白鳥は女性が踊るものという常識を覆し、白鳥役を男性が踊る『白鳥の湖』を制作したマシュー・ボーンの最新作「マシュー・ボーンの『シンデレラ』」が2018年10月に上演されます。
古典作品を新たな解釈で提供し続けるマシュー・ボーンの新作はどのような驚きを私たちに与えてくれるでしょうか?
マシュー・ボーンの『シンデレラ』
マシュー・ボーン
まず、マシュー・ボーンについて簡単に振り返ってみたいと思います。
マシュー・ボーンは1960年生まれのイギリスの振付家です。
冒頭にも触れたように、男性が白鳥役を踊る『白鳥の湖』でバレエ・ファンのみならず、舞台芸術ファンを驚かせました。
首藤康之さんが、2003年に主演、2005年には王子役で出演していますね。
ローレンス・オリヴィエ賞とトニー賞を受賞したことのある名実ともに世界的な振付家です。
余談ですが、英国ロイヤル・バレエで来シーズンからプリンシパルに昇格することが発表されたマシュー・ボールさんが、マシュー・ボーンの『白鳥の湖』2018/19ツアー(ロンドンのみ)に出演することが決まっています。
なんだかややこしいですね。(´▽`)
最新作 マシュー・ボーンの『シンデレラ』の特徴
マシュー・ボーンさんの最新作は『シンデレラ』です。
白鳥を男性が踊るという演出は、普通の感覚では思いつきませんが、『シンデレラ』ではどのような演出で私たちを驚かせてくれるのでしょうか?
その特徴をみていきたいと思います。
マシュー・ボーンさんが考えるアイデアは私の想像をはるかに超えていますが、個人的に最も驚き関心を持った特徴は、なんといっても舞台設定が1940年代の第二次世界大戦下のロンドンだということです。
登場人物も、主役はのシンデレラはメガネをかけた地味な少女で、王子様は怪我を負った英国空軍パイロットという設定です。
パーティーもお城ではなく、当時実在した「カフェ・ド・パリ」という有名なホールが舞台となっています。
シンデレラがダンス・パーティーへと向かう乗り物は「かぼちゃの馬車」ではなく「サイドカー付きのバイク」といった具合です。
こういった設定は、おとぎ話の夢のような世界観とは大きくかけ離れ、『シンデレラ』の舞台としてはむしろ相応しくないように思えました。
『シンデレラ』という演目は、現実世界から逃避し夢を見ることを期待するような演目ではないでしょうか。
それが、戦時下という設定では夢は夢でも《悪夢》の方であり、むしろ避けて通りたい世界です。
なぜ、マシュー・ボーンさんは舞台の設定をこの時代にしたのでしょうか?
その答えは「プロコフィエフ」の音楽にあるようです。
マシュー・ボーンさんは、公式サイトで次のように語っています。
「実はプロコフィエフが本作の楽曲を第二次世界大戦中に書き上げたということを聞いて私は大いに興味を抱き、考えました。歴史に残る暗黒時代の雰囲気が何かしらの形で音楽に反映されているのではないだろうか?されている、と私は感じました。
そして「シンデレラ」の物語を読み込めば読み込むほど、戦時中に設定するのがピッタリだと思ったのです。」
引用元サイト:http://mbcinderella.com/matthew
(公演チラシにも書いてあります)
第二次世界大戦中に書き上げられたという事実を知ると、プロコフィエフの音楽にどこか暗さを感じた理由が少し理解できたような気もします。気のせいか(;’∀’)
プロコフィエフが『シンデレラ』の楽曲を作曲するにあたり、戦争という強大なインパクトを持つ時代背景が影響したのは間違いないでしょう。
アシュトン版『シンデレラ』の世界しか知らない私にとって、はじめは第二次世界大戦下のロンドンを舞台にした『シンデレラ』がどのような舞台になるのか不安でした。
しかし、『シンデレラ』の楽曲が第二次世界大戦中に作曲されたことを知り、マシュー・ボーンさんが語るように「歴史に残る暗黒時代の雰囲気が何かしらの形で音楽に反映されているのではないだろうか?」と考えると、全く異なる作品が自然な形で立ち上がってくるのではないかと思うようになりました。
マシュー・ボーンの『シンデレラ』を観て、自分の心がどのように動くのか、そんなことを観察することも楽しみになってきます!
マシュー・ボーンさんの新解釈やいかに?
マシュー・ボーンの『シンデレラ』PV
(YouTube / ホリプロステージ Horipro Stage 公式サイト)
マシュー・ボーンの『シンデレラ』 公演概要
マシュー・ボーンの『シンデレラ』
【期間】2018年10月3日(水)~14日(日)
【会場】東急シアターオーブ(渋谷ヒカリエ11階)
(舞台装置を運ぶのが大変そう!←余計なお世話か(´▽`))
【日時】
10/3(水)18:30
10/4(木)13:30 / 18:30
10/5(金)13:30
10/6(土)12:30 / 17:30
10/7(日)12:30 / 17:30
10/9(火)13:30
10/10(水)13:30 / 18:30
10/11(木)13:30
10/12(金)13:30
10/13(土)12:30 / 17:30
10/14(日)12:30
【チケット】
SS席14,000円 / S席12,800円 / A席9,800円 / B席5,500円
【出演者】
シンデレラ:アシュリー・ショー、コーデリア・ブレイスウェイト
ハリー(パイロット):アンドリュー・モナガン、エドウィン・レイ
天使:リアム・ムーア、パリス・フィッツパトリック
継母:マドレーヌ・ブレナン、アンジャリ・メーラ
詳細は公式サイトをご確認ください。