2019年3月3日(日)、新国立劇場バレエ団の舞台クラスレッスン見学会が新国立劇場 オペラパレスにて開催されました。
『ラ・バヤデール』の上演期間中であり、3月3日当日も午後から公演がありましたが、公演に先立つ午前中に見学会が開催されました。
公演の本番とは異なるダンサー達の素顔を垣間見ることができた貴重な経験となりました。
今回は、この舞台クラスレッスン見学会の様子について報告します。
新国立劇場バレエ団 舞台クラスレッスン見学会 見学レポート
新国立劇場バレエ団 舞台クラスレッスン見学会について
バレエ『ラ・バヤデール』の公演当日、本番直前の午前中に舞台上で行われる新国立劇場バレエ団のクラスレッスンを見学できる特別な企画です。
2017/2018シーズンにも『ホフマン物語』が上演された2月に舞台クラスレッスン見学会を実施しています。
開催趣旨などの説明はありませんが、新国立劇場バレエ団ダンサーを身近に感じてもらい新国立劇場バレエ団公演への来場を促す意図があるものと思います。
2018年の『ホフマン物語』も2019年の『ラ・バヤデール』も集客面では少し苦戦しているようで、ファンサービスと集客を兼ねた企画ではないでしょうか。
クラスレッスンとは
バレエファンの中にはバレエを習っている方・習ったことがある方だけではなく、バレエ未経験者の方も多いかと思います。
そういった方のためにバレエの「クラスレッスン」について簡単に説明します。
バレエダンサーは日常的にバレエの基礎を訓練するためにクラスレッスンを受けています。
ダンサーの典型的な一日のスケジュールでは、午前中にクラスレッスンを受け、午後に公演のリハーサルを行うことが多いようです。
バレエは長い歴史の中で基礎的な訓練方法が確立されており、流派により異なる点はありますが、基本的に実施する内容は同じです。
バーレッスンから始まりセンターレッスンまで90分程度の時間をかけて行い、体調を整えたり、基礎的な技術の練習を行ったりします。
通常はリハーサル室で行いますが、舞台クラスレッスン見学会では、公演直前の舞台上で行われるクラスレッスンの様子をオペラパレスの客席から見学させていただきました。
見学会の参加していないダンサーたちはリハーサル室でクラスレッスンを受けていたものと思います。
新国立劇場バレエ団 舞台クラスレッスン見学会の感想
新国立劇場のご担当者からオペラパレス客席へ誘導されると、ステージ上にはバーが用意され、ダンサーたちはストレッチやマッサージ、談笑など、思い思いに過ごされていました。
ほとんどのダンサーが寝起きのような顔をされていましたが、ひときわ明るい笑顔が輝いていたのは寺田亜沙子さんです!
彼女はいつも楽しそうな笑顔をしている印象がありますが、レッスン前もとても素敵な笑顔で談笑されていたのが印象的でした。
ダンサーには華やかな雰囲気も求められますので彼女の口角の上がった楽しそうな表情の笑顔も大きな武器ではないでしょうか。
10時45分になると新国立劇場バレエ団 バレエマスターの陳 秀介さんの指導によりクラスレッスンが始まりました。
最初に行うプリエは、皆さん思い思いの動きをされていました。
長期間にわたるバレエとの付き合いで自分なりの体のほぐし方、ウォーミングアップの仕方があるのでしょう。
音楽はピアノの生演奏で、ピアニストは産休から復職された蛭崎あゆみさんでした。
選曲の良さもありましたが、蛭崎さんの生演奏を聞くことができ、その美しい音色に合わせて動くダンサーの素晴らしい動きに、公演で味わうものとは異なる感動がこみ上げてきて、至福のひとときを過ごしている幸せを噛み締めました!
見学している観客の様子はといえば、多くの方がオペラグラス(なかにはバードウォッチング用かと思われる双眼鏡も!)で食い入るようにステージ上を観察しています。
公演鑑賞時以上の食い付き具合でした!( ゚д゚)
舞台上は人の影に隠れてしまい、よく見えない位置もあります。
筆者の席から見えた範囲内で最も視線を奪われたのはプリンシパルの福岡雄大さんです。
福岡さんくらいの実力があれば、手を抜いても何も問題ないだろうという、筆者の勝手な思い込みがありましたが、動きはとても丁寧で下肢からつま先の動きとラインがとても美しかったことを思い出します。
センターレッスンでは、アダジオのときの小野絢子さんの音のとり方と全身を匠に活かした表現が一際目を引きました。
5番からのピルエットでも小野さんの動きはとても丁寧で、シングルでさえも感動するほどの美しさです。
小さなジャンプでは柴山沙帆さんの小気味良さと足先の美しさに視線を奪われました。
思いつくままに、感動のシーンを書き連ねておりますが、筆者はプロバレエダンサーのクラスレッスンを見学することがとても好きです。
筆者自身がバレエを習っていることもあり、とても参考になるからです。
公演での踊りは、筆者のレベルとはあまりにもかけ離れすぎていて、まるで別世界の出来事かのように感じてしまい、あまり参考になりません。(@_@)
クラスレッスンであれば難しさは桁外れに違いますが、基本的にはレッスンで受けているものと同じ動きなので、参考にすることができます。
ということもあり、その時々で最も疑問に感じているテクニックの向上に繋げることができるように観察対象が決まってきます。
今回の見学でも、筆者自身が参考にできる動きを観察させていただくことができましたが、それ以上に有益だったのはモチベーションが向上したことです。
やはり、憧れること、自分の理想に近づきたいと思うことが重要だと再認識しました。
今回見学したダンサーの動きは、美しいものに憧れる気持ちに火を付け、それに近づこうとする意欲を引き出してくれたように思います。
このような企画を用意してくださった新国立劇場の皆様、クラス指導の陳さん、ピアニストの蛭崎さん、クラスレッスンを見学させていただいたダンサーの皆様、本当に有り難うございました。(´▽`)
余談ですが、クラスレッスンを見学した直後の舞台鑑賞ではダンサーの皆さんを見る目が少し変わったような気がします!
新国立劇場バレエ団 舞台クラスレッスン見学会 概要
■日時:2019年3月3日(日)10:45~12:00
■会場:新国立劇場 オペラパレス
■クラス指導:陳 秀介(バレエマスター)
■ピアニスト:蛭崎あゆみ
■参加ダンサー:男性全員及び女性プリンシパル・ソリスト