新国立劇場バレエ団の2018/2019シーズンの開幕を飾るのはクリストファー・ウィールドンの代表作『不思議の国のアリス』です。
英国ロイヤル・バレエが2011年に初演した大ヒット作を日本のバレエ団では新国立劇場バレエ団が初めて上演します。
11月2日(金)の開幕まで2ヶ月を切りました。
9月に入り本格的にリハーサルも進められている話題作の魅力などについてご紹介します。
新国立劇場バレエ団『不思議の国のアリス』の魅力を紹介!
『不思議の国のアリス』 日本のバレエ団では新国立劇場バレエ団のみ
日本における『不思議の国のアリス』の上演は今回が初めてという訳ではありません。
本家である英国ロイヤル・バレエの2013年来日公演ですでに上演されています。
全世界では、6カンパニーが上演している人気作で、日本のカンパニーとしては新国立劇場バレエ団が初めての上演となります。
ロイヤルの来日公演ではチケットの売れ行きが非常に良かったようで、緊急追加公演も決まり、合計5回も上演されました。
『不思議の国のアリス』を振り付けたクリストファー・ウィールドンさんは、このときの様子から日本での上演について手応えを感じ楽しみにしているそうです。
『不思議の国のアリス』の魅力・特徴
作品の魅力はなんと言っても、原作が誰もが知っているルイス・キャロルの名作『不思議の国のアリス』であり、日本人にとってもなじみ深く、大人から子どもまで楽しめる作品であることです。
原作が『不思議の国のアリス』だからといって子ども向けのバレエという訳ではなく、踊り手には高難度のステップや演劇的要素、キャラクターを浮き立たせる個性などが求められる作品です。
また、プロジェクション・マッピングなどの最新の映像・照明技術を使用する一方、踊りはクラシック・バレエの要素を使い、現代的なものと伝統的なものとの組み合わせによる対比も見どころではないでしょうか。
使用されるトリックなどは全ての劇場で同じものを使用する訳ではありません。
劇場により舞台機構が異なるため、それに合わせる必要があるますが、新国ではロイヤル・オペラ・ハウスでの上演とほぼ同じ形で上演できると考えられているようです。
原作の特徴から多種多様な個性的なキャラクターが登場します。
新国立劇場バレエ団のダンサーたちが、その個性的なキャラクターをどのように演じるのか、ダンサーの表現力、普段とはことなる変貌ぶりを見ることができるのも楽しみの一つになりそうです。
キャスティング
2018年9月上旬で発表されているのは主役のアリスとハートのジャックのみです。
他の配役についてはリハーサルが進んでみないと分からないそうです。
このアリス役の小野絢子さんと米沢 唯さん、ハートのジャック役の福岡雄大さんと渡邊峻郁さんのキャスティングは、振付家のウィールドンさんが直接見て決めたそうです。
キャスティングにあたりクラス・レッスンやリハーサルの様子を見てウィールドンさんが決めるそうですが、意外性のあるキャスティングをほのめかしています。
ダンサーのバレエ団内におけるキャラは、ある程度、固定化されがちだと思います。
例えば、あのダンサーはお姫様役が適役、また別のダンサーは悪役が似合う等々。
確かに、新国ファンのなかにも「同じ配役で見飽きた」と発言する方も少なくないのは事実です。
ウィールドンさんは、そういった固定観念を打ち破り、今までとは異なるダンサーの起用法で観客を楽しませてくれることを期待させます。
新国ファンにとっては、配役を想像しながら待ち、劇場でその答え合わせ(ウィールドンさんが選んだキャスティング)をし、そのダンサーの舞台での化け具合を楽しむといった楽しみ方ができそうです!(´▽`)
この作品は、ダンサーに多種多様な要素を求めると言います。
それは、「ミュージカル・シアターとバレエの融合」と表現するように、『不思議の国のアリス』には、演劇的な要素が求められるからです。
また、英国特有の文化としてのユーモアやパントマイムの表現も求められ、マッドハッタ―役にはタップダンスも必要になります。
新国立劇場バレエ団もデビッド・ビントレー監督、大原永子監督といった英国に関連のある指導者に導かれて下地はできているとはいえ、やはり大きなチャレンジとなる演目です。
しかし、ウィールドンさんは何もかも英国的とは考えている訳ではなく、日本らしさを求めさらに楽しみにしています。
新国の予告編動画では次のように語っています。
「不思議の国のアリス」はとてもイギリス的な物語だ
だからこそ日本人ダンサーがどう表現するかとても楽しみにしている
日本人ならではの役作りにも期待したいね
とても日本的なアリスになることを心から願っている
それこそ日本で上演したかった理由だ
また、アリス役については次のように述べてさえいます。
「オーストラリア・バレエ初日でアリス役を踊ったのは近藤亜香さんでした。一見天然系で不思議なところがあるけれど芯が通っているアリスは、日本人ダンサーに向いているキャラクターではないでしょうか。」
引用元:新国立劇場・情報誌 ジ・アトレ 2018.6
「一見天然系で不思議なところがあるけれど芯が通っている」という表現は、まさしく新国の小野さんと米沢さんに当てはまるぴったりとした表現だと思いませんか?!
本家である英国ロイヤルの『アリス』とも異なる日本的な良さを持った作品になりそうで、今からワクワクしてきますね。(´▽`)
不思議の国のアリス|新国立劇場バレエ団
(YouTube / 新国立劇場 New National Theatre Tokyo 公式チャンネル)
新国立劇場バレエ団には素晴らしいダンサーが大勢いらっしゃいます。
ウィールドンさんの期待を背負う新国ダンサーの表現力やいかに?
リハーサルなどでの様子をまとめた動画が公開されていて、普段見ることのできないダンサーの素の表情を見ることができます。
とても良い表情をしていると思いませんか?
動画は、新国ファースト・アーティストの福田紘也さんが撮影・編集したものです。
“off” ダンサー達の素顔|新国立劇場バレエ団
(YouTube / 新国立劇場 New National Theatre Tokyo 公式チャンネル)
新国立劇場バレエ団『不思議の国のアリス』公演概要
【日程】 2018年11月2日(金)~11/11(日)
【会場】 新国立劇場 オペラパレス(最寄駅:初台)
【音楽】 ジョビー・タルボット
【振付】 クリストファー・ウィールドン
【美術・衣装】 ボブ・クロウリー
【照明】 ナターシャ・カッツ
【台本】 ニコラス・ライト
【映像】 ジョン・ドリスコル、ジュンマ・キャリトン
【パペット】 トビー・オリー
【マジック・コンサルタント】 ポール・キエーブ
【指揮】 ネイサン・ブロック
【管弦楽】 東京フィルハーモニー交響楽団
【共同制作】 オーストラリア・バレエ
【料金】 S席16,200/A席12,960円/B席8,640円/C席6,480円/D席4,320円
【予定上演時間】 約2時間50分(プロローグ・第1幕50分/休憩25分/第2幕30分/休憩20分/第3幕・エピローグ45分)
【キャスト】(アリス/ハートのジャック)
11/2(金)19:00 (米沢/渡邊)
11/3(土・祝)14:00 (小野/福岡)
11/4(日)14:00 (米沢/渡邊)
11/7(水)13:00 (小野/福岡)
11/8(木)13:00 (米沢/渡邊)
11/10(土)13:00 (小野/福岡)
11/10(土)18:30 (米沢/渡邊)
11/11(日)14:00 (小野/福岡)
公演の詳細は新国立劇場バレエ団公式サイトをご確認ください。
⇒ https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/alice/
【関連記事】