「英国ロイヤル・オペラ・ハウス2017/18シネマシーズン」の最後を飾る『白鳥の湖』が、いよいよ2018年8月24日(金)から公開されます。
31年振りに新しく演出された英国ロイヤル・バレエの『白鳥の湖』は、新進気鋭の振付家リアム・スカーレットが手掛けたこともあり、大きな話題となりました。
話題作の魅力について少しでも迫りたいと思います。
リアム・スカーレット版『白鳥の湖』について
今回のリアム・スカーレットによる新版まで、英国ロイヤル・バレエで上演される『白鳥の湖』は、『ダンスマガジン』2018年8月号によれば、長らく「アンソニー・ダウエルの素晴らしいプロダクション」で、美術はヨランダ・ソナベンドが担当していたそうです。
ちなみにヨランダ・ソナベンドといえば、日本ではK-BALLET COMPANYとの仕事で有名な方ですね。
新版では、ジョン・マクファーレンさんが美術・衣装を担当しており、こちらも注目です。
新版といえば、どこがどう変わったのか、変更箇所が気になります。
同じく『ダンスマガジン』によると、「第一幕の振付を刷新し、最終幕に大幅な改訂を施した」とあります。
「まず、プロローグでオデットへの呪いの背景が描かれる」そうです。
『白鳥の湖』ほどの名作であれば舞台やDVD・Blu-rayを鑑賞したり、解説を読んだりしたりする機会も多く、「オデットへの呪いの背景」は当然知っているものとして気に留めたことはあまりないのではないでしょうか。
よくよく考えてみると、その背景を丁寧に描くことで、舞台進行により自然な流れが生まれ、物語を違和感なく受け入れやすくなる気がします。
実際の舞台を鑑賞し、どのように感じるのか、鑑賞者である自分のこころの動きにも注目しながら観てみたくなりました。
なお、「最終幕の大幅な改訂」については、後述したいと思います。
大きな話題になっているスカーレット版『白鳥の湖』ですが、情報は限定的です。
さらに理解を深めたい方は、新書館発行の『ダンスマガジン』2018年8月号をぜひ確認してみてください。
Swan Lake trailer (The Royal Ballet)
(YouTube / Royal Opera House 公式チャンネル)
出演ダンサーの見どころ
マリアネラ・ヌニェスとワディム・ムンタギロフの超絶技巧と演技、高田 茜さんも王子の妹役で出演
配給元である東宝東和の「英国ロイヤル・オペラ・ハウス2017/18シネマシーズン『白鳥の湖』」の公式サイトでは、主要ダンサーの踊りに関する見どころを次のように紹介しています。
なお、上演版のオデット / オディールはマリアネラ・ヌニェスさんが、ジークフリート王子はワディム・ムンタギロフさんがキャスティングされています。
気高く抒情的なオデットとトリプルも織り交ぜた32回転のグランフェッテなどの超絶技巧で魅惑的なオディールを演じ分けた。
王子ジークフリート役は、優雅な立ち姿と長い手脚、伸びやかな跳躍が貴公子そのもののワディム・ムンタギロフ。
ふたりの至高のパートナーシップも見もの。
技術力、演技力ともに評価の高い二人ですが、踊り・技術はもちろん、二人のパートナーシップも見どころであると紹介しています。
また、スカーレット版で設定されたジークフリート王子の妹役では高田 茜さんが出演しています。
新しい設定として加えられた王子の妹たちを、プリンシパルの高田茜とフランチェスカ・ヘイワードが演じ従来の振付よりも長く登場し、華麗な踊りも堪能できる。
引用元:http://tohotowa.co.jp/roh/movie/swan_lake.html
高田さんは、7月28日の『バレエ・アステラス2018』ではじめて生で拝見しましたが、踊りのみならず、その存在感に圧倒されてしまいました。
主役の舞台ではないところが残念ですが、ガラ公演ではなく全幕もので踊る姿はまた一層魅力的であろうと、この記事書きながら気分が高揚してくるほどです。
(参考)その他の主役は?
