【鑑賞レポ】福田圭吾 全幕主演デビュー!新国立劇場バレエ団『アラジン』2019年6月18日(火)

2019年6月18日(火)に上演された新国立劇場バレエ団『アラジン』で福田圭吾さんがタイトルロールを踊り、新国立劇場バレエ団における全幕作品主演デビューを飾りました!

福田さんが主演した6月18日(火)の舞台について、感想を交えて報告したいと思います。

福田圭吾さん 全幕主演デビュー!新国立劇場バレエ団『アラジン』

福田圭吾さん 全幕主演デビュー!

新国立劇場バレエ団のファースト・ソリスト福田圭吾さんが、2019年6月18日(火)に上演された新国立劇場バレエ団『アラジン』にて初めての全幕作品主演を果たしました。
2006年の新国立劇場バレエ団入団から13年を経ての全幕作品初主演でした。

福田さんは、3歳から大阪のケイ・バレエスタジオにてバレエを始め、2002年にジャクソン国際バレエコンクールでスカラシップを受賞しドイツハインツボッスル・バレエアカデミーへ留学し、2003年にはローザンヌ国際バレエコンクールでスカラシップを受賞しバーミンガム・ロイヤル・バレエで研修しています。
バーミンガム・ロイヤル・バレエは、『アラジン』を振り付けたデヴィッド・ビントレーさんが芸術監督を務めており、何か縁を感じます。

6月18日(火)の公演は、学校団体が入っていたため、いつもとは様子が異なりましたが、それとは別に何か特別な雰囲気がありました。
あちらこちらから関西弁が聞こえてくるような気がしましたが、聞こえてきた会話から、大阪からわざわざこの公演を鑑賞するために、多くの方が来ていることが分かりました。
大阪出身の福田さんの全幕主演デビューを応援しに、大阪から多くの方が鑑賞しに来られていたのですね!

6月18日(火)上演『アラジン』の感想

福田圭吾さんは抜群の身体能力で技術力があり、古典作品のみならずコンテンポラリー作品も器用に踊りこなすダンサーというイメージがあります。
実際、『白鳥の湖』や『シンデレラ』では超絶技巧を駆使して会場を沸かす道化役などを当たり役としているように思います。

2006年の新国立劇場バレエ団入団以来、全幕作品での主演がなかったのは、小柄な体格に合った主役がなかったからではないでしょうか。
『アラジン』はやんちゃな少年の役であり、イメージ的にも福田さんにぴったりだったように思います。

今回の主役抜擢には福田さんご自身も信じられなかったようですが、当たり役ではないでしょうか。

6月18日の公演は学校団体が入っていたこともあり、普段の劇場とは異なった雰囲気の中、踊りにくかったのではないかと思いますが、客席から見た福田さんの様子は、いつも以上に落ち着いた雰囲気で役に入り込んでいる印象を受けました。

すでにベテランの域に入り、ダンサーとしての素質も経験も十分な福田さんにとっては、そのような環境はあまり関係なかったのかもしれません。

全体を通して、やんちゃな青年を地で行く福田さんはアラジンそのものでした。
茶目っ気のある素振りや技術的にもかなり高度な踊りがちりばめられ、また、全編を通してほとんど出ずっぱりという難しい役柄を自然に演じていたように思います。

カーテンコールではかなりの声援や拍手が湧き上がっていましたが、地元大阪からの応援団によるものだけではなく、他の観客も素直に舞台の素晴らしさに敬意を表したものだと感じました。

相手役のプリンセスを演じた池田理沙子さんも初役でした。

プリンセスは第1幕の最後の場面である第5場から本格的に登場します。
第2場でマグリブ人がアラジンに絶世の美女の幻想を見せるところが最初の出番ですが、ここでの表情は少し硬かったように思いました。
実際にオペラグラスで見てみると眉間にしわが寄っていました。(´▽`)
プロローグ以外は全ての場面に登場するアラジンに比べて、プリンセスは自分の出番に向けて役作りに集中する難しさがある舞台構成ではないかと思います。

舞台が進むにつれて表情から硬さも取れてきたように思います。
秀逸だったのは、第3幕第2場魔術師マグリブ人のハーレムで、マグリブ人の飲み物に眠り薬を入れようとして誘惑的な踊りを披露する場面です。
このときのマグリブ人にトラップをしかけようと悪だくみを考えている様子の表情は何とも魅力的であったことを覚えています。
この演技は何かに通じるな、と思いましたが、それは『白鳥の湖』でオディールがジークフリート王子を誘惑するときに見せる表情ではないでしょうか。
池田さんは新国立劇場バレエ団ではオデット/オディールを踊っていませんが、この演技からすると池田さんに合った役ではないだろうか、と感じた訳です。
今年の夏休みに上演される「こどものためのバレエ劇場2019『白鳥の湖』」ではオデット/オディール役にキャスティングされていないことは、とても残念ですね。

2018年3月26日(月)に上演された公演「Ballet Rose in Love Stories〜バラで綴るバレエの恋の物語〜」では、ジークフリート王子演じる井澤 駿さんを相手に池田さんがオディールを演じた舞台を鑑賞したことがありますが、このときのグラン・フェッテ32回転の感動は忘れることができません!
池田さんは、もともとしっかりとした技術をお持ちのダンサーですが、米沢 唯さんのグラン・フェッテ32回転を見たときと同じくらい素晴らしいものだっただけに、今回の『アラジン』でのマグリブ人を誘惑するような不敵な表情を見ると池田さんのオデット/オディールには大いに期待したいと感じました。

