英国ロイヤル・バレエ 2019/20 シーズン終了を発表 エドワード・ワトソンは引退しコーチに就任

英国ロイヤル・バレエは、2019/20 シーズン終了について発表しました。

エドワード・ワトソンはプリンシパル・ダンサーを引退してコーチに就任することとなり、トリスタン・ダイヤーとエリコ・モンテスはシーズンの終了をもって退団します。

英国ロイヤル・バレエ 2019/20 シーズン終了

2020年8月14日、英国ロイヤル・バレエのケヴィン・オヘア芸術監督は、公式サイト上で、2019/20 シーズンの終了を表明しました。
https://www.roh.org.uk/news/royal-ballet-end-of-season-announcement

新型コロナウイルスの世界的なパンデミックにより、計画していた全ての演目を上演できた訳ではありませんでしたが、19世紀から20世紀にかけての人気古典作品や、しばらく上演されていなかった『コッペリア』や『ダンシズ・アット・ア・ギャザリング』の復活上演、キャシー・マーストンとパム・タノヴィッツの新作が上演されました。

プリンシパルのエドワード・ワトソンはダンサーを引退しコーチに就任

プリンシパル・ダンサーのエドワード・ワトソンは、現役を引退することなりますが、2020/21シーズンからは英国ロイヤル・バレエのレペティトゥールに就任することが発表されています。

2019年には、シュツットガルト ・バレエの『マイヤリング(うたかたの恋)』上演に際して振付指導にあたっており、また、英国ロイヤル・バレエでは『ロミオとジュリエット』でマルセリーノ・サンベとセザール・コラレスに指導するなど、既にダンサーの指導をしており、彼の経験と深い知識がカンパニーに貢献することが期待されています。


2019/20シーズンに初演が予定されていたウェイン・マクレガー振付『ダンテ・プロジェクト』(The Dante Project)が、エドワード・ワトソンの英国ロイヤル・オペラ・ハウス・メインステージにおける最後の演目となりますが、延期日程は決まっていません。

『ダンテ・プロジェクト』はダンテが地獄と煉獄を巡り最後に天国に至る『神曲』をバレエ化した作品であり、2019年のロサンゼルス公演の際に、最初のパートである『インフェルノ(地獄編)』が世界初演されています。

演目全体の上演は2019/20シーズンのラインナップとして5月に上演が予定されていましたが、新型コロナウイルスの影響で延期されています。


エドワード・ワトソンは、1994年に英国ロイヤル・バレエに入団し、男性ダンサーとして世界的に高く評価され、ウェイン・マクレガーやクリストファー・ウィールドン、アーサー・ピタなど、世界的に評価の高い振付家とともに多くの作品を創り上げています。


2018年には右足の靭帯を手術するなど、怪我に悩まされていましたが、2019年の日本公演では「ロイヤル・ガラ」で『オンディーヌ』を踊り日本のファンを喜ばせていました。

『オンディーヌ』は、吉田 都さんと共演したのちにプリンシパルに昇進したこともあり、思い出深い演目だそうです。

なお、吉田 都/エドワード・ワトソン共演による『オンディーヌ』は映像化されています。

エドワード・ワトソン(Edward Watson)
英国/ロンドン南部のブロムリー出身。
1994年 英国ロイヤル・バレエ・スクールを卒業し、英国ロイヤル・バレエに入団。
2005年 プリンシパルに昇格。

レパートリーとして、フレデリック・アシュトン、ケネス・マクミラン作品の主要な役があり、マクミラン・ダンサーとしての評価は高い。
また、ウェイン・マクレガー、クリストファー・ウィールドン、アレクセイ・ラトマンスキー、シボーン・デイヴィス、デヴィッド・ドウソン、ハビエル・デ・フルトス、アラステア・マリオット、キャシー・マーストン、アシュリー・ペイジ、アーサー・ピタなど、現代を代表する振付家の作品での初演も多数。

2012年 ピタ振付『変身』でオリヴィエ賞受賞
2001&2008年 ナショナル・ダンス・アワード受賞
2015年 ウィールドン振付『冬物語』でブノワ賞受賞
2015年 大英帝国勲章「MBE」を授与される。

Edward Watson preparing for Mayerling (The Royal Ballet)
Edward Watson preparing for Mayerling (The Royal Ballet)

少し古い動画ですが、エドワード・ワトソンが『マイヤリング(うたかたの恋)』の準備をする様子を収録した動画です。

トリスタン・ダイヤー、エリコ・モンテス退団

2019/20 シーズンの終了をもって、ソリストのトリスタン・ダイヤーとファースト・アーティストのエリコ・モンテスは退団します。

なお、今後の動向については触れられていません。

トリスタン・ダイヤー(Tristan Dyer)
米国/ロード・アイランド出身
カナダ・ナショナル・バレエスクール、オーストラリア・バレエ・スクール、英国ロイヤル・バレエ・スクールで学ぶ
2009年 英国ロイヤル・バレエ・スクールを卒業し、英国ロイヤル・バレエに入団。
2013年 ファースト・アーティストに昇格
2014年 ソリストに昇格

エリコ・モンテス(Erico Montes)
ブラジル/サンパウロ出身
地元でバレエをはじめ、ロンドン・スタジオ・センター、英国ロイヤル・バレエ・スクールで学び、2004年に英国ロイヤル・バレエに入団。
2010年 ファースト・アーティストに昇格
振付も行う。

その他の退団者・入団者について

今回は、英国ロイヤル・バレエ 2019/20 シーズンの終了とエドワード・ワトソンの引退・コーチ就任、トリスタン・ダイヤーとエリコ・モンテスの退団についてお知らせしました。

その他に退団者がいるのか、また、入団者はどうなのか、ということははっきりと分かっていません。

新潟県出身で、英国ロイヤル・バレエ・スクールに留学していた五十嵐大地(いからし・だいち)さんは、スクールを主席で卒業し、2020/21シーズンから英国ロイヤル・バレエに入団することが内定していますが、まだ、正式な発表は確認できません。

その他に退団者や入団者がいるのかどうか、情報を入手しましたらあらためてお知らせしたいと思います。

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