2020年9月20日(日)放送のNHK BS プレミアムシアターでは、近代彫刻の父と称されるオーギュスト・ロダンと彼の才能あふれる弟子カミーユ・クローデル、ロダンを支えたの内縁の妻ローズ・ブーレとの愛憎を描いたエイフマン・バレエ『ロダン』が放送されます。
エイフマンのバレエを特徴付ける心理描写とロダンの代表作がエイフマン・バレエのダンサーの身体を通して創作されていく様子が見どころです。
9月20日(日)のNHK BS プレミアムシアターでは、マシュー・ボーンの『白鳥の湖』、エイフマン・バレエ『ロダン』、バレエ『CLOSED』の3演目が放送されます。
この記事ではエイフマン・バレエ『ロダン』について紹介しています。
エイフマン・バレエ『ロダン』(全2幕)
エイフマン・バレエについて
鬼才ボリス・エイフマン率いるロシアのエイフマン・バレエは、1977年にレニングラード・バレエシアターとして設立され、1989年には国立となったロシアを代表するバレエ団です。
日本における知名度は少し低いかもせれませんが、ロシアではチケットを入手することも困難ほどの人気を誇るそうです。
レパートリーはエイフマンによる作品が中心で、ロシアバレエの伝統と革新性を持ち、鬼才ボリス・エイフマンの舞踊言語による心理描写が特徴的で、自らのバレエを「心理バレエ(psychological ballet)」と定義しています。
女性173cm以上、男性184cm以上という条件をクリアし入団したダンサーたちから繰り出される表現は他のバレエ団の公演とは明らかに異なる存在感を放っています。
1990年に初来日を果たし、2019年に21年ぶりとなる来日では、ロシアの文豪レフ・トルストイの名作をもとにしたエイフマン・バレエの代表作『アンナ・カレーニナ』と今回放送される『ロダン』を上演しています。
2013年には附属のバレエ学校「ボリス・エイフマン・ダンス・アカデミー(Boris Eifman Dance Academy)」が開校し、本拠地となるエイフマンが新たな舞踊芸術の中心地として構想した劇場「ダンス・パレス(Boris Eifman Dance Palace)」も近い将来開館予定です。
エイフマン・バレエ『ロダン』について
エイフマン・バレエ『ロダン』
EIFMAN BALLET OF ST.PETERBURG
RODIN, Her Eternal Idol
エイフマン・バレエ『ロダン』(日本公演名「『ロダン』~魂を捧げた幻想」/原題『RODIN, Her Eternal Idol』)は、「地獄の門」「考える人」などの作品で知られ、近代彫刻の父と称されるフランスの彫刻家フランソワ=オーギュスト=ルネ・ロダン(François-Auguste-René Rodin)と彼の弟子であり、愛人、ミューズでもあるカミーユ・クローデル(Camille Claudel)という二人の偉大な彫刻家とロダンを支えた内縁の妻ローズ・ブーレとの愛憎を描いた作品です。
ロダンにとって才能豊かで若く美しいカミーユの存在は非常に大きいものの、二人の関係は破局を迎え、ロダンは妻ローズのもとへと戻り、カミーユは精神を病み精神病院で最期を迎えます。
みどころ
【長身ダンサー】
エイフマン・バレエ には、女性173cm以上、男性184cm以上という入団基準があり、長身ダンサーが繰り広げる異世界のような舞台がまずは目につくかと思います。
これだけの長身ダンサーが揃う舞台は他に類を見ない
【心理描写】
鬼才ボリス・エイフマンの作品といえば心理描写がとても重要になってきます。
主要な役であるロダン(オレグ・ガブィシェフ)、クローデル(リュボーフィ・アンドレーエワ)、ブーレ(リリア・リシュク)の3人をはじめコールドに至るまでの心理描写が大きな見どころです。
カミーユ役のリュボーフィ・アンドレーエワは、『ロダン』の振付がはじまっていた2011年に入団しますが、既に振り付けられていた箇所意外は彼女に振り付けられ、以降、エイフマンのミューズとなっています。
そのせいもあってか、『ロダン』再演時にはあらためて振付を行い、初演時とは全く異なる作品のようになっているそうです。
エイフマン作品は心理表現が求められ、リュボーフィ・アンドレーエワの印象的な「目」の表現にも注目していただきたいと思います。
【彫刻作品】
近代彫刻の父と称されるオーギュスト・ロダンと彼の才能あふれる弟子カミーユ・クローデルを扱う作品だけに彫刻作品も多く登場します。
ダンサーの極限まで鍛え上げられた身体を用いて彫刻の創作過程を描く様は、バレエという表現形式だからこそ得られる見どころではないでしょうか。
