【2021年上期】バレエ界の主な出来事(まとめ)

2021年上期(1〜6月)に起きたバレエ界の主な出来事やダンサーの昇格、バレエ関係者の表彰、訃報などをまとめています。

日髙世菜さん、飯島望未さんといった海外で活躍した人気ダンサーが K-BALLET COMPANY に入団することが発表されました。

また、英国ロイヤル・バレエの金子扶生さん、チェコ国立バレエの藤井彩嘉さん、カナダ国立バレエの石原古都さん、ゼンパー・オーパー・バレエの藤本佳那子さんらはプリンシパルに昇格するなど、海外で活躍する日本人バレエダンサーの昇格が相次ぎました!

移籍・入団

日髙世菜さん K-BALLET COMPANY にプリンシパルとして入団

日髙世菜さんは、2008年にロシア国立ワガノワ・バレエ・アカデミーに留学し、ルーマニア国立バレエ、アメリカのタルサ・バレエでプリンシパルとして活躍した後、2021年1月、K-BALLET COMPANY にプリンシパルとして入団しました。

2021年3月に上演された『白鳥の湖』でオデット/オディール役を演じ、続く2021年5月の『ドン・キホーテ』ではキトリ役を演じています。

なお、Kバレエにプリンシパルとして入団したのは日髙世菜さんが初めてとのことです。

【関連記事】K-BALLET COMPANY 2020-2021シーズン メンバー発表/日髙世菜さん新プリンシパルとして入団!吉田周平さんソリストとして入団!

飯島望未さん ヒューストン・バレエを退団し、活動の拠点を日本に移す。K-BALLET COMPANY 『ドン・キホーテ』の主役でゲスト出演。8月にK-BALLET COMPANY に入団を発表

2021年3月、飯島望未さんはヒューストン・バレエを退団し、活動の拠点を日本に移すことを発表しました。

2021年5月に上演されたKバレエ カンパニー『ドン・キホーテ』ではキトリ役でゲスト出演し、8月に正式入団することが発表されました。

【関連記事】飯島望未さん ヒューストン・バレエを退団し、活動拠点を日本に移すことを発表(2021年3月)/8月1日付で K-BALLET COMPANY に入団!

表彰・顕彰

令和2年度(第71回)芸術選奨 文部科学大臣賞
Noism 井関佐和子さん / ヒューストン・バレエ プリンシパル 加治屋百合子さんが受賞

文化庁は令和3年3月3日に「令和2年度(第71回)芸術選奨 文部科学大臣賞」を発表し、芸術分野において優れた業績をあげ、新生面を開いた方に贈られる文化庁による芸術家の顕彰制度「芸術選奨」で、Noism の井関佐和子さんとヒューストン・バレエ プリンシパルの加治屋百合子さんが文部科学大臣賞(舞踊部門)を受賞しました。

【文化庁公式サイト】令和2年度(第71回)芸術選奨文部科学大臣賞及び同新人賞の決定について

第27回中川鋭之助賞
貞松・浜田バレエ団 水城卓哉さんが受賞

新進気鋭の洋舞界の若手ダンサーに贈られる「第二十七回中川鋭之助賞」(東京新聞制定)に貞松・浜田バレエ団の水城卓哉(みずき・たくや)さんが選ばれました。

【東京新聞公式サイト】中川鋭之助賞

紫綬褒章(令和3年春の褒章)
りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 舞踊部門芸術監督・Noism Company Niigata 芸術監督の金森 穣さんが受章

令和3年4月29日付けで令和3年春の叙勲等が発令され、りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 舞踊部門芸術監督・Noism Company Niigata 芸術監督の金森 穣さんが、学問や芸術分野で功績を残した人に贈られる紫綬褒章を受章しました。

金森 穣さんは、モーリス・ベジャールが創設したバレエ学校「ルードラ」で学び、イリ・キリアンが芸術監督を務めたNDT2等でダンサー、振付家として活躍しました。

帰国後、りゅーとぴあ舞踊部門芸術監督に就任し、日本初の公共劇場専属舞踊団として2004年4月にNoismを設立しました。

金森 穣さんは東京バレエ団に全幕バレエ『かぐや姫』を振り付けることが発表されおり、2021年11月に第1幕のみを上演し、年をまたいで第2幕、第3幕と創作を続けて完成させる数年がかりのプロジェクトとして計画されています。

