール ルイ・アンドレ、C/Ompany(シースラッシュ)、東京シティ・バレエ団、牧阿佐美バレヱ団の5団体が出演しました。

この公演は5月19日(日)にテレビ放送されることが発表されました。

「NHKバレエの饗宴2019」の感想などを報告したいと思います。

NHKバレエの饗宴2019 鑑賞レポート

東京バレエ団 『セレナーデ』〈35分〉

最初の演目はジョージ・バランシンがチャイコフスキーの「弦楽セレナード ハ長調 Op.48」に振り付けた『セレナーデ』です。

曲名は知らなくても、音楽を聞けば誰しもが聞いたことのある音楽です。

上野水香さん、川島麻実子さん、中川美雪さんらの踊りが素晴らしかったことはもちろんですが、上野水香さんは遠くからオペラグラスなしで見ても上野さんだと分かる個性と存在感はさすがだなと感じました。

静謐な空気の中で演じられ、東京バレエ団の実力をいかんなく発揮した作品だと思いますが、出演する男性ダンサーが少ない点は残念でした。

柄本 弾さん、宮川新大さん、池本祥真さんら充実の男性ダンサーの活躍も見たかったと思っている来場者は少なくないのでは。

カリーナ・ゴンザレス&吉山シャール ルイ・アンドレ(ヒューストン・バレエ団プリンシパル) 『ロメオとジュリエット』から バルコニーのパ・ド・ドゥ〈10分〉

プロコフィエフの美しいメロディが流れてくると、それだけで胸が熱くなってきました。

やはりバレエにとって音楽はとても重要であることを再認識させられます。

ヒューストン・バレエ団プリンシパルのカリーナ・ゴンザレスさんと吉山シャール ルイ・アンドレさんが踊った『ロメオとジュリエット』のバルコニーのパ・ド・ドゥは、二人が所属するヒューストン・バレエ団芸術監督のスタントン・ウェルチさんが振り付けた作品です。

カリーナ・ゴンザレスさんはとても表情の豊かなダンサーで、ロメオに逢えた歓びが自然と溢れてきている演技のように感じました。

吉山シャール ルイ・アンドレさん演じるロメオは優しさにあふれる好青年のようでした。

個人的には感情が溢れギラギラしすぎる?ロメオは苦手なので、吉山シャール ルイ・アンドレさんのロメオには好感が持てました。

C/Ompany 『bolero/忘れろ』〈20分〉

2016年、欧州の名門バレエ団、ダンスカンパニーで踊った大植真太郎さんが中心となって活動を展開しているC/Ompany(シースラッシュ)の「談ス」シリーズ第2弾『忘れろ/ボレロ』として上演したもののリクリエーション版とのことです。

この演目の前には休憩時間がありましたが、休憩時間が終わる前に幕が開き、ビキニパンツ姿の男性が何やらパフォーマンスを始めました。

陸上選手が試技に挑む際、観衆に手拍子を要求するような身振りをしたり、客席に話しかけたりするなど、これから一体何が始まるのだろう?と感じさせる思わせぶりなパフォーマンスです。

ビキニパンツ姿を見た近くのお客さんは「小島よしおかよ!」と言っていました。

ご存知、ラヴェルの『ボレロ』とともにパフォーマンスは進んでいきますが、赤いバツ印「×」を巡り二人の男性パフォーマーが攻防を繰り広げているようですが、よく分かりません。

ブレイクダンスの大技ウィンドミルを軽々と決めるところを見ると、ブレイクダンスの実力はかなりものであることが分かりました。

その後は、二人の高い身体能力を活かした掛け合いのような動きが続き、ときにはブラジルのカポエイラ(カポエラ)のように見え、ときにはプロレスの空中技のようにも見える動きでした。

終始、笑いを誘うような動きとおしゃべりで舞台は進み、客席からは笑い声が聞こえてきましたが、これがC/Ompanyの「談ス」のようです。

東京シティ・バレエ団 『Octet』〈40分〉

先に東京バレエ団が上演したバランシン作品の『セレナーデ』と同じくアブストラクト・バレエ(ストーリーのない抽象的なバレエ)のカテゴリーに入る作品でしょうか。

日本では上演される機会が少ないウヴェ・ショルツによる作品です。

ウヴェ・ショルツはピアノをはじめ楽器の演奏も学び指揮者を目指したこともある振付家らしく、音楽を精緻に分析した振り付けのようでした。

4つの楽章から構成される約40分間の作品です。

高度な技術とスピーディーな動きが要求される、ダンサーにとっては非常にチャレンジングな作品ではないかと感じました。

牧阿佐美バレヱ団 『ドン・キホーテ』第3幕〈25分〉

「バレエの饗宴2019」のトリを飾ったのは牧阿佐美バレヱ団の『ドン・キホーテ』でした。

主演は牧阿佐美バレヱ団の看板ペアに成長した阿部裕恵さんと清瀧千晴さんのペアです。

「バレエの饗宴2019」は、このペアを楽しみにして来場した人が多いのではないでしょうか。

キトリの友だちに日髙有梨さん、中川 郁さん、町の女たちに織山万梨子さん、高橋万由梨さん、光永百花さん、今村のぞみさん、ボレロに田切眞純美さん、石田亮一さんがキャスティングされ、豪華な舞台に一気に舞台が華やぎました。

今まで、中川 郁さんの踊りをじっくり観る機会がなかったのですが、今回の舞台を鑑賞し、とても端正な踊りをされるダンサーだと感じました。
6月の牧阿佐美バレヱ団『リーズの結婚~ラ・フィーユ・マル・ガルデ~』の主演がとても楽しみになりました!

阿部裕恵さんと清瀧千晴さんの確かな技術がこの日も冴え、超絶技巧の応酬に観客は沸き立ちました!

これこそがバレエの醍醐味だ!と会場は最終盤になって盛り上がりました!

NHKバレエの饗宴2019 公演の概要

公演の概要

■日程:2019年4月6日(土)15:00開演/18:15終演
■会場:NHKホール
■プログラム:
– カリーナ・ゴンザレス&吉山シャール ルイ・アンドレ(ヒューストン・バレエ団プリンシパル) 『ロメオとジュリエット』から バルコニーのパ・ド・ドゥ
– C/Ompany 『bolero/忘れろ』
– 東京シティ・バレエ団 『Octet』
– 東京バレエ団 『セレナーデ』
– 牧阿佐美バレヱ団 『ドン・キホーテ』第3幕
■指揮:井田勝大
■管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団
■公式サイト:NHKバレエの饗宴2019

放送予定

■番組名:「クラシック音楽館」
■放送日程:2019年5月19日(日)21時00分~23時30分
■チャンネル:NHK Eテレ

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