知らない人はいないであろう「考える人」をはじめ、彫刻について詳しくない方でも何となく見たことがありそうな作品も登場します。
テレビ放送でバレエ『ロダン』を見て、ロダンの作品に興味を持った方は美術館に足を運んでみるのも良いかもしれませんね。
(この記事の下の方では、エイフマン・バレエ 『ロダン』に登場する彫刻作品について関連情報を紹介しています)
関連動画
ボリス・エイフマン『ロダン』予告編
NHK BS プレミアムシアター
2020年9月20日(日)放送概要
2020年9月20日(日)のプレミアムシアター放送概要
■日程:2020年9月20日(日)午後11時20分~
■チャンネル:NHK BS プレミアム
■放送内容:
◇本日の番組紹介(23:20:00~23:23:30)
◇マシュー・ボーンの『白鳥の湖』(2018年版)(23:23:30~1:32:30)
◇エイフマン・バレエ『ロダン』【再放送】 (1:35:30~3:07:30)
◇バレエ『CLOSED』【再放送】(3:08:30~3:42:00)
9月20日(日)午後11時20分からのNHK BS プレミアムシアターは、ダンス3演目を放送します。
マシュー・ボーンの『白鳥の湖』(2018年版)については下の記事で紹介しています。
エイフマン・バレエ『ロダン』(全2幕)
■キャスト
オーギュスト・ロダン(フランスの天才彫刻家):オレグ・ガブィシェフ
カミーユ・クローデル(才能あふれるロダンの若き弟子):リュボーフィ・アンドレーエワ
ローズ・ブーレ(ロダンの内縁の妻):リリア・リシュク
ほか エイフマン・バレエ
■スタッフ
台本・振付・演出:ボリス・エイフマン
音楽:モーリス・ラヴェル、カミーユ・サン=サーンス、ジュール・マスネ、クロード・ドビュッシー、エリック・サティー ほか
舞台美術:ジノーヴィ・マルゴーリン
衣装:オリガ・シャイシメラシヴィリ
照明:グレプ・フィリシチンスキー、ボリス・エイフマン
■音楽
第1幕
モーリス・ラヴェル
「スペイン狂詩曲」から 夜への前奏曲
カミーユ・サン=サーンス
ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 作品17 から 第2楽章
組曲「動物の謝肉祭」から「終曲」
交響曲 第3番 ハ短調 作品78 から 第1楽章
序奏とロンド・カプリチオーソ
交響詩「死の舞踏」
ジュール・マスネ
組曲「おとぎの国の風景」から「幻」「バレエ」
クロード・ドビュッシー
月の光
エリック・サティー
グノシエンヌ 第3番
第2幕
カミーユ・サン=サーンス
ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 作品22 から 第1楽章
バイオリン協奏曲 第2番 ハ短調 作品58 から 第2楽章
交響曲 第1番 変ホ長調 作品2 から 第3楽章
組曲「動物の謝肉祭」から「耳の長い登場人物」
七重奏曲 変ホ長調 作品65 から 第3楽章
ジュール・マスネ
組曲「おとぎの国の風景」から「バッカナール」
組曲「ナポリの風景」から「メロドラマ」
タイスの瞑想曲
モーリス・ラヴェル
「左手のためのピアノ協奏曲 ニ短調」から
「ダフニスとクロエ」組曲 第2番から「全員の踊り」
■収録 2019年7月19日(東京文化会館 大ホール)
「ロダン」参考情報
(参考)エイフマン・バレエ『ロダン』に登場する彫刻作品
【ロダン作】
・うずくまる女
・カレーの市民
・永遠の偶像
・考える人
・地獄の門
・カテドラル
【クローデル作】
・分別の年代
・クロト
ほか
ロダンの作品は、日本では、国立西洋美術館、静岡県立美術館、大原美術館に主要作品が収蔵されています。
2019年のエイフマン・バレエ日本公演に際して、招聘元のジャパン・アーツ公式サイトでは、エイフマン・バレエ『ロダン』に登場するロダンとカミーユの彫刻作品が紹介されています。
テレビ放送の前後にロダンとカミーユの作品を確認するとバレエ『ロダン』もさらに楽しめそうですね。
https://www.japanarts.co.jp/news/p4157/
「ロダン」関連映画
『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』
「ロダン」に関連する映画として『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』があります。
ロダンの没後100年を記念して製作された映画で、2017年にパリ・ロダン美術館全面協力のもとに製作されました。
ロダンとカミーユについて詳しく知りたい方にはうってつけの映画です。