【内閣府公式サイト】令和3年春の叙勲等

ダンサーの昇格

英国ロイヤル・バレエ
金子扶生さんとセザール・コラレスさんがプリンシパルに昇格

2021年5月18日、英国ロイヤル・バレエは「2020/21シーズン」と「2021/22シーズン」の昇格者を発表しました。

2020/21シーズンに金子扶生さんとセザール・コラレスさんがプリンシパルに昇格し、佐々木万璃子さんはファースト・アーティストに昇格しました。

また、2021年9月からは、マヤラ・マグリさんとアンナ・ローズ・オサリバンさんがプリンシパルに昇格します。

【関連記事】英国ロイヤル・バレエ 2020/21 & 2021/22シーズン昇格者発表 金子扶生さんプリンシパルに昇格!佐々木万璃子さんファーストアーティストに昇格!

チェコ国立バレエ
藤井彩嘉さん ファースト・ソリスト(最高位)に昇格

チェコ国立バレエの藤井彩嘉さんが、2021年4月に同カンパニーダンサーの最高位であるファースト・ソリストに昇格しました。

大阪生まれで名門ソウダバレエスクール出身。ハンガリー国立バレエ、シュツットガルト・バレエを経て2017年にチェコ国立バレエに入団しています。

レパートリーは古典作品からネオクラシック、コンテンポラリーまで幅広く、イリ・キリアンやマルコ・ゲッケ、シディ・ラルビ・シェルカウイら現代を代表する振付家の作品も多くあります。

K-BALLET COMPANY
毛利実沙子さんと杉野 慧さん プリンシパル・ソリストに昇格(2021-2022シーズンから)

Kバレエ カンパニーのファースト・ソリストである毛利実沙子さんと杉野 慧さんが、2021-2022シーズンからプリンシパル・ソリストに昇格することが発表されました。

2021年5月22日(土)に上演されたKバレエの『ドン・キホーテ』でキトリとバジルを演じ、カーテンコール後の舞台上において熊川哲也芸術監督から昇格が告げられました。

【関連記事】K-BALLET COMPANY 毛利実沙子さんと杉野 慧さん、2021-2022シーズンからプリンシパル・ソリストに昇格!

パリ・オペラ座バレエ
パク・セウンさん エトワールに任命

パリ・オペラ座バレエのパク・セウン(SAE EUN PARK)さんは、2021年6月10日(木)にオペラ・バスチーユで上演されたルドルフ・ヌレエフ版『ロミオとジュリエット』でジュリエット役を演じた後、最高位のダンサーであるエトワールに任命されました。

アジア出身のダンサーがパリ・オペラ座バレエのエトワールに任命されたのは初めてということです。

【関連記事】パク・セウンさん パリ・オペラ座バレエのエトワールに任命される!(2021年6月)

マリインスキー・バレエ
オレシア・ノヴィコワさん プリンシパルに昇格
永久メイさん ファースト・ソリストに昇格

2021年6月、マリインスキー・バレエのオレシア・ノヴィコワ(Olesya Novikova)さんは『ライモンダ』公演でザンダー・パリッシュさんを相手にタイトルロールを演じた後、プリンシパルへの昇格を告げられました!

マリインスキー・バレエ入団後、20年近くを経て、しかも3人の出産・復帰からのプリンシパル昇格という偉業です。

また、2017年、17歳でマリインスキー・バレエに研修生として入団永久メイさんはファースト・ソリストに昇格しました。

【関連記事】マリインスキー・バレエ オレシア・ノヴィコワがプリンシパルに昇格、永久メイはファースト・ソリストに昇格(2021年6月)

カナダ国立バレエ
石原古都さん プリンシパルに昇格

石原古都さんは名古屋市出身で、金澤志保バレエスタジオで学んだ後、フロリダのハリッド・コンサバトリー、サンフランシスコ・バレエ・スクール留学を経てサンフランシスコ・バレエに入団し、2019年、カナダ国立バレエにファースト・ソリストとして入団し、2021年にプリンシパルに昇格しました。

【関連記事】カナダ国立バレエ 石原古都さんがプリンシパルに昇格(2021/22シーズン)

ゼンパー・オーパー・バレエ(ドレスデン国立歌劇場バレエ) 
藤本佳那子さん プリンシパルに昇格
綱木彩葉さん セカンド・ソリストに昇格

藤本佳那子さんは、大阪のソウダバレエスクールで学び、ドイツのジョン・クランコ・バレエ・スクールへの留学を経て、2008年にゼンパー・オーパー・バレエに入団しました。

