【TV】新国立劇場バレエ団「ニューイヤー・バレエ」(NHK BS プレミアムシアター 2月17日(月)【2月16日(日)深夜】00:00~)

2020年1月に上演された新国立劇場バレエ団「ニューイヤー・バレエ」(2019/2020シーズン)が、2月17日(月)【2月16日(日)深夜】にNHK BS プレミアムシアターでテレビ放送されます。
新年を祝うガラ公演で、チャイコフスキーの楽曲とダンサーが一体化したかのような美しさの『セレナーデ』、ガラ公演で大人気の『ライモンダ』と『海賊』からはパ・ド・ドゥ、『不思議の国のアリス』を振り付けたクリストファー・ウィールドン初期の小品『DGV』の日本初演と非常に興味深い構成です。
今回は、「ニューイヤー・バレエ」を鑑賞した感想も交えながら作品を紹介し、プレミアムシアター視聴の参考になる情報をお届けします。

新国立劇場バレエ団「ニューイヤー・バレエ」 放送概要

NHK BS プレミアムシアター
2020年2月17日(月)【2月16日(日)深夜】00:00~
放送概要

2月17日(月)【2月16日(日)深夜】のプレミアムシアターは、前半に新国立劇場バレエ団 ニューイヤー・バレエが放送され、休憩をはさんで後半にアン・デア・ウィーン劇場公演 歌劇『ハルカ』が放送されます。
タイムテーブルは未定のため、公表後に追記します。

■放送日時:2020年2月17日(月)【2月16日(日)深夜】00:00~
■放送チャンネル:NHK BS プレミアム
■放送内容:
◇本日の番組紹介
◇新国立劇場バレエ団 ニューイヤー・バレエ
◇アン・デア・ウィーン劇場公演 歌劇『ハルカ』

新国立劇場バレエ団「ニューイヤー・バレエ」 放送概要

■演目・出演:
「セレナーデ」

◇音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
◇振付:ジョージ・バランシン
◇出演:寺田亜沙子、柴山紗帆、細田千晶、井澤 駿、中家正博 ほか
「ライモンダ」から パ・ド・ドゥ
◇音楽:アレクサンドル・グラズノフ
◇振付:マリウス・プティパ
◇改訂振付・演出:牧阿佐美
◇出演:小野絢子、福岡雄大
「海賊」から パ・ド・ドゥ
◇音楽:リッカルド・ドリーゴ
◇振付:マリウス・プティパ
◇出演:木村優里、速水渉悟
「DGV」(日本初演)
◇音楽:マイケル・ナイマン
◇振付:クリストファー・ウィールドン
◇出演:本島美和、中家正博、小野絢子、木下嘉人、米沢 唯、渡邊峻郁、寺田亜沙子、福岡雄大 ほか
■指揮:マーティン・イェイツ
■管弦楽:東京交響楽団

■収録:2020年1月11・12日(新国立劇場 オペラパレス)

新国立劇場バレエ団「ニューイヤー・バレエ」(2019/2020シーズン)

例年、新国立劇場バレエ団は、新年最初の公演として「ニューイヤー・バレエ」と題したガラ公演を上演しており、2020年は1月11日(土)から13日(月・祝)の3日間に全3公演を上演しました。
2部構成の第Ⅰ部では、バランシン振付によるチャイコフスキーの音楽とダンサーが一体化した様子が美しい『セレナーデ』に加え、ガラ公演で人気の『ライモンダ』と『海賊』の2演目からはパ・ド・ドゥを上演しました。
第Ⅱ部では、2018/2019シーズンの開幕を飾り大好評を博した『不思議の国のアリス』の振付家であるクリストファー・ウィールドンの初期作品から1幕のアブストラクト・バレエ『DGV』を日本初演しました。

『セレナーデ』

■音楽:ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
■振付:ジョージ・バランシン
■ステージング:パトリシア・ニアリー
■キャスト:
寺田亜沙子、柴山紗帆、細田千晶
井澤 駿、中家正博
渡辺与布、飯野萌子、川口 藍、中田実里、赤井綾乃、今村美由起、加藤朋子、菊地飛和、北村香菜恵、小村美沙、関 晶帆、中島春菜、原田舞子、土方萌花、廣川みくり、山田歌子、横山柊子
宇賀大将、清水裕三郎、趙 載範、浜崎恵二朗

