K-BALLET COMPANY 熊川哲也芸術監督も大いに期待する成田紗弥さんが、2019年5月26日(日)に上演された熊川版『シンデレラ』で主役デビューを飾りました。
カーテンコールには、満足げな表情の熊川芸術監督も登場し、東京文化会館は興奮に包まれました。
今回は、熊川哲也Kバレエ カンパニー『シンデレラ』(2019年5月26日)の感想などをお伝えします!
熊川哲也Kバレエ カンパニー『シンデレラ』(2019年5月26日)の感想
感想
成田紗弥さんの主役デビューを待ち焦がれるバレエファンの熱気のせいでしょうか、まだ5月だというのに5月26日(日)の東京の気温は30℃を超える猛暑日でした。
開場時刻は開演30分前の13:30の予定でしたが、13:15頃にはすでの大勢の客が並び、約10分繰り上げて13:20頃に開場されました。
筆者にとって、初めての熊川版『シンデレラ』の鑑賞ということに加え、この日、『シンデレラ』で主役デビューを果たす成田紗弥さんの演技もとても楽しみでした。
いよいよ幕が開き、シンデレラの家の中での騒動が始まりました。
シンデレラの義姉と継母の意地悪からは、「いじめるのはやめてくれ!」を叫びたくなるほどとても陰湿な印象を受けました。
アシュトン版の義姉は男性がコミカルに演じ、どこか憎めないキャラクターですが、熊川版の場合はかなり意地悪な印象でした。
この演出は、かわいそうなシンデレラへの同情を誘い、シンデレラを応援したくなる気持ちにさせるのに効果的だったように感じます。
冒頭、少し意地悪過ぎる印象ではありましたが、鑑賞後には愛すべきキャラクターに思えてきたのは、義姉を演じた河合有里子さんと杉山桃子さんの好演が光っていたからではないでしょうか。
踊りも素晴らしくとてもキュートな義姉でした。
熊川版『シンデレラ』の演出でもっとも印象的だったのは、シンデレラが美しく変身し、舞踏会へと向かう第1幕のラストです。
シンデレラが美しい女性に変身し、馬車に乗って舞踏会場へと向かいますが、その馬車が速度を徐々に上げていくさまはシンデレラが抱く期待が徐々に膨らんでいくかのように感じられ、観ている者の気分も高揚してきます。
シンデレラは舞踏会場に到着すると、客席に背を向け、舞台奥のお城の門へと向かいますが、これから起こる素敵な出来事への想像を掻き立てられ、第2幕への大きな期待に繋がります。
シンデレラが客席に背を向けて城内へと進む演出は、観客もシンデレラと同じ方向に視線を向けることにより、観客とシンデレラがともに喜びの感情を抱く効果があったのではないでしょうか。
今回、タイトルロールを演じ主役デビューを果たした成田紗弥さんは、クセのない高い技術を持ち、クリアで滑らかな印象の踊りをされるダンサーだと思いました。
キレのある動きと強靭なテクニックにも関わらず、シルクのように滑らかに回転し、しなやかなアームスがとても自然についてくる、観ていてとても心地良い踊りでした。
カーテンコールでは、芸術監督の熊川哲也さんも登場しました。
成田さんが照れるように舞台袖へと迎えに行くと、熊川さんから何か言葉をかけられているようで、その後、袖に残る熊川さんに促され、ステージセンターに戻りました。
このとき、熊川芸術監督が成田さんにどのような言葉をかけられたのかは分かりませんが、満足した表情と成田さんの戸惑うような素振りからは、素晴らしい演技の主役デビューを称える言葉を贈られたのではないかと思っています。
成田紗弥さんにはかなり期待しており、非常にハードルが高かったはずですが、それでも期待をはるかに超える素晴らしい踊りと演技だったと感じます。
今観るべきダンサーの一人であることは間違いありません。
今後のKバレエの公演は、9月4日(水)・9月5日(木)に上演される新作『カルミナ・ブラーナ』、9月27日(金)~10月14日(月・祝)に上演される新作『マダム・バタフライ』と続きます。
『カルミナ・ブラーナ』のキャストは未定ですが、成田紗弥さんは『マダム・バタフライ』のタイトルロール マダム・バタフライを演じることが決まっています。
これも楽しみですね!
『シンデレラ』公演の概要
■日時:2019年5月26日(日)14:00開演
■上演時間:第1幕45分/休憩25分/第2幕45分・第3幕40分
■会場:東京文化会館
■演出・振付:熊川哲也
■音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
■衣裳デザイン:ヨランダ・ソナベンド
■指揮:井田勝大
■管弦楽:シアター オーケストラ トーキョー
■主要キャスト:
シンデレラ:成田紗弥
王子:山本雅也
仙女:浅野真由香
シンデレラの義姉:河合有里子、杉山桃子
継母:ルーク・ヘイドン
4人の妖精(バラ):毛利実沙子
4人の妖精(トンボ):戸田梨紗子
4人の妖精(キャンドル):矢内千夏
4人の妖精(ティーカップ):小林美奈
4頭の雄鹿・4人の王子の友人:高橋裕哉、堀内將平、石橋奨也、グレゴワール・ランシエ
2人の道化師:益子 倭、奥田祥智
大きい騎士:栗山 廉
小さい騎士:酒匂 麗
式典長:スチュアート・キャシディ
熊川哲也 K-BALLET COMPANY『シンデレラ』成田紗弥インタビュー
(YouTube / kballetcompany 公式チャンネル)
会場の様子
熊川新刊著書
熊川哲也さんの21年ぶりの自伝となる『完璧という領域』(講談社)のポスターが掲出されていました。
5月24日(金)~26日(日)の『シンデレラ』上演期間中、会場の東京文化会館大ホール ロビーにおいて先行販売されていました。
オフィシャルファンクラブ K-BALLET FRIENDS(Kバレエフレンズ)の会員には、終演後、熊川さんからの手渡しというサービスが行われたようです。
宮尾俊太郎 プレバト1位獲得作品
宮尾俊太郎さんが、2019年5月16日に放送されたTBSテレビ「プレバト!!」に出演し、油絵ランキング1位を獲得した作品の「タオルと椅子とトウシューズ」が展示されていました。
宮尾さんの多彩さには驚きを隠しきれません!