2018年3月26日（月）、新宿文化センターにおいて『Ballet Rose in Love Stories（バレエで綴るバレエの恋の物語）』が上演されました。
新国立劇場バレエ団の小野絢子さん、福岡雄大さんをはじめとして第一線で活躍しているダンサー5組のガラ公演を中心とした公演です。
それぞれのバレエ団のトップダンサーがバレエ団の垣根を超えて同じ舞台に立つ豪華な舞台をレポートします。
『Ballet Rose in Love Stories』について
バレエ鑑賞普及啓発を目的とした公演で、主催・企画・制作はバレエ用品のチャコットです。
日本のバレエ水準は高いにもかかわらず劇場に観に来る人は少ないよね・・・
ということで、チャコットさんが一人でも多くの方にバレエを観てもらえる機会を企画していただいたという訳です。
これは、昨年、開催された『バレエ・プリンセス』に続く第2弾です。
『バレエ・プリンセス』はお姫様が登場するバレエ作品に焦点を当てた企画でしたが、今回はバラに焦点を当てた企画になりました。
異なる団体に所属するトップバレエダンサーが共演します。
◆ 小野絢子（新国立劇場バレエ団）、福岡雄大（新国立劇場バレエ団）
◆ 佐々部佳代（松岡伶子バレエ団）、清水健太（サンフランシスコ・バレエ）
◆ 池田理沙子（新国立劇場バレエ団）、井澤駿（新国立劇場バレエ団）
◆ 永橋あゆみ（谷桃子バレエ団）、三木雄馬（谷桃子バレエ団）
◆ 織山万梨子（牧阿佐美バレヱ団）、キム・セジョン（東京シティ・バレエ団）
複数の団体のトップダンサーを一度に観ることができるバレエファンにとっては喜ばしい機会です。
ダンサーにとっても交流が広がります。
プレッシャーを感じるかもしれませんが、良い刺激になるのは間違いないでしょう。
鑑賞の感想
『眠れる森の美女』
恥ずかしながら『眠り』については個人的には鑑賞回数が少なく、全体像を把握しておりません。
今回、踊られた「第2幕幻影の場のパ・ド・ドゥ」がどのようなものだったかあまりよく覚えておらず、今回の舞台でも美しい踊りだとは感じても印象があまり残りませんでした。
織山さんは売り出し中のダンサーですので、所属先の牧阿佐美バレヱ団での公演でじっくりと拝見したいと思いました。
『ロミオとジュリエット』
三木雄馬さん演じるロミオは、情熱溢れるダイナミックな踊りでした。
一方、永橋あゆみさん演じるジュリエットは、華奢な女性らしい雰囲気を持ちながらもロミオとは異なる愛の情熱を感じました。
そして、なんといっても驚いたのが丁寧な永橋さんのポワントワークです。
足音が全くしない！！！( ﾟДﾟ)
床のコンディションは音が出やすい状況だったように感じましたが、永橋さんのポワントは全く音を発しませんでした。
今さらかもしれませんが、永橋あゆみさんというダンサーに注目していきたいと感じました。
『白鳥の湖』
2017年にプリンシパルに昇格し、ますます輝きを増すジークフリート演じる井澤さんですが、この日のコンディションは抜群だったようです。
ピルエットを回り終えて足を下ろすまでのタメには余裕が感じられなど、美しい踊りを見せていただきました。
また、白鳥といえば、最大の見せ場のひとつは32回のグランフェッテですが、オディール演じる池田さんのグランフェッテは圧巻でした。
ほとんどぶれずに同じ場所で回り続け、会場からは割れんばかりの拍手が沸き起こりました。
これは本当に興奮しました！！！！！( ﾟДﾟ)
新国ではゴールデンウィークに『白鳥』を上演しますが、池田さんが主演しないのが本当に惜しまれます。（それだけ層が厚いのですね）
『ジゼル』