「英国ロイヤル・オペラ・ハウス2017/18シネマシーズン」の上映とは関係ありませんが、その他の主役のキャスティングについても興味がありますよね。
判明した範囲で紹介したいと思います。
高田 茜さんはウィリアム・ブレイスウェルさんと主演しています。
サラ・ラムさんは平野亮一さんと主演されています。
また、主役にキャスティングされていた方のうち、スティーヴン・マックレーさんとローレン・カスバートソンさんは怪我のため降板しています。
日本が誇るプリンシパルのお二人も主演されていますね。
いつの日か、高田さんのオデット / オディール、平野さんのジークフリート王子を生で拝見できることを期待しましょう。(´▽`)
マヤラ・マグリさん(バレエ・アステラス2018でアクリ瑠嘉さんと『ロメオとジュリエット」を踊った)も出演
個人的に注目したいのは、マヤラ・マグリさんです。
彼女も『バレエ・アステラス2018』に出演し、アクリ瑠嘉さんと「『ロメオとジュリエット』より バルコニーのパ・ド・ドゥ」を披露しています。
ブラジル、リオ・デ・ジャネイロ出身の彼女は、2011年ローザンヌ国際バレエコンクール グランプリおよびオーディエンス賞、同年ユース・アメリカ・グランプリ シニアの部グランプリ、ロイヤル・バレエ・スクールスカラシップ賞を受賞しています。
12年に英国ロイヤル・バレエ入団し、16年にはソリストに昇格しています。
若手期待のダンサーと言って良いのではないでしょうか。
『バレエ・アステラス2018』で初めて彼女を観ましたが、踊る前の佇まい・存在感だけで魅了されて以来、彼女に注目していたところです。
そのときの記事はこちら
【鑑賞レポ】バレエ・アステラス2018(Ballet Asteras 2018)(その1)
マヤラ・マグリさんさんは、「~1幕~ワルツとポロネーズ」と「~2幕&4幕~2羽の白鳥」(クレア・カルヴァート、マヤラ・マグリ)に出演されます。
注目のエンディングは?
前半において「最終幕に大幅な改訂を施した」ことを紹介しました。
皆さまご存じのとおり、他の演目同様、『白鳥の湖』には多くの版があります。
おおざっぱに言えば、悲劇に終わるのか、ハッピーエンドなのか、というエンディングの解釈により大別されます。
スカーレット版『白鳥の湖』のエンディングはどちらでしょうか?
答えはすでに報道やインターネットなどのコメントでも明らかになっていますが、ここではネタバレを避けるために詳述は避けたいと思います。
代わりに、リアム・スカーレット自身のコメントが引用されている記事を紹介したいと思います。
エンディングは、是非、劇場に足を運んで確認してみてください!
And the ending? ‘I’ve decided what it is,’ Scarlett says, ‘but I won’t disclose it just yet! I don’t think Tchaikovsky dictates a happy ending. It’s bittersweet, and it’s tragic. The beauty in the music serves to amplify the tragedy even more.’
引用元:How choreographer Liam Scarlett is reimagining Swan Lake
「英国ロイヤル・オペラ・ハウス2017/18シネマシーズン」『白鳥の湖』 概要
スタッフ
- 振付:マリウス・プティパ&レフ・イワノフ
- 追加振付:リアム・スカーレット&フレデリック・アシュトン
- 演出:リアム・スカーレット
- 美術・衣装:ジョン・マクファーレン
- 作曲:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
- 指揮:クン・ケセルス
出演者
- マリアネラ・ヌニェス(オデット / オディール)
- ワディム・ムンタギロフ(ジークフリート王子)
- ベネット・ガートサイド(ロットバルト:悪魔 / 女王の側近)
- エリザベス・マクゴリアン(女王)
- アレクサンダー・キャンベル(ベンノ:ジークフリートの友人)
- 高田 茜、フランチェスカ・ヘイワード(ジークフリート王子の妹たち)
場所・日程
- 【北海道】ディノスシネマズ札幌 2018/8/25(土)~8/31(金)
- 【宮城】フォーラム仙台 2018/8/25(土)~8/31(金)
- 【東京】TOHOシネマズ日比谷 2018/8/24(金)~8/30(木)
- 【東京】TOHOシネマズ日本橋 2018/8/24(金)~8/30(木)
- 【東京】イオンシネマ シアタス調布 2018/8/24(金)~8/30(木)
- 【千葉】TOHOシネマズ流山おおたかの森 2018/8/24(金)~8/30(木)
- 【神奈川】TOHOシネマズららぽーと横浜 2018/8/24(金)~8/30(木)
- 【愛知】TOHOシネマズ名古屋ベイシティ 2018/8/24(金)~8/30(木)
- 【京都】イオンシネマ京都桂川 2018/8/24(金)~8/30(木)
- 【大阪】大阪ステーションシティシネマ 2018/8/24(金)~8/30(木)
- 【神戸】TOHOシネマズ西宮OS 2018/8/24(金)~8/30(木)
- 【福岡】中洲大洋映画劇場 2018/8/25(土)~8/31(金)
詳細は公式サイトをご確認ください。
⇒ http://tohotowa.co.jp/roh/movie/swan_lake.html