『セレナーデ』は、ジョージ・バランシンが1933年に新たな活動拠点としてアメリカに渡った翌年の1934年にスクール・オブ・アメリカン・バレエの上級クラスの生徒のために振り付け、6月9日に初演されました。
ストーリーのないアブストラクト・バレエと呼ばれ、ダンサーが音楽と一体となった様子は「見る音楽」とも評されます。
しかし、ダンサーが整然と立ち並ぶところに、後から来た一人のダンサーが何かを探しているかのようにさまよう場面などもあり、「何なのだろう」と戸惑いを覚えることもあります。
これは、創作の過程において、遅刻してきた生徒や転倒して泣いてしまった生徒のエピソードが取り入れられたためです。
また、女性ソリストには愛人や妻、母といった表立っては出てこない役名もあるそうで、ストーリーが
全くない訳でもなさそうです。
実際に『セレナーデ』を鑑賞してみると、何かしらのストーリーが浮かび上がってくるように感じられ、見る者のイマジネーションを刺激する作品でもあります。

構成は、使用楽曲のチャイコフスキー『弦楽セレナーデ ハ長調 作品48』と同じく4部構成ですが、バランシンはメランコリックな余韻で終わらせたいと考え、バレエでは原曲の第3楽章と第4楽章の順番を入れ替え、『ソナチネ形式による断章』『ワルツ』『ロシア的主題』『エレジー』の順番による構成へと変更されているそうです。

ステージングのパトリシア・ニアリーは、カナダ国立バレエ、ニューヨーク・シティ・バレエ、ジュネーヴ・バレエでダンサーとして活躍した後、ベルリン・バレエのアシスタント・ディレクターを経てジュネーヴ・バレエ、チューリヒ・バレエ、ミラノ・スカラ座バレエでは芸術監督を務めた、輝かしいキャリアをお持ちです。
1988年からはバランシン財団に所属し、バランシン作品の指導者として活躍しています。

バランシン・スタイルは一朝一夕に習得できるようなものではありませんが、新国立劇場バレエ団は他にも『シンフォニー・イン・C』や『テーマとヴァリエーション』などをレパートリーに持ち、パトリシア・ニアリーのようなバランシンを直接知っている方々から指導を受けて上演を重ねることにより、完成度が増しているように感じます。
このように複数のバランシン作品をレパートリーに持つことは、技術を向上させ、
ダンサーとして成長するためにも非常に有益であるようです。

初日のカーテンコールでは、ステージングを担当されたパトリシア・ニアリーも赤いパンツ・スーツ姿で登場しました。
出演していた今村美由起さんのブログには、パトリシア・ニアリーをダンサーが囲んで撮影した写真も掲載されています。

『ライモンダ』よりパ・ド・ドゥ

■音楽:アレクサンドル・グラズノフ
■振付:マリウス・プティパ
■改訂振付・演出:牧阿佐美
■キャスト:小野絢子、福岡雄大

小野絢子/福岡雄大の新国立劇場バレエ団を代表する看板ペアは抜群の安定感と貫禄すら感じさせ、新年の華やかな幕開けにふさわしく、高貴で優雅なパ・ド・ドゥを踊り、観客を魅了しました。
なお、千穐楽公演(1月13日)では米沢 唯/渡邊峻郁ペアが出演し、こちらのペアも会場を大いに沸かせました。

『ライモンダ』は中世十字軍の時代の物語をグラズノフの音楽にプティパが振り付け、1898年にサンクトペテルブルクの帝室マリインスキー劇場で初演されました。
プティパ最後の傑作といわれ、ロシア古典バレエの集大成ともいえる作品です。
ガラ公演などでは上演される機会も多い演目ですが、全幕をレパートリーに持つバレエ団は多くありません。

新国立劇場バレエ団では、プティパの原振付をもとに改訂振付を行った牧阿佐美版が2004年に初演され、レパートリーに入りました。

今回の舞台を鑑賞し、パ・ド・ドゥだけではなく全幕での上演を望む声も聞こえてきそうです。
2009年2月を最後に上演が途絶えていましたが、2020/2021シーズンには牧阿佐美版『ライモンダ』が復活し、2021年6月に全幕で上演されることになりました。
また、それまで待てない!という方には、2009年収録と少し古い映像ですが、『新国立劇場バレエ団 オフィシャルDVD BOOKS バレエ名作物語 Vol.2 ライモンダ』が世界文化社から発売されています。
主演は、スヴェトラーナ・ザハロワ/デニス・マトヴィエンコのペアという貴重なキャストでもありますので、ぜひ、ご覧いただきたい映像です。