K-BALLET時代の佐々部さんの活躍はよく知るところですが、これからと思っているうちに退団されてしまい、非常に残念に思っていました。
現在は、地元名古屋に戻られ、ご結婚もされ、新たなスタートを切られているそうです。
佐々部さんの踊りを観る機会が減ってしまい残念に思っていたところ、今回、この公演に出演されることを知り、鑑賞することを決めました。
東京で佐々部さんの踊りを観られる貴重な機会であると思ったからです。
その甲斐あって、佐々部さんの精霊に成りきり、幽玄に漂うように踊るジゼルを堪能することができました。
これからも、東京で踊っていただけることを切に願います！
『ドン・キホーテ』
今さら説明のいらない新国で不動の人気を誇る看板カップル、小野さんと福岡さんによる『ドン・キホーテ』です。
小野さんと福岡さんが登場するや大きな拍手が起こり、観客の期待の高さを感じさせます。
さすがの踊りを堪能したのですが、見事な踊りに水を差す事態が発生しました。
『ドン・キホーテ』の見せ場のひとつであるキトリのグランフェッテの際、なんと手拍子が起きてしまったのです。
K-BALLETの公式ツイッターでも「大阪発の手拍子、名古屋まで拡大中。静岡で食い止めなくては東京が危ない」とつぶやかれていますが、ついに東京まで来てしまったのでしょうか。(>_<)
（花売り娘）
プロローグとフィナーレに花売り娘として登場するジュニア・バレリーナの踊りの上手さが尋常ではなく、なんなんだ？？？と不思議に思いました。
全日本バレエ・コンクール ジュニアBの部、全国舞踊コンクール バレエ第二部、ユース・アメリカ・グランプリ日本予選各1位受賞という輝かしい経歴を知り、納得しました。
この花売り娘を踊られた中島耀さんも要注目の将来を期待されるダンサーですね。
公演概要
『Ballet Rose in Love Stories（バレエで綴るバレエの恋の物語）』
日時 2018年3月26日（月）18:30～
場所 新宿文化センター 大ホール
演出・振付 伊藤範子（谷桃子バレエ団 シニアプリンシパル・コレオグラファー）
主催・企画・制作 チャコット
第1部
プロローグ「パリの街角」1950年台のパリ
花売り娘 中島耀
登場カップル1 織山万梨子、キム・セジョン
登場カップル2 永橋あゆみ、三木雄馬
登場カップル3 池田理沙子、井澤駿 / 阿部碧、小山憲
登場カップル4 佐々部佳代、清水健太
登場カップル5 小野絢子、福岡雄大
１．出会い（ローズピンクのバラ）
「眠れる森の美女」第2幕より幻影の場のパ・ド・ドゥ
オーロラ姫 織山万梨子（牧阿佐美バレヱ団）
デジレ王子 キム・セジョン（東京シティ・バレエ団）
２．熱愛（紅色バラ）
「ロミオとジュリエット」よりバルコニーのパ・ド・ドゥ
ジュリエット 永橋あゆみ（谷桃子バレエ団 プリンシパル）
ロミオ 三木雄馬（谷桃子バレエ団 プリンシパル）
３．誘惑（深紅バラ）
「白鳥の湖」第3幕より黒鳥のグラン・パ・ド・ドゥ
オディール 池田理沙子（新国立劇場バレエ団 ソリスト）
ジークフリート王子 井澤駿（新国立劇場バレエ団 プリンシパル）
オデット 阿部碧（井上バレエ団）
第2部
４．別れ（白バラ）
「ジゼル」第2幕よりパ・ド・ドゥ
ジゼル 佐々部佳代（松岡伶子バレエ団）
アルブレヒト 清水健太（ロサンゼルス・バレエ ゲストプリシパル）
５．結婚（赤バラ）
「ドン・キホーテ」第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
キトリ 小野絢子（新国立劇場バレエ団 プリンシパル）
バジル 福岡雄大（新国立劇場バレエ団 プリンシパル）
フィナーレ