この日の公演は、速水渉悟さんにとってのランプの精ジーンのデビューでもありました。
2018年に新国立劇場バレエ団入団以来の踊りを見ると、非常に高い技術を持ち、ランプの精ジーンにも向いていると思っていましたが、期待を裏切らない素晴らしい踊りでした。

ランプの精ジーンが側近を伴い踊るシーンがありますが、スピーディーでスリリングな踊りは圧巻です。
さらに、この側近のメンバーがすごいんです!とくに女性!
この日は、寺田亜沙子、奥田花純、五月女 遥、 細田千晶、飯野萌子、広瀬 碧という贅沢過ぎる布陣でした!

今シーズンの『アラジン』では、その他にも初役のダンサーが多いのが特徴です。

過去に『アラジン』を鑑賞したことのある方、DVDで鑑賞した方にとっても、かなり印象の異なる舞台になっているように思います。

筆者自身も鑑賞の回数を重ね、当初とは異なる場面が気になるようになりました。

今まで、あまり気にしていなかった「第1幕第3場 財宝の洞窟」の場面の魅力に今さらながら気づいてしまいました!
『アラジン』開幕公演での感想にも記しましたが、様々な宝石たちが魅力的な音楽に合わせて、それぞれ個性の異なる踊りを披露しますが、この場面は『アラジン』のハイライトの一つであることは間違いありません。
多くのダンサーが登場するのも魅力的ですが、仮面を被っているためにお顔が隠れてしまっているのが少し残念です。

アラジンは大阪人?!

今シーズンの『アラジン』のキャストを見ていると面白いことに気づきます。
それは、アラジン役の3名(福岡雄大、福田圭吾、奥村康祐)全員が大阪出身であるということです。

福岡雄大さんと福田圭吾さんの出身バレエスクールが同じケイ・バレエスタジオであることにも驚きます。
さらに驚くべきことに、『アラジン』世界初演でアラジンを踊った山本隆之さんも大阪出身で、な、な、なんとケイ・バレエスタジオ出身なのです!!!( ゚Д゚)

新国立劇場バレエ団『アラジン』でアラジン役にキャスティングされたことのあるダンサーは次の6名です。
・山本隆之
・八幡顕光
・芳賀 望
・福岡雄大
・奥村康祐
・福田圭吾
この6名のうち大阪のケイ・バレエスタジオ出身者は3名ですから、50%の占有率を誇ることになります。
ケイ・バレエスタジオがアラジン役のダンサーを多く輩出していることには何か秘密があるのでしょうか?
ビントレー版『アラジン』のアラジンは中国人風ですが、本当は大阪人なのではなかろうかと疑念を抱いてしまったのは私だけでしょうか?!

公演概要

公演概要

新国立劇場バレエ団『アラジン』
■日程:2019年6月18日(火)13:00開演
■上演時間:約2時間40分(休憩含む)

■会場:新国立劇場バレエ団 オペラ・ハウス(東京・初台)
■芸術監督:大原永子
■演出・振付:デヴィッド・ビントレー
■作曲:カール・デイヴィス
■指揮:冨田実里
■管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団

キャスト

■アラジン:福田圭吾
■プリンセス:池田理沙子
■アラジンの母:中田実里
■サルタン(プリンセスの父):菅野英男
■ランプの精ジーン:速水渉悟
■魔術師マグリブ人:貝川鐵夫
■アラジンの友人:木下嘉人、原 健太
■サルタンの守衛:福田紘也
■砂漠の嵐:川口 藍、玉井るい、朝枝尚子、今村美由起、小村美沙、関 晶帆、原田舞子、山田歌子
■オニキスとパール:五月女 遥、飯野萌子、広瀬 碧、木下嘉人、原 健太、佐野和輝
■ゴールドとシルバー:寺井七海、横山柊子、中家正博、趙 載範
■サファイア:本島美和
■サファイアのお付き:川口 藍、赤井綾乃、加藤朋子、原田舞子
■ルビー:木村優里、渡邊峻郁
■エメラルド:益田裕子、廣田奈々、小柴富久修
■ダイヤモンド:柴山紗帆
■ダイヤモンドのお付き:稲村志穂里、今村美由起、菊地飛和、北村香菜恵、木村優子、小村美沙、関 晶帆、関 優奈、土方萌花、守屋朋子、山田歌子、徳永比奈子
■プリンセスのお付き:川口 藍、益田裕子、朝枝尚子、加藤朋子、原田舞子、廣川みくり
■ランプの精ジーンの側近:寺田亜沙子、奥田花純、五月女 遥、 細田千晶、飯野萌子、広瀬 碧
宇賀大将、浜崎恵二朗、太田寛仁、小川尚宏、佐野和輝、西川 慶

最後に

今回は、福田圭吾さんの全幕作品初主演の舞台について、思うがままに感想も交えて報告いたしました。

福田圭吾さんと池田理沙子さんのペアは6月22日(土)13:00から上演する公演にも出演します。
ランプの精ジーンは速水渉悟さんが演じます。

古くから福田さんを応援してきた方には是非ともご覧いただきたい舞台ですが、『アラジン』はとにかく素晴らしい舞台ですので、多くの方に鑑賞していただきたいと思います。