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『海賊』よりパ・ド・ドゥ

■音楽:リッカルド・ドリーゴ
■振付:マリウス・プティパ
■キャスト:木村優里、速水渉悟

「『海賊』よりパ・ド・ドゥ」は、超絶技巧がちりばめられたガラ公演では定番の人気演目です。
次代の新国立劇場バレエ団を背負って立つであろう若手ダンサーの木村/速水ペアは超絶技巧が求められる難しい役を、期待通り、いやそれ以上の完成度で華麗に決め、会場を大いに盛り上げました。
若さと疾走感に満ちた二人の演技は、『ライモンダ』で貫禄すら感じさせた小野/福岡ペアの優雅な踊りと好対照をなし、プログラム構成とキャスティングの妙でも楽しませてくれたように思います。

ポスターや公演パンフレット表紙にも掲載されている、上半身を大きくのけぞらせたジャンプ姿の木村優里さんが印象的ですが、この写真は2016年1月に上演された「ニューイヤー・バレエ」にて、井澤 駿さんと「『海賊』パ・ド・ドゥ」に出演しときのものでしょうか。
今回の舞台でも見事なジャンプを披露し、「ポスターと同じだ!あんなジャンプが本当にできるんだ!」と多くの観客が驚愕したのではないでしょうか。

木村優里さんは新国立劇場バレエ研修所時代から抜きん出た実力で注目を集めており、研修所を修了した2015年にソリストとして鳴り物入りで新国立劇場バレエ団に入団しました。
次々と主役を任され、今シーズンからはファースト・ソリストに昇格しています。

速水渉悟さんはジョン・クランコ・バレエ学校からヒューストン・バレエを経て2018年に新国立劇場バレエ団にソリストとして入団しました。
2015年に「Youth America Grand Prix Finals 2015」では男性シニア部門で金賞、審査員特別賞を受賞し、同年開催のローザンヌ国際バレエコンクールではファイナリストになった実力の持ち主で、今回の舞台ではその実力を如何なく発揮しました。

木村さんと速水さんの次の大役は2020年のゴールデンウィークに上演される新国立劇場バレエ団『ドン・キホーテ』の主役です。
5月3日(日・祝)には木村優里さんが渡邊峻郁さんとのペアで主演し、5月9日(土)には速水渉悟さんが米沢 唯さんとペアを組み新国立劇場バレエ団主演デビューを飾ります!
昨シーズン(2018/2019シーズン)は、『ラ・バヤデール』黄金の神像、『アラジン』ランプの精ジーンなど、高度な技術が求められる重要な役に抜擢されていますが、『ドン・キホーテ』ではどのような演技で舞台を引っ張っていくのか、速水さんの主役デビューに対する観客の期待は高まります。

【中止】新国立劇場バレエ団『ドン・キホーテ』2020年5月に豪華6キャストで上演
新国立劇場バレエ団は2020年5月2日(土)~5月10日(日)に『ドン・キホーテ』を豪華6キャストで上演します。

『DGV Danse à Grande Vitesse © by Christopher Wheeldon 』(日本初演)

■音楽:マイケル・ナイマン
■振付:クリストファー・ウィールドン
■美術・衣装:ジャン=マルク・ピュイサン
■照明:ジェニファー・ティプトン
■振付指導:ジェイソン・ファウラー
■キャスト:
第1区(ソリスト):本島美和、中家正博
第2区(ソリスト):小野絢子、木下嘉人
第3区(ソリスト):米沢 唯、渡邊峻郁
第4区(ソリスト):寺田亜沙子、福岡雄大
池田理沙子、木村優里、奥田花純、玉井るい、広瀬 碧、益田裕子、朝枝尚子、廣田奈々
井澤 諒、福田圭吾、速水渉悟、原 健太、小柴富久修、中島駿野、中島瑞生、渡邊拓朗

クリストファー・ウィールドンは現在最も人気のある振付家の一人で、新国立劇場バレエ団では2018年に上演された『不思議の国のアリス』に続き、2作品目の上演です。
今回上演されたのはストーリーのない1幕バレエで、フランス高速鉄道TGV(Train à Grande Vitesse)のパリ ー リール間の開通を記念してマイケル・ナイマンが作曲した『MGV: Musique à Grande Vitesse(高速音楽)』に合わせ、「旅」をテーマとして創作されました。
第1区から第4区までで構成され、それぞれのテーマ、音楽、照明により異なる時間帯を表現しているかのようでした。

