平野亮一さんが主演した英国ロイヤル・バレエ団『フランケンシュタイン』が、2019年6月24日(月)【6月23日(日)深夜】にプレミアムシアターにてテレビ放送されます。
バレエ『フランケンシュタイン』は、世界初演から約半年後の2016年11月21日(月)には早くもプレミアムシアターで放送され、2018年07月23日(月)には再放送されました。
放送された舞台では、フェデリコ・ボネッリがヴィクター・フランケンシュタインを、スティーヴン・マックレーが怪物(The Creature)を演じていました。
今回の放送は、日本人プリンシパルの平野亮一さんが主演するということもあり、多くの方にご覧いただきたいと思います。
しかし、作中で多くの登場人物が亡くなり、また、グロテスクだと感じられる場面が少なからずあります。
英国ロイヤル・バレエ団では、『フランケンシュタイン』を12歳未満のお子さまには不向きであると注意を促しています。
今回は、プレミアムシアターでの英国ロイヤル・バレエ団『フランケンシュタイン』鑑賞に向けて役立つ情報を紹介したいと思います。
英国ロイヤル・バレエ団『フランケンシュタイン』平野亮一主演/プレミアムシアター
プレミアムシアター 2019年6月24日(月)放送概要
■放送日時:2019年6月24日(月)【6月23日(日)深夜】00:00~04:05
■放送チャンネル:NHK BS プレミアム
■放送内容:
◇本日の番組紹介(0:00:00~0:02:30)
◇平野亮一 主演 英国ロイヤル・バレエ『フランケンシュタイン』(0:02:30~2:14:30)
◇パリ・オペラ座バレエ『夏の夜の夢』【再放送】(2:17:00~4:05:00)
パリ・オペラ座バレエ『夏の夜の夢』については次の記事で紹介しています。
英国ロイヤル・バレエ団『フランケンシュタイン』放送概要
■演目:『フランケンシュタイン(Frankenstein)』(全3幕)
■音楽:ローウェル・リーバーマン(Lowell Liebermann)
■振付:リアム・スカーレット(Liam Scarlett)
■出演:
– ヴィクター・フランケンシュタイン:トリスタン・ダイヤー(Tristan Dyer)
– エリザベス・ラヴェンツァ(ヴィクターの恋人):サラ・ラム(Sarah Lamb)
– 怪物(The Creature):平野亮一
■管弦楽:英国ロイヤル・オペラ・ハウス管弦楽団
■指揮:バリー・ワーズワース
■収録:2019年3月15・23日 ロイヤル・オペラ・ハウス(英国・ロンドン)
2019年の『フランケンシュタイン』再演に向けた予告編です。
Frankenstein – The Creature comes alive (The Royal Ballet)
(YouTube / Royal Opera House 公式チャンネル)
英国ロイヤル・バレエ団『フランケンシュタイン』について
英国ロイヤル・バレエ団『フランケンシュタイン』について
バレエ『フランケンシュタイン』は、英国ロイヤル・バレエ団のアーティスト・イン・レジデンスに就任しているリアム・スカーレットが、イギリスの小説家 メアリー・シェリー(Mary Shelley)の小説を元に、英国ロイヤル・バレエ団のために振り付けた初めての全幕バレエです。
音楽は米国人作曲家のローウェル・リーバーマンが担当しました。
スカーレットは、いくつかの作品で曲を使用したことがあるリーバーマンに、新作のための作曲を委嘱しました。
スカーレットは、忘れられないほどの美しい音楽を望み、リーバーマンはその期待に見事応えてくれたと語っています。
美術はジョン・マクファーレンが担当し、1700年代の豪華な邸宅や精巧ゆえにぞっとするほど恐ろしい解剖学教室などを再現しました。
マクファーレンは、2018年に新制作されたスカーレット版『白鳥の湖』でもタッグを組みましたが、その舞台美術は高く評価され、バレエ界のオスカーと呼ばれる「ブノワ賞」を受賞しています。
スカーレットからの信頼も厚い、マクファーレンとのコラボレーションからは、今後も多くの名作が誕生することと思います。
フランケンシュタインは、ホラー映画ではよく知られた存在となっていますが、メアリー・シェリーの原作は人間の倫理観や愛、交流、理解、受容などへの渇望を描いており、スカーレットのバレエ作品は作者の意図を尊重した演出になっています。
