元バーミンガム・ロイヤル・バレ ファースト・ソリスト 山本康介さんにとって初の著書となる『英国バレエの世界』が2020年3月に発売されました。
「ローザンヌ国際バレエコンクール」のテレビ解説でもおなじみの山本康介さんが、英国での留学経験やプロダンサーとしてのキャリアなどをもとに、本音も交えて英国のバレエを魅力的に紹介しています。
読者特典として、山本康介さんの指導によるヴァリエーション・レッスン動画を視聴することができるQRコードが付属されています。
『英国バレエの世界』山本康介 著(世界文化社)
元バーミンガム・ロイヤル・バレエ 山本康介さん初の著書『英国バレエの世界』
元バーミンガム・ロイヤル・バレエのファースト・ソリスト 山本康介さん初の著書『英国バレエの世界』が、2020年3月に世界文化社から発行されました。
山本さんといえば、「ローザンヌ国際バレエコンクール」や「ららら♪クラシック バレエの礎を築いた男たち」など、NHKテレビ番組での実演を交えた分かりやすい解説でおなじみですが、2019年8月に新国立劇場 オペラパレスにて上演された吉田都さんの引退公演では演出を担当するなど、さまざまな場面で活躍しています。
山本康介さん初の著書『英国バレエの世界』は、そんな山本さんが、英国ロイヤル・バレエ・スクールへの留学そして卒業後のバーミンガム・ロイヤル・バレエでのプロのバレエダンサーとしての経験なども踏まえ、英国バレエの歴史、英国バレエのおすすめ演目の解説など、英国のバレエを魅力的に紹介した書籍です。
英国のバレエが好きで理解を深めたいと思っている方、テレビでの解説などを見て山本さんの説明に感銘を受けた方などに、とくにおすすめの内容となっています。
『英国バレエの世界』の内容
『英国バレエの世界』は4部構成となっており、Part.1では今まで触れることのなかった山本康介さんの来歴から始まります。
バレエをはじめたきっかけ、コンクールへの出場、英国ロイヤル・バレエ・スクールへの留学、バーミンガム・ロイヤル・バレエでのダンサーとしての活動を経て2010年に活動の拠点を日本に移し指導者・振付家・解説者としての活動までが紹介されています。
本書の中核をなすPart.2では、世界のバレエの歴史を簡単におさらいしたうえで、英国のバレエの歴史、英国のバレエカンパニー、英国を代表する振付家・バレエダンサーなどについて詳しく説明されています。
英国におけるバレエダンサーとしての経験から得られたエピソードも交えられており、当事者だからこそ書ける内容には説得力があります。
同じくPart.3の「英国的おすすめ演目」では、作品の背景や制作過程、裏話など、山本康介さんが英国でバレエダンサーとして踊ってきたからこそ伝えられる内容にあふれ、興味深く読み進めていくことができます。
Part.4では、山本康介さんが、バーミンガム・ロイヤル・バレエ時代の仲間である佐久間奈緒さん、平田桃子さん、厚地康雄さんと4人で思い出話を繰り広げ、さながら同窓会のようなフランクな雰囲気でバーミンガム時代を振り返っており、英国におけるダンサーライフの一部を垣間見た気分になります。
本書には、読者特典動画を視聴できるとQRコードが付属されており、山本康介さんによる『眠れる森の美女』や『くるみ割り人形』のヴァリエーション指導を視聴することができます。
世界文化社のYouTube公式チャンネルでは、特典動画の一部が公開されています。
ほんのさわりを見ただけても、バレエを習っている方には思わず頷いてしまう有益な指導であることが分かります。
最後に
今回紹介した山本康介さんの著書『英国バレエの世界』は、英国で活躍してきた著者だからこそ書くことができた書籍であり、夢中になって読み進めることができます。
読み終えたときには英国バレエに対する理解が深まり、「はやく英国のバレエを鑑賞したい!」という気持ちにさせてくれる本です。
本書は分かりやすく親しみやすい表現にあふれ、読者はあたかも山本さんが語る言葉に導かれ、英国バレエの世界を案内されているような感覚に陥ります。
それは、山本さんの自然と人の懐に入り込んでしまう人懐こい性格がなせる技ではないでしょうか。
バレエ教育やバレエ作品に対する考えなど、一般的に言われているものとは異なる意見も紹介されており、山本さんの本音も交えた解説には共感する人も多いはずです。
バレエ鑑賞の方法に正解などというものはないと思いますがが、なんとなく自分なりに観て楽しんできた身にとって、山本康介さんの解説は作品への理解を深めるためにとても有益でした。
皆さんにも舞台を鑑賞して「あれって何なんだろう?」とひっかかるような素朴な疑問がたくさんあるかと思います。
山本康介さんの著書『英国バレエの世界』は、そんな方に多くの答えや示唆を与えてくれます。
個別の演目についての背景や英国の文化的背景についての理解が深まれば、舞台鑑賞は格段に楽しくなると思います。
この本から「なるほど、そうだったのか」といった多くの気づきを得て、魅力的な英国バレエの世界に足を踏み入れてみませんか。
『英国バレエの世界』
著者:山本康介
発売日:2020年3月19日(木)
定価:1,800円+税
発行:株式会社世界文化社
【目次】
Part.1:僕の来歴と現在について
Part.2:英国バレエの”歴史”と”今”に迫る
Part.3:英国的おすすめ演目を徹底解説!
Part.4:バーミンガム・ロイヤル・バレエの仲間との思い出話