2021年8月2日、新国立劇場バレエ団は、2021/2022 シーズンの昇格・新規加入ダンサーなどを発表しました。
プリンシパルへの昇格者はいませんでしたが、ファースト・ソリストへの昇格者として、木下嘉人さん、柴山紗帆さん、速水渉悟さんの3人の名前が発表されました。
柴山紗帆さんは、2014年に入団し、2015年の『くるみ割り人形』で金平糖の精で主役デビューして以来、『白鳥の湖』『シンデレラ』『ラ・バヤデール』『ドン・キホーテ』などで主演し、2020/2021シーズンも『ドン・キホーテ』と『ライモンダ』に主演しました。
2021/2022シーズンの開幕公演となるサー・ピーター・ライト版『白鳥の湖』《新制作》での主演も決まっています。
その前に2021年8月28日(土)・29日(日)に上演される「バレエ・アステラス2021〜海外で活躍する日本人バレエダンサーを迎えて〜」では、渡邊峻郁さんとのペアで『ライモンダ』からパ・ド・ドゥを披露する予定です。
速水渉悟さんは、2018年に入団し、2020/2021シーズン開幕公演の『ドン・キホーテ』で全幕主役デビューを果たし、2020/2021シーズンを締め括る『ライモンダ』ではアブデラクマンを熱く演じ、存在感を示しました。
2015年のユース・アメリカ・グランプリ NYファイナルで男性シニア部門金賞を受賞した実力はだけに、技術や跳躍の高さなどに定評があり、公演では素晴らしい演技を披露し会場を沸かせています。
速水渉悟さんも2021/2022シーズンの開幕公演となるサー・ピーター・ライト版『白鳥の湖』《新制作》での主演することが決まっていますが、速水さんが主演するのは残念ながら、長野県の上田公演のみです。
ソリストへの昇格者は、飯野萌子さんの1人でした。
確かな技術と舞台を一瞬にして明るくすることができる表情が魅力的なダンサーで、多くの主要な役を踊っていますが、2021/2022 シーズンはさらなる活躍が期待できそうです。
意外なことに飯野萌子さんは、新国立劇場バレエ団のオーディションに書類審査で一度不合格になったことがあるそうで、諦めずに再チャレンジして見事に合格し2012年に入団しています。
貝川鐵夫さんと本島美和さんはプリンシパル・キャラクター・アーティストになります。
筆者が初めて新国立劇場バレエ団の舞台を鑑賞したのは、2007年に川村真樹さんと貝川鐵夫さんが主演したセルゲーエフ版『眠れる森の美女』でした。
ちなみにこの舞台には日本ジュニアバレエ時代の木村優里さんも子役で出演していました。
本島美和さんは、新国立劇場バレエ研修所の第1期生で、現在でも新国立劇場バレエ団に在籍している最後の1期生です。
二人とも以前は多くの公演で主演していましたが、最近は圧倒的な存在感を生かしたキャラクター色の強い役柄が多かったように思います。
お二人は、2021/2022 シーズンからプリンシパル・キャラクター・アーティストになりますが、実態に即した肩書きと言えるかもしれません。
退団する訳ではありませんが、時代の流れを感じて寂しい気もします。
新規加入は、シーズン契約ダンサーが6人、登録ダンサー3人が入団しました。
新国立劇場バレエ研修所の第16期生からは、吉田朱里さんがシーズン契約ダンサーとして入団し、石山 蓮さん、加藤里佳さん、服部由依さんの3人が登録ダンサーとして入団しています。
スロヴァキア国立バレエ団のファースト・ソリスト(プリンシパル)として活躍していた上中佑樹さんがアーティストとして入団しますが、新国立劇場バレエ団の公演に出演する前に、2021年8月28日(土)・29日(日)に上演される「バレエ・アステラス2021〜海外で活躍する日本人バレエダンサーを迎えて〜」に出演することが決まっています。
中田実里さん、菊地飛和さん、守屋朋子さんの3人は契約ダンサーから登録ダンサーへ移行します。
中田実里さんと菊地飛和さんは長らく中核メンバーとして新国立劇場バレエ団を支えてこられましたが、2021/2022 シーズンからは登録ダンサーへ移行されるとのことで、舞台上のお姿を見る機会が減りそうでとても残念です。