2017年にセカンド・ソリスト、2018年にファースト・ソリスト、2021年にプリンシパルへの昇格が決まりました。

広島県出身の綱木彩葉さんはドイツのハンブルク・バレエ・スクール、ドイツのパルッカ・シューレ・ドレスデンで学び、ゼンパー・オーパー・バレエには2014年に入団し、2018にコリフェ、2021年にセカンド・ソリストへ昇格しました。

【関連記事】ゼンパー・オーパー・バレエ(ドレスデン国立歌劇場バレエ) 藤本佳那子さんがプリンシパルに昇格!綱木彩葉さんはセカンド・ソリストに昇格!

芸術監督人事

彩の国さいたま芸術劇場
次期芸術監督を近藤良平さんに決定

2021年2月16日、彩の国さいたま芸術劇場は次期芸術監督を舞踊家の近藤良平さんに決定し、令和4年(2022年)4月に就任することを発表しました。

芸術監督就任に先立ち、令和3年(2021年)4月1日から次期芸術監督として、方向性やプログラムの策定にあたるとのことです。

【彩の国さいたま芸術劇場公式サイト】彩の国さいたま芸術劇場の次期芸術監督の決定について

退団

東京バレエ団
プリンシパル 川島麻実子さん

東京バレエ団プリンシパルの川島麻実子さんが、2021年3月31日付で15年間在籍した東京バレエ団を退団しました。

川島麻実子さんは静岡県出身で、東京バレエ学校で学び、2006年に東京バレエ団に入団し、2016年4月にプリンシパルに昇格し活躍しました。

【東京バレエ団公式サイト】退団のお知らせ

おくやみ

リアム・スカーレットさん(1986年4月8日〜2021年4月16日)

英国ロイヤル・バレエに『白鳥の湖』や『フランケンシュタイン』などを振り付けたリアム・スカーレット(Liam Scarlett)さんが2021年4月16日に35歳で亡くなりました。

英国ロイヤル・バレエスクール在学中に、振付のケネス・マクミラン賞とアーシュラ・モートン賞を受賞し、ド・ヴァロワ財団振付家賞の最初の受賞者となるなど、早くから振り付けの才能を発揮していました。

英国ロイヤル・バレエに入団しダンサーとして活躍しますが、2012年には26歳の若さで英国ロイヤル・バレエのアーティスト・イン・レジデンスに就任しました。

2018年の『白鳥の湖』新演出が高い評価を得て、続く2019/20シーズンにも新作の上演が予定されていましたが、英国ロイヤル・バレエ・スクールの生徒に対するセクハラ疑惑が出て上演はキャンセルされ、契約も終了されていました。

セクハラの疑惑の真相は分からず、死因も公表されていませんが、英国ロイヤル・バレエの公式サイトではケヴィン・オヘア芸術監督による早すぎる死を悼むコメントが発表されています。

松山樹子さん(1923年1月10日〜2021年5月22日)

松山バレエ団創立者・名誉芸術監督・松山バレエ学校名誉校長の松山樹子(本名:清水樹子〈しみず・みきこ〉)さんが、2021年5月22日(土)に98歳で亡くなりました。

鹿児島県出身で日劇ダンシングチーム、東勇作バレエ団を経て、1948年に夫の故・清水正夫さんと松山バレエ団を結成し、多くの作品に主演しました。

1978年に現役を引退した後には後進の指導にあたり、清水哲太郎さん、森下洋子さん、吉田都さんらを育成しました。

【松山バレエ団公式サイト】訃報のお知らせ

カルラ・フラッチさん(1936年8月20日〜2021年5月27日)

「イタリアの名花」と讃えられ、ミラノ・スカラ座バレエを中心に世界で活躍したカルラ・フラッチ(Carla Fracci)さんが2021年5月27日に84歳で亡くなりました。

ミラノ・スカラ座バレエ学校で学び、1954年にミラノ・スカラ座バレエに入団し、1958年にプリンシパルに昇格しました。

エリック・ブルーン、ルドルフ・ヌレエフ、ウラジーミル・ワシリーエフ、ミハイル・バリシニコフら伝説的なダンサーと共演し、日本では「世界バレエフェスティバル」に第1回、第2回、第4回、第5回、第9回と出演したほか、東京バレエ団とも共演しています。