2017年6月25日(日)に新国立劇場バレエ団の『ジゼル』を観てきました。
この日の主演は、木村優里さんと渡邊峻郁さんのペアです。
木村優里さんにとってジゼルデビューの舞台です。
6月27日のブログにも書いた通り、この日の午前中には『ジゼル』舞台レッスン見学会があり、新国ダンサーのクラスレッスンを拝見し、気持ちが盛り上がっていた状況での観劇です。
そのときの投稿はこちら
ジゼル役の木村さんは今回の舞台でジゼルデビューですが、彼女にとっても、やはり踊りたい役だったそうです。
白鳥の湖でのルースカヤなど、クールなイメージがなんとなくありますが、今年2月に上演されたプティの『コッペリア』では、コミカルでキュートな演技も披露し、異なる側面も見えてきました。
これからも、どのような新境地を開くのか、注目のダンサーです。
対して、アルベルト役の渡邊さんは、フランスのキャピトルバレエ団に在籍していた際に、異なる版を踊られたことがあるそうです。
2016/2017シーズンから新国に入団され、期待されているダンサーの一人です。
今シーズンの開幕を飾った『ロメオとジュリエット』では、パリスを踊りました。
パリス役には渡邊さんの他に、井澤駿さんもキャスティングされていましたが、ケガのため出演できなくなり、全日、渡邊さんが踊られたというエピソードがあります。
そのため、私にとって、渡邊さんといえばパリスというイメージがまとわりついています。(*‘∀‘)
第1幕で木村さんは、恋に夢見る村娘をはつらつとした笑顔で演じました。
やはり、今まで演じられた役とは異なる印象を受けるものでした。
見せ場の狂乱シーンでは迫真の演技で、これまた初めて見る木村さんです。
彼女の踊りについて言葉で表現することができない悔しさがありますが、私のこころはジゼルの世界に引き込まれ、感情を確かに揺さぶられました。
渡邊さん演じるアルベルトですが、とても人が良さそうに感じました。(*’▽’)
アルベルトといえば、バチルドという婚約者がいながら、村娘のジゼルにちょっかいを出すひどい人の様に思われる役ですが、そんな感じの人には見えない、人の良さそうな好青年という印象です。
二人の演じる『ジゼル』は全編を通して「愛」を感じる舞台だと思いました。
木村さんはインタビューでも、そのようなことを述べており、その点では見る側に対して伝えることに成功したのだと思います。
やはり、ジゼルもアルベルトも、役柄をどのように理解するかによって演技も変わりますが、木村さんと渡邊さんのそれぞれの解釈は、私の「現在」の解釈とは異なり、それはそれで多様性を感じて面白いところでもあります。
かっこつきで現在の解釈としたのは、経験を積み、解釈は変わるものだからです。これは、多くの方が指摘しているとおりです。
当然、二人の解釈も今後、変わってくると思います。
解釈が変わることにより、踊り、役作りがどのように変わるのか、そこも『ジゼル』という作品の魅力だと思います。
いつか再演の機会があれば、そして、木村さん、渡邊さんが踊られる機会があれば、そういった役に対する解釈、役作り、踊りの変化に注目して楽しみたいと思い、今からワクワクしてきます。(*’▽’)
二人の解釈は、「おけぴ」のインタビューで読むことができます。
インタビューはこちら
また、舞台クラスレッスン見学会で注目した奥田花純さんの村人のパ・ド・ドゥも素晴らしい踊りでした。
今回のキャスティングで面白い気づきがありました。
それは、奥田さんはウィリたちにキャスティングされていないということです。
ウィリといえば、ご存じの通り、嫁入り前に命を落とした乙女が妖精となったものであり、死の世界にいて、とても暗い表情です。
奥田さんはウィリたちを演じることがなかったので、徹底的に明るく溌剌とした踊りに集中できたのではないかと思いました。
そう考えると、奥田さんのウィリも観てみたくなってきました。(*’▽’)