菅野英男さんはプリンシパル・キャラクター・アーティストの契約が終了しますが、2021/2022シーズンからはバレエマスターに就任されます。
指導者としての資質を買われてプリンシパル・ソリスト・コーチも兼務していましたが、これからは指導に専念することになります。
新国立劇場バレエ団 2021/2022 シーズン 昇格・新規加入ダンサー
昇格
■ファースト・ソリスト
木下嘉人 KINOSHITA Yoshito
柴山紗帆 SHIBAYAMA Saho
速水渉悟 HAYAMI Shogo
■ソリスト
飯野萌子 IINO Moeko
■プリンシパル・キャラクター・アーティスト
貝川鐵夫 KAIKAWA Tetsuo
本島美和 MOTOJIMA Miwa
■ファースト・アーティスト
廣川みくり HIROKAWA Mikuri
山田歌子 YAMADA Utako
【9月30日追加】
山田歌子さんが9月30日付けで退団することが発表されました。
新規加入(シーズン契約ダンサー)
■アーティスト
池田紗弥 IKEDA Saya(オーストラリア国立バレエ学校)
上中佑樹 KAMINAKA Yuki(スロヴァキア国立バレエ団)
川上 環 KAWAKAMI Tamaki(加藤由紀子バレエ教室)
菊岡優舞 KIKUOKA Yuma(有馬龍子記念 一般社団法人京都バレエ団)
根岸祐衣 NEGISHI Yui(フリー)
山田悠貴 YAMADA Yuki(新国立劇場バレエ団登録ダンサー)
吉田朱里 YOSHIDA Akari(新国立劇場バレエ研修所)
新規加入(登録ダンサー)
■アーティスト
石山 蓮 ISHIYAMA Ren(新国立劇場バレエ研修所)
加藤里佳 KATO Rika(新国立劇場バレエ研修所)
服部由依 HATTORI Yui(新国立劇場バレエ研修所)
契約ダンサーから登録ダンサーへ移行するダンサー
■ファースト・アーティスト
中田実里 NAKADA Misato
■アーティスト
菊地飛和 KIKUCHI Asuka
守屋朋子 MORIYA Tomoko
契約を終了するダンサー
菅野英男 SUGANO Hideo
(2021/2022シーズンよりバレエマスターに就任)
【参考】新国立劇場バレエ団 公演情報
2021/2022シーズン バレエ ラインアップ
■白鳥の湖[新制作](10〜11月)
■くるみ割り人形(12〜1月)
■ニューイヤー・バレエ(1月)
夏の夜の夢[新制作] → ペンギン・カフェ
テーマとヴァリエーション
■吉田都セレクション(2月)
精確さによる目眩くスリル[新制作]
ファイブ・タンゴ[新制作]
『こうもり』より「グラン・カフェ」
■シンデレラ(4〜5月)
■不思議の国のアリス(6月)
「バレエ・アステラス2021〜海外で活躍する日本人バレエダンサーを迎えて〜」
■日程(全2公演):
・2021年8月28日(土)14:00開演
・2021年8月29日(日)14:00開演
(上演時間:約2時間)
■会場:新国立劇場 オペラパレス(京王新線〈都営新宿線乗入〉「初台駅」中央口直結)
「バレエ・アステラス」は、海外で活躍する若手日本人バレエダンサーの踊りを新国立劇場の舞台でも紹介したいということから、2009年より開催されている公演です。
公募により選ばれた海外で活躍する日本人バレエダンサーとそのパートナー、新国立劇場バレエ団ダンサー、新国立劇場バレエ研修所 第17期生・第18期生・予科生が出演します。
スロヴァキア国立バレエ団のファースト・ソリスト(プリンシパル)から入団した上中佑樹さんは、スターダンサーズ・バレエ団の塩谷綾菜さんとペアを組んで出演します。
8月28日(土)には『海賊』第2幕よりパ・ド・ドゥを披露し、8月29日(日)には『パリの炎』よりパ・ド・ドゥを披露します。
ファースト・ソリストに昇格者した柴山紗帆さんは渡邊峻郁さんとのペアで『ライモンダ』からパ・ド・ドゥを披露します。(両日とも)
2021年6月の『ライモンダ』公演の興奮が蘇ります!