『不思議の国のアリス』とは趣が異なりますが、クリストファー・ウィールドンらしさを感じる振り付けがなされた作品で、新たな魅力を紹介する機会となりました。

舞台装置は、鉄道車両とも山々とも思えるメタリック・アートを思わせる大きなオブジェと太陽と月を現しているのであろう一つの照明のみの非常にミニマルなものです。
メタリック調でありながら半透明なオブジェを効果的に用い、照明は色と明るさと高さを変えることにより一日の時間の流れを生み出しています。
これだけのミニマルな舞台装置で様々な状況を表現できるものかと思うほど、舞台上の印象は様々な表情に変化します。
終盤には2階バルコニー席の最も舞台よりに配置された打楽器が突然鳴り出し舞台を盛り上げました。
テレビ放送ではこの臨場感を伝えるのは難しいかもしれませんね。

初日のカーテンコールには、振付をしたクリストファー・ウィールドンを含め4人のスタッフも登場しました。
振付指導のジェイソン・ファウラーは分かりましたが、残りの二人は美術・衣装のジャン=マルク・ピュイサンと照明のジェニファー・ティプトンではないかと思います。
美術・衣装のジャン=マルク・ピュイサンも世界で活躍しており、日本でも2019年9月に初演されたK-BALLET COMPANY 熊川哲也版『カルミナ・ブラーナ』で衣装・美術デザインを担当しています。(K-BALLETではジャン=マルク・ピュイッソンと表記)

バレエチャンネルでは、「DGV」のリハーサルと振付指導のジェイソン・ファウラーのインタビュー動画を公開しています。

新国立劇場バレエ団 新制作「DGV」(ウィールドン振付)リハーサル&振付指導者インタビュー
(YouTube / バレエチャンネル 公式チャンネル)

【リハーサルレポート】新国立劇場バレエ団 新制作「DGV」(ウィールドン振付)リハーサル&振付指導者インタビュー

今回の舞台を見て、クリストファー・ウィールドンに関心を持たれた方も多いのではないでしょうか。
2018年の初演時には満員御礼と大好評を博したクリストファー・ウィールドン振付『不思議の国のアリス』が、新国立劇場バレエ団2019/2020シーズンの最終公演として2020年6月に上演されますが、新国立劇場での上演に加えて、愛知県芸術劇場(愛知県)、高崎芸術劇場(群馬県)での上演も決まり、異例の合計14公演を上演します。
「DGV」とはガラリと変わった作品ですが、本家の英国ロイヤル・バレエのみならず、世界中で大ヒットした誰もが楽しめるバレエに仕上がっていますので、まだご覧になっていない方にはとくにお勧めしたい作品です。

【中止】新国立劇場バレエ団『不思議の国のアリス』2020年6月上演/アンナ・ローズ・オサリヴァン、タイ・キング=ウォールが客演!
【5/8追記】 新国立劇場は、緊急事態宣言が延長されたことから、公演準備を進めることが困難となったため、6月に開催予定の新国立劇場...

新国立劇場バレエ団「ニューイヤー・バレエ」(2019/2020シーズン)
ダンサーのサイン入りオリジナルグリーティングカード

新国立劇場バレエ団「ニューイヤー・バレエ」(2019/2020シーズン)では、上演した全ての公演(全3公演)において、2020年の幕開けを祝したスペシャル企画として「ダンサーのサイン入りオリジナルグリーティングカード」が来場者全員にプレゼントされました。
グリーティングカードに入っているサインは公演ごとに異なり、下記のとおり、それぞれのカードに5名のサインが入っています。
【サインをしているダンサー一覧(敬称略)】
■1月11日(土):奥村康祐、小野絢子、福岡雄大、柴山紗帆、中家正博
■1月12日(日):井澤 駿、木村優里、寺田亜沙子、速水渉悟、細田千晶
■1月13日(月・祝):本島美和、米沢 唯、渡邊峻郁、池田理沙子、木下嘉人

サイン入りグリーティングカード。残念ながらコンプリートならず!12日のカードがありません(>_<)

新国立劇場バレエ団「ニューイヤー・バレエ」(2019/2020シーズン)
関連リンク

■新国立劇場公式サイト:ニューイヤー・バレエ
■バレエチャンネル:【動画レポート】新国立劇場バレエ団 ウィールドン振付「DGV」リハーサル&振付指導者インタビュー
■smile×smile♪(新国立劇場バレエ団ダンサー 今村美由起さんのブログ):ニューイヤーバレエ