2017年9月7日(木)に新国立劇場オペラパレス(初台)において、第2回避難体験オペラコンサートが開催されました。
オペラ公演中に災害が発生したことを想定した避難訓練です。劇場としては、定期的に災害を想定した避難誘導訓練は実施しているでしょうが、実際にお客さんがいるなかでの訓練をする機会はあまりないと思います。
劇場側としても、より現実に近い状況において訓練を行うことにより、実践的な訓練にすることができたのではないでしょうか。
観客としても、万が一に備え、このような体験をすることは非常に有益であると感じました。
◆ オペラコンサート中に地震が発生!
まず、支配人からの挨拶と訓練内容について説明がありました。
オペラコンサート中に地震が発生したという想定のもとに訓練が行われますが、「いつ」なのかは事前にお知らせしないとのこと。
これは、参加者としても緊張感を持って臨みます。
つづいて、地震に起因した「何か」が発生し、屋外へと退避してもらうとのこと。
個人的には荷物を持って逃げても良いのか、実際の避難であれば、そんな悠長なことは言ってられないのではないか、しかし、置きっぱなして盗まれたらどうなるんだろうか???等、余計な考えが浮かんできました。
(この余計な考えは杞憂に終わりました。詳しくは後ほど)
さて、いよいよ幕が上がりました。
コンサートは「PIVOT!」という新国立劇場オペラ研修所第14期生5人とピアニスト1人が中心となって結成されたオペラユニットによるものです。
ものすごい声量と歌声に素人ながらに感動しました!
これが無料とは非常に得した感じです。
舞台中央にピアノのみという非常にシンプルな舞台構成で、オペラ歌手が一人ずつ順番に歌います。
男性歌手が歌っている途中(だったと思います)に地震が発生しました。(という想定でした)
さすがは劇場で、揺れこそはありませんが、ごぉ~という地鳴りのような不気味な迫力ある音が流れ、本当に地震が発生した気持ちになりました。
その後、劇場は耐震性に優れているので劇場内は安全であることや状況確認をしているのでそのまま席で待機するようにという内容のアナウンスがあり、つづいて状況確認の報告、震度など地震に関する説明が支配人からありました。
その間、劇場スタッフさんからは落ち着いてその場で待つことや状況確認中であることなどの他、気分が悪くなった人はいないか等の説明が大きな声でありました。表情は努めて笑顔です。
こういうパニックに陥りそうな状況においては、何が起こっているのか、今どうすれば良いのか、今後どうなるのか、といった情報は動揺した気持ちをいくらか抑えてくれたように思います。
その後、地震に起因したある「こと」の説明があり、屋外へと退避するよう案内がありました。
そのある「こと」は火災で、すでに自衛消防隊(?)による初期消火活動を行い、消防当局にも連絡済みで、念のために屋外退避をするとのことでした。
このような状況であれば荷物を持って避難することもできます。火の粉が襲い掛かってきている訳ではないので、慌てずゆっくりと非難するということです。
これが私の余計な考え(荷物を持って非難するなんて悠長ではないか、置いていけば盗難リスクもある等)が杞憂に過ぎなかった理由です。
良かった~(*^_^*)
実際に屋外へと非難しましたが、避難中、避難して待機している間中、スマホで写真を撮っている人が多数いました。
おそらく、不謹慎と思いつつも「インスタ映え(SNS映え)」する絶好のシャッターチャンスと思ったのではないでしょうか。
写真こそ撮りませんでしたが、このようにブログに投稿している私も同じ心理です。(*^^)v
◆ オペラコンサート再開
屋外退避の後、休憩となりました。
その際、ホワイエにおいてペットボトルのミネラルウオーターが無償提供されました。(写真に写っています)
新国立劇場は、災害時の帰宅困難者受け入れ協定を渋谷区と結んでいるようで、その際に提供できるよう災害用備蓄飲料水のうち期限切れ間近のものを有効活用しようとの考えのようです。
私も休憩中に1本いただき、帰り際にもまだ配布していたので、合計2本いただきました。
休憩時間が終わり、座席に着くと、消防署長からの講評がり、その後、コンサートが再開され、G.プッチーニ オペラ「ラ・ボエーム」のハイライトが上演されました。
出演者とコンサート内容は次の通りです。
第一部 オペラ・アリア集
1.G.プッチーニ オペラ「ジャンニ・スキッキ」より「私の愛しいお父様」
2.G.ヴェルディ オペラ「椿姫」より「花から花へ」
3.G.ビゼー オペラ「カルメン」より「闘牛士の歌」
4.G.プッチーニ オペラ「つばめ」より「ドレッタの夢」
5.G.プッチーニ オペラ「トゥーランドット」より「誰も寝てはならぬ」
第二部 PIVOT! ミニオペラ
G.プッチーニ オペラ「ラ・ボエーム」ハイライト
出演者
飯塚 茉莉子(S)、今野 沙知恵(S)、林 よう子(S)、岸浪愛学(T)、村松恒矢(B)
実は、「誰も寝てはならぬ」の前に地震が発生した(という想定の)ため、第一部のなかでは演奏されませんでした。
ミニオペラが終わった後に出演者全員により演奏されました。
オペラ素人の私でもフィギュアスケートでもよく使用されるため聞く機会の多い演目で親しみがありました。
そしてプロが目の前で生で歌っている声量、迫力、臨場感等々、人間というのはここまでのことができるのかと畏敬の念を抱いた非常に感動的な体験でした。
これは、いくら構成のステレオでも奏でることはできないでしょう。
実際に劇場に足を運ぶ価値を認識しました。
◆ 避難体験オペラコンサートに参加して
オペラは門外漢の私がこのイベントに参加したきっかけですが、新国のバレエ公演の際に配布されたチラシを見たことです。
バレエ鑑賞で劇場に行く機会が多く、地震大国に住む人間として、劇場にいるときに被災するリスクも高いであろうことから、このような訓練に参加することは非常に有益であると考えました。
また、新国のオペラパレスが大好きで、そこに無料で行くことができ、なおかつ、プロのオペラを無料で鑑賞できる、こんな有り難いことは年休を取得して行くしかない、と思いました。
訓練に参加しなければ分からないことも確かにありました。
一例を挙げれば、地震発生後にスタッフさんが笑顔で状況説明をしているときのことです。
状況が分からないとき、不安な気持ちになります。
そんな状況におけるスタッフさんの笑顔は、安心感を与えてくれました。実際に参加し、経験してみて分かったことです。
このような緊急時には、見ず知らずの客同士でも声を掛け合うことは重要なのかもしれません。
拙いレポートで、バレエネタでもありませんが、バレエ鑑賞中に被災することも十分に起こりえます。このブログを読んでいただいた方にもこのような情報を共有させていただき、災害に備えて何かしら考える機会にしていただければと思い、投稿させていただきました。
ご一読いただき、有り難うございました。