ヴィクターとエリザベスを中心に据えれば優しいラブストーリーがあり、怪物(The Creature)は単なる悪役としてではなく、人間としての振る舞い方をきちんと教わる機会がなかった被害者でもあると理解することもできます。
リアム・スカーレットは、ヴィクター・フランケンシュタインが感じる悲しみと絶望、また怪物が自分に命を授けたヴィクターに受け入れてもらいたいと渇望する気持ちを表現力豊かにドラマティックに振り付けています。
なお、怪物(The Creature)には名前がありません。
メアリー・シェリーの小説を元にした作品が多く作られ、怪物のことをフランケンシュタインと呼ぶ作品も多いことから、そのように呼ばれることが一般的になったようです。
原作でフランケンシュタインというのは、主人公ヴィクター・フランケンシュタインの姓(ファミリーネーム)です。
あらすじ
【第1幕】
1775年 ジュネーブ
フランケンシュタイン家は一人の孤児エリザベスを引き取り、息子のヴィクターとともに育てます。
1788年 フランケンシュタイン邸
ヴィクターは父のような医師になるためにインゴルシュタット大学へと旅立つ準備をしています。
ヴィクターとエリザベスは兄と妹のように育てられますが、二人は愛し合うようになり、ヴィクターはエリザベスに求婚し、家族は喜びに包まれます。
しかし、ヴィクターが大学へと立つ直前、弟ウィリアムの出産と引き換えに母が亡くなるという悲劇が訪れます。
ヴィクターは母を失った悲しみに暮れ、大学入学後には母を生き返らせたいという思いに駆られ、無生物に生命を吹き込む研究に没頭します。
研究は実を結びますが、自らが創造した怪物のように醜い生物は逃亡し、ヴィクターは自分の為したことに恐れおののきます。
【第2幕】
ヴィクターの寝室
ヴィクターはジュネーヴの家族の元に戻りますが、怪物のことで悪夢に苛まれています。
怪物はヴィクターの後を追い、ジュネーブにやって来ます。
ジュネーブ1795年 フランケンシュタイン邸の外
ヴィクターは失くした日誌を見つけ、怪物が近くにいることを感じてパニックに陥ります。
ヴィクターから愛されていないと知った怪物は復讐を誓います。
怪物はヴィクターの弟ウィリアムを殺めてしまいますが、家政婦がウィリアム殺害の疑いをかけられ、ジュネーブの裏通りで絞首刑となります。
【第3幕】
ヴィクターとエリザベスの結婚式当日
怪物の行動はさらにエスカレートし、ヴィクターの友人ヘンリーを殺め、あろうことかエリザベスまでも殺めてしまいます。
絶望したヴィクターはピストルを怪物に向けますが、あたかも自らの行いがそもそもの始まりだと悔いるかのようにピストルを下げ、その後、自らに向けて発砲し命を絶ちます。
ヴィクターの死を悲しむ怪物は、遺体の手を取り自らの顔を愛おしく撫でさせるようにし、ついに渇望していたヴィクターの愛を受けることができなかった絶望の中、燃え盛る炎に向かってゆっくりと歩を進めます。
関連映像(YouTube / Royal Opera House 公式チャンネル)
ローウェル・リーバーマンが『フランケンシュタイン』の音楽について語ります。
Music behind the monster: Lowell Liebermann on his Frankenstein score (The Royal Ballet)
ジョン・マクファーレンが『フランケンシュタイン』のデザインについて語ります。
The challenges of designing Frankenstein (The Royal Ballet)
クレジット・基本情報
■演目:『フランケンシュタイン(Frankenstein)』
■制作:英国ロイヤル・バレエ団とサンフランシスコ・バレエ団の共同制作
■上演時間:約2時間55分(休憩2回)/第1幕50分、第2幕40分、第3幕35分
■対象年齢:12歳未満には不向き
■振付:リアム・スカーレット(Liam Scarlett)
■音楽:ローウェル・リーバーマン(Lowell Liebermann)
■デザイナー:ジョン・マクファーレン(John Macfarlane)
■プロジェクション・デザイン:フィン・ロス(Finn Ross)
■世界初演:2016年5月4日 ロイヤル・オペラ・ハウス(英